【読書感想】『超加速経済アフリカ』を読んでみて

amazonでタイトルが面白いと思い、つい買ってしまった。非常に軽い動機での購入である。ただ、読了後わたしは焦りと恐れを感じてしまった。

アフリカというと、飢餓・内戦・貧困という言葉を思い出すが、今の現実は全く違う。輸血を届けるためにドローンが飛んでいたり、ケニアには新幹線が通っていたりと目覚ましい経済発展を遂げている。今後ますます経済は発展することになるだろう。その背景には中国の膨大な投資があり、アフリカがさらに経済発展を遂げれば中国のひとり勝ちという将来が起こる。

一方で、日本は稀有な企業(カネカや味の素など)がアフリカに拠点を設けてビジネスを立ち上げているが、まだまだ少ない。また、某元財閥系の大企業に勤めている友人に聞いたところ、「うちの会社はアフリカではほとんどビジネスやってないかなあ。政治的に不安定だから二の足踏んでