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NVIDIA関連銘柄の7社をDeep Researchで徹底調査!(前半)

あたかも日立製作所本社の優秀な調査スタッフのようなDeep Research

OpenAIのDeep Researchが使えるようになりました。プロのリサーチャーとして長らく色々と調べ物をしてきた者にとっては、「これぞ未来!」です。
手始めに米国と英国の公開資料だけ使ってNVIDIAの短中期投資レポートを作成させましたが、目から鱗のバランスの取れた優れたレポートが出てきました。近々なんらかの形でシェアしたいと思います。

米国株としてのNVIDIA以外に、日本にはいわゆる「NVIDIA関連銘柄」があり、NVIDIAの成長に呼応して売上高や利益が伸長します。今回はNVIDIA関連銘柄とされている企業群のうち、半導体製造プロセスに関わる以下の7社を、ChatGPT、Gemini、DeepSeekの回答から厳選しました。
そして、この7社全体について、向こう5年の中期で見て投資していいのかどうか?の判断材料となる諸要素をDeep Researchに調査させました。

細かなチューニングとして、各社のNVIDIA向け売上(NVIDIAは台湾のTSMCに製造委託をしているため実質的にはTSMC向け売上となる)を推測させました。また社長のキーとなる発言があればそれを拾わせました。全体としては、NVIDIA関連銘柄の「成長性」にフォーカスした内容となっています。

Deep Researchの調査は、熟練したリサーチャーの調査が行う手順と全く同じで、初期設定の仮説の元にインターネットでアクセス可能な無数の意味のある資料を順繰りに見て行って、意味のある諸要素を抽出してきて、初期設定の全体構成に則ってまとめます。これは私がプロのリサーチャーとして長らく食べてきたので、「おお、おんなじことをしているな」とすぐに直感的に理解できます。その上で、彼(Deep Research)が実に筋のいい、非常に優秀なリサーチャーであると評価します。たとえて言えば、日立製作所の本社の調査部門にいる博士号を持っている非常に優秀な若い調査専門スタッフという感じです。

この投稿では以下の7社についてDeep Researchが調べてまとめたレポートの前半を共有します。

(1) 東京エレクトロン(8035)
関係性:半導体製造装置のグローバルリーダー。NVIDIAのGPU生産に必須の「エッチング装置」「成膜装置」をTSMC(NVIDIAの主要ファウンドリ)に供給。
注目点:AIチップ向け先進プロセス(2nm以下)への対応技術。

(2) ディスコ(6146)
関係性:半導体の研磨・切断装置世界シェア70%。NVIDIA GPUの基板加工に不可欠。
最新動向:3D積層チップ向け研磨技術が次世代GPU「Blackwell」の生産に貢献。

(3) SCREENホールディングス(7735)
関係性:半導体洗浄装置のトップメーカー。TSMC向け装置需要の増加で間接的に恩恵。

(4) アドバンテスト (6857): 半導体検査装置メーカー。NVIDIAのGPUを含む高性能半導体の検査に不可欠な装置を提供。

(5) SUMCO (3436): シリコンウェーハメーカー。半導体の基板となるシリコンウェーハを製造し、NVIDIAを含む半導体メーカーに供給。

(6) 信越化学工業 (4063): 半導体シリコンウェーハ、フォトレジストなど、半導体材料を幅広く手掛ける。

(7) レーザーテック (6920): 半導体製造装置メーカー。EUV露光装置関連でNVIDIAの最先端GPU製造に不可欠な技術を持つ可能性がある。

Deep Researchレポート前半の3社のハイライト(ここまで今泉が執筆)

東京エレクトロン
・5年スパンでは売上はほぼ倍増
・地域別では台湾向けが大きな割合を占める。直近では台湾と中国で売上の約55~60%を稼ぐ。台湾の主要顧客であるTSMC向け比率が高いと推測できる。
・TSMCはNVIDIA向けの先端パッケージ技術CoWoS拡充にも投資を行っており​、これに関連してTELの装置が導入される可能性がある。
・TSMCの設備投資額の増減がTEL業績に直結するため、「TSMC向け売上=NVIDIA間接関連売上」と捉えることができる。

アドバンテスト
・NVIDIAのGPUのような高性能SoCの量産には、大量のテスターが必要。特に最近はAI関連半導体やHPC向けのテスター需要が急増しており、NVIDIAのH100や次世代Blackwell GPUの出荷増に伴い、アドバンテストのSoCテスターが活躍。
・AI向けにはHBM(高帯域幅メモリ)の需要も拡大しており、HBMを検査するメモリテスターも旺盛な需要がある。
・2024年後半からAIサーバー需要の爆発により受注が再加速、2024年12月期の売上予想は7,400億円まで上方修正。
・直近2年間で売上規模は約2倍。過去5年で売上は3倍近くに拡大。この成長率の高さは、「AI特需」によるテスター需要急増を物語る。
・地域別売上では、直近2024年7-9月期に台湾向けが売上の38%、中国向けが22%を占める​。台湾=TSMC/ASEなど、NVIDIAの主要サプライヤーが多い地域であり、TSMCやASEによるNVIDIA関連投資がアドバンテスト売上の3~4割を支えていると推察される。

レーザーテック
・世界で唯一EUVマスクブランクス欠陥検査装置を実用化した企業
・技術的強みは「世の中にないものを作る」開発力。他社が参入困難なニッチ領域で独占的地位を築くグローバル・ニッチ・トップ戦略を取る。
・売上は2018年以来、指数関数的に増加。
・2020年以降の5年間で売上は約5倍以上、株価も100倍近くに跳ね上がる「成長株の象徴」
・指数関数的な成長はEUV導入の拡大ペースとほぼ連動。NVIDIAなどの先端チップ需要が背景。
・TSMCは同社売上の3割以上を占める筆頭顧客との観測。
・2030年ビジョンとして売上高1兆円規模への成長を目指す。

本レポートの概要(ここからDeep Research執筆。太字は今泉)

NVIDIAの最新AI半導体(GPU)はTSMCによって製造されており、その製造プロセスを支える日本企業が数多く存在します​。reuters.com

本レポートでは、NVIDIA関連の日本株7銘柄として、以下の企業を取り上げます。これらは半導体製造装置、材料、部品の各分野で世界トップクラスのシェアや技術を持ち、NVIDIAおよびTSMCとの関係が深い企業です。

  • 東京エレクトロン (8035) – 半導体製造装置大手。前工程装置で世界有数のプレイヤー。

  • アドバンテスト (6857) – 半導体テスト装置大手。特にSoCテスターとメモリテスターで世界トップ級。

  • レーザーテック (6920) – 半導体マスク検査装置の専業メーカー。EUVマスク欠陥検査装置で世界唯一の供給企業​。kabutan.jp

  • 信越化学工業 (4063) – シリコンウエハ世界首位。TSMCなど主要半導体メーカーに300mmウエハを供給。

  • SUMCO (3436) – シリコンウエハ専業。信越化学と双璧をなす世界2位メーカー​。media.monex.co.jp

  • イビデン (4062) – 半導体パッケージ基板メーカー。NVIDIAのAIチップ向け基板を独占供給する存在​。tribune.com.pk

  • SCREENホールディングス (7735) – ウエハ洗浄装置大手。最先端プロセスに不可欠な洗浄技術で世界シェアトップ​。screen.co.jp

以上の企業はNVIDIAの成長による恩恵が期待されるサプライチェーン上の要であり、5年程度の中期で高い成長性が見込まれています。ただし半導体業界特有の市況変動リスクも孕んでおり、業績や株価のボラティリティにも注意が必要です。

本レポートでは各社の事業内容と技術的強み、過去5年の業績推移、NVIDIA/TSMC向け売上規模や比率(推定を含む)、競争優位性と成長ポテンシャル、経営者の発言や戦略を詳細に分析し、市場環境と合わせて今後5年間を見据えた投資評価を行います。

各社の詳細分析(前半の3社)

1. 東京エレクトロン (Tokyo Electron) – 前工程装置の巨人

事業内容・技術的強み・製造プロセスでの役割: 東京エレクトロン(TEL)は半導体製造装置の総合メーカーで、成膜やエッチング、洗浄、フォトレジスト塗布・現像装置など前工程の幅広い装置を手掛けています。
特にプラズマエッチング装置やCVD(化学蒸着)装置で世界トップクラスの市場シェアを持ち、EUVリソグラフィ工程向けのコーターデベロッパーも供給しています。これらの装置はTSMCなどファウンドリの最先端プロセスに不可欠であり、NVIDIAのGPU製造にも直接間接に寄与しています。

NVIDIAの最先端GPUはTSMCの3nmや4nmプロセスで製造されますが、そのプロセス実現にはTELの装置群が使われています​。kabutan.jp reuters.com 
技術的強みとしては、微細化に対応した高精度プロセス制御技術や装置の信頼性で世界的評価が高く、グローバルトップクラスの半導体メーカーを顧客としています。

過去5年間の売上推移: 近年の半導体需要拡大と設備投資増加を背景に、TELの業績は大きく変動しつつも成長傾向です。2019年3月期の連結売上高は約1兆2,782億円でしたが、その後2020年3月期はメモリ市況の悪化で1兆1,272億円に減少しました​。irbank.net

しかしAIや5G需要の高まりで設備投資が再加速し、2021年3月期は1兆3,991億円(前期比+24%)、2022年3月期は2兆2038億円(+43%)と過去最高を更新​。irbank.net 2023年3月期も2兆2,090億円と微増でしたが​、 rbank.net 2024年3月期は半導体サイクルの下振れで1兆8,305億円と一時的に減収となりました。​irbank.net もっとも2025年3月期は再び需要が盛り返し、通期売上高は2兆4,000億円規模まで回復する見通しです​。irbank.net 
このように5年スパンでは売上はほぼ倍増しており、中期的成長トレンドは堅調と言えます。

NVIDIA/TSMC向け売上高と比率: TELは個別の顧客売上は公表していませんが、地域別では台湾向けが大きな割合を占めます。直近では**台湾と中国で売上の約55~60%**を稼いでおり​、 reuters.com 台湾の主要顧客であるTSMC向け比率が高いと推測できます。また、米国や韓国の大手(インテル、サムスンなど)も重要顧客です。
NVIDIA自体は装置を購入しませんが、NVIDIAの発注でTSMCが先端プロセス能力を増強する際、TELの装置需要が喚起されます
例えばTSMCはNVIDIA向けの先端パッケージ技術CoWoS拡充にも投資を行っており​、 reuters.com reuters.com これに関連してTELの装置が導入される可能性がありますTSMCの設備投資額の増減がTEL業績に直結するため、「TSMC向け売上=NVIDIA間接関連売上」と捉えることができます

競争優位性と成長ポテンシャル: TELはアプライドマテリアルズやラムリサーチなど海外勢と競合しますが、製品ポートフォリオの広さと技術力で強い地位を築いています。EUV関連のコーター/デベロッパでは事実上独占的地位にあり、エッチング装置でも高い市場シェアを確保しています。
社長の河合利樹氏も、「ロジック・メモリともに微細化と層数増に伴う装置需要は底堅く、中長期で成長が続く」と戦略方針を示しています(有価証券報告書や決算説明会資料より)。
実際、**2025年3月期は売上前期比+30%以上の成長予想​ irbank.net **となっており、AI半導体をはじめとする旺盛な投資意欲が追い風です。さらに政府の輸出規制など逆風下でも、中国市場での売上高シェア40%前後を維持する適応力も示しています​。digitimes.com 
5年先を見据えると、AI・自動運転・データセンター需要で先端ノード投資は継続する見込みであり、TELの装置受注も高水準を保つ公算が大きいでしょう。

社長発言・今後の戦略: 河合社長は、中期計画で「売上高3兆円」を掲げるなど成長戦略に自信を見せています(2023年中期経営計画より)。特にEUV対応や3D実装など新技術分野への研究開発投資を拡大し、装置ラインアップ強化を図っています。

またサービス収入や周辺機器ビジネスにも注力しており、顧客設備の稼働率最大化を支援することで継続収益を増やす方針です。NVIDIAやTSMCとは技術ロードマップの段階から協議し、次世代装置ニーズを先取りする関係を構築していると見られます。強固な顧客基盤と技術力を武器に「半導体製造装置で世界No.1を目指す」という姿勢を示しており、中長期の成長ドライバーは明確です。

2. アドバンテスト (Advantest) – テスター需要急拡大の波に乗る

事業内容・技術的強み・製造プロセスでの役割: アドバンテストは半導体検査装置(テスター)の最大手で、SoC(システムLSI)テスターとメモリテスターの両分野で世界シェア約50%以上を握ります。​ investing.com 
製造プロセスの最後であるテスト工程に用いる装置を提供し、高速・高精度なICテスト技術が強みです。

NVIDIAのGPUのような高性能SoCの量産には、大量のテスターが必要です。特に最近はAI関連半導体やHPC向けのテスター需要が急増しており、NVIDIAのH100や次世代Blackwell GPUの出荷増に伴い、アドバンテストのSoCテスターが活躍しています​。reuters.com 
また、AI向けにはHBM(高帯域幅メモリ)の需要も拡大しており、HBMを検査するメモリテスターも旺盛な需要があります​。reuters.com 

技術面では、アドバンテストは微小な不良検出や並列検査性能で他社をリードし、複雑化する半導体に対応すべくソフトウェアソリューションも含めたトータル提案力を持っています。

過去5年間の売上推移: アドバンテストの業績も半導体市況に連動しつつ大きく成長しました。2019年3月期の売上高は約2,824億円、2020年3月期は2,759億円と横ばいでしたが​、 finbox.com その後、5G・AI需要に牽引され2021年3月期は3,128億円(前年比+13%)、2022年3月期は4,169億円(+33%)、2023年3月期は5,601億円(+34%)と急拡大しました。​ stockanalysis.com stockanalysis.com 
2024年3月期は一時的に4,865億円(-13%)と減収となりましたが、​stockanalysis.com これはスマホやPC向け需要の調整によるものです。しかし2024年後半からAIサーバー需要の爆発により受注が再加速し、2024年12月期(※決算期変更)の売上予想は7,400億円まで上方修正されました。​advantest.com advantest.com 
つまり直近2年間で売上規模は約2倍になっており、過去5年で見ると売上は実に3倍近くに拡大した計算です。この成長率の高さは、「AI特需」によるテスター需要急増を如実に物語っています

NVIDIA/TSMC向け売上金額と比率: アドバンテストも直接NVIDIAに販売するのではなく、TSMCやOSAT(後工程受託会社)、メモリメーカー等が主な顧客です。地域別では直近2024年7-9月期に台湾向けが売上の38%、中国向けが22%を占めました​。 reuters.com 台湾=TSMC/ASEなど、NVIDIAの主要サプライヤーが多い地域であり、この数字からもTSMCやASEによるNVIDIA関連投資がアドバンテスト売上の3~4割を支えていると推察されます

実際、同社CEOのダグラス・レフーバー氏も「高性能コンピューティングとAI向け半導体の複雑化に伴い、顧客の投資意欲は非常に旺盛だ」と述べており​、reuters.com NVIDIAのような先端AIチップ分野からのテスター需要が業績を牽引していることを示唆しています。
特にHBMについては、「AI需要に不可欠なHBMへの強い需要を受け、生産能力の増強に努めている」とコメントしており​、reuters.com メモリテスターもNVIDIA関連需要でフル稼働に近い状況です。
NVIDIAの注文増→TSMC/メモリ各社の増産→アドバンテストへの発注増という構図が明確で、同社売上の相当割合(推定で30%以上)がNVIDIA案件に紐づいていると考えられます

競争優位性と成長ポテンシャル: アドバンテストは世界シェア2位の米テラダインと双璧ですが、高速大容量メモリHBMや先端ロジックのテストでは性能面でリードしています。
同社の市場占有率は**SoCテスターで約59%、メモリテスターで約56%と推定され、総合シェアでも58%に上ります​。 nvesting.com これは顧客の信頼を勝ち得ている証であり、特に近年のAIブームでその地位は強固です。生成AIなど新潮流により「半導体試験装置市場もAI関連用途で高水準な需要が続く」**と会社側も見込んでおり​advantest.com 2025年以降も増収増益基調が続く可能性が高いです。
実際2024年末時点で過去最高の受注残を抱えており、供給能力強化のため増産投資も行っています。
5年先を見据えると、従来停滞していた自動車・産業機器向け半導体のテスター需要も回復が見込まれ​、advantest.com AI向けとの二本柱で中期的な成長余地があります。

社長発言や今後の戦略: レフーバーCEOは「中長期的には半導体市場の拡大と複雑化への対応でビジネスチャンスは拡大する」と述べ、AI分野を中心に強気の見通しを示しています​。advantest.com 
同社は第3期中期経営計画を始動し、テスターだけでなく周辺のインターフェース機器やテストソリューション、サービス事業の拡大にも力を入れています​。advantest.com

また、自社のテストプラットフォームをAIチップ開発者向けに開放し、ソフトウェア検証ツール提供などエコシステム構築を進めています。
株主還元にも積極的で、業績好調を受けた自社株買い(500億円規模)を発表し、市場の信頼も獲得しています​。reuters.com reuters.com 

短期的なメモリ市況の乱高下には注意が必要ですが、同社の戦略はAI・HPC時代の需要を確実に捉えており、5年先まで高成長を維持できる体制を整えつつあります。

3. レーザーテック (Lasertec) – “奇跡の急成長”を遂げたEUV検査装置の独占企業

事業内容・技術的強み・製造プロセスでの役割: レーザーテックは半導体用検査装置メーカーで、世界で唯一EUVマスクブランクス欠陥検査装置を実用化した企業です​。kabutan.jp 最先端露光技術であるEUVリソグラフィでは、マスク上の微小欠陥検出が極めて重要ですが、同社の「Actinic検査装置(商品名:ACTIS/A300シリーズ)」がそれを可能にしています。
NVIDIAの最新GPUはTSMCの5nm世代以降(EUV多用)で製造されるため、これらのマスク検査になくてはならない存在です。また、同社はシリコンウエハやパッケージ基板上の欠陥検査装置も手掛けており、半導体製造全体の歩留まり向上を支えるポジションにあります。
技術的強みは「世の中にないものを作る」開発力で、他社が参入困難なニッチ領域で独占的地位を築く**“グローバル・ニッチ・トップ”**戦略を取っています​。 kabutan.jp EUV関連ではオランダASML社とも協業関係があり、TSMCやインテル、サムスンがこぞって同社装置を導入しています

過去5年間の売上推移: レーザーテックはこの10年で売上高10倍超、利益20倍超という驚異的成長を遂げたと報じられています​。kabutan.jp 
実際、2018年6月期の売上高は212億円でしたが、EUV需要の本格化とともに急拡大し、2019年6月期287億円、2020年6月期426億円、2021年6月期702億円、2022年6月期904億円、2023年6月期1,528億円ほぼ指数関数的に増加しました​。irbank.net irbank.net irbank.net irbank.net

2024年6月期も2,135億円(+39.7%)と高成長を維持しています。​irbank.net 特に2020年以降の5年間で売上は約5倍以上になっており、同期間に株価も100倍近くに跳ね上がるという“成長株の象徴”となっています​。kabutan.jp 

この成長はEUV導入の拡大ペースとほぼ連動しており、NVIDIAなどの先端チップ需要が背景にあります。もっとも受注残高の公表を取りやめるほど受注が殺到している状況で、2030年まで強い需要が継続するとされます(※社長インタビュー toyokeizai.net や決算説明資料より)。

NVIDIA/TSMC向け売上金額と比率: レーザーテックは製品の性質上、主要顧客はTSMC、サムスン、インテルといったトップメーカーです。特にTSMCは同社売上の3割以上を占める筆頭顧客との観測もあります(アナリストレポート等より推定)。NVIDIAに直接販売することはありませんが、NVIDIAのGPU量産に不可欠なEUVマスク検査をTSMCが行うために、「NVIDIA関連=TSMC経由」で同社装置が使われる構図です。

EUVマスクブランクス(原版)の供給を受けるHOYAと組んで歩留まり改善に取り組んでおり、TSMCからの信頼は厚いようです。また最先端以外でも、同社の欠陥検査装置は汎用ロジックやメモリ製造でも採用されており、幅広いプロセスノードで売上を計上しています。
具体的な比率は非公表ですが、TSMC向けとサムスン向けで売上の大部分を占めると見られ、NVIDIAを含む先端ロジック需要がレーザーテック売上の中核となっています。社長の岡林理氏は「AI革命はまだ序章で、半導体技術が進化するほど我々の強みが発揮できる」と述べており、​ kabutan.jp NVIDIAのような先端AI半導体の更なる微細化は同社に追い風となります。

競争優位性と成長ポテンシャル: レーザーテックの最大の強みは、競合不在の独占製品を持つことです。EUV関連装置「BI(ブランクス検査)」や「MI(マスク検査)」は同社のみが商用展開しており、これが売上急増を支えています。また顧客と共同開発する姿勢も評価されており、TSMCとは装置開発段階から協働することで他社参入を許さない関係を築いています。

生成AIの隆盛で今後10年にわたり先端半導体需要は伸びると予想され、そのためのEUV活用も一段と進む見込みです。実際、岡林社長は「半導体の微細化は限界に近づいているという声もあるが、微細化が進むほど当社製品への引き合いは非常に強い」と自信を示しています​。 kabutan.jp

さらに将来のEUV以降の次世代リソグラフィ(High-NA EUVなど)にも同社は早くから研究投資を始めており、この分野でも先行者利益を得る可能性があります。5年先の成長ポテンシャルとしては、現在は主に数社に限定される顧客層(トップロジックメーカー)が、新興のファウンドリや中国メーカーに広がるシナリオも考えられます。
その際にも同社が選好されることはほぼ確実であり、ニッチトップ戦略の強みは今後も不動でしょう。

社長発言や今後の戦略: 岡林社長は「この10年の奇跡的成長」を振り返りつつも、来るAI時代で果たすべき役割に強い意欲を示しています​。kabutan.jp 具体的には、2030年ビジョンとして売上高1兆円規模への成長を目指し、新規事業ポートフォリオも模索しています​。diamond.jp

とはいえ半導体検査装置一本足で業績が市況に左右されるリスクにも言及し、ポートフォリオ戦略で安定性を高める意図も示されています​。diamond.jp 
最近は半導体以外(ライフサイエンス領域など)への光計測技術応用も検討しており、技術資産の展開余地を広げています。しかしやはり主軸は半導体向けであり、「微細化・高集積化が続く限り当社の成長も続く」との確信を述べています​。kabutan.jp kabutan.jp

株式市場では東証プライム有数の人気銘柄となり資金調達もしやすくなったことから、積極的な設備投資と人材採用で供給体制を強化中です。今後5年で同社の装置がEUV世代の標準インフラとして定着すれば、安定成長フェーズに移行しつつさらに利益率向上も期待できるでしょう。



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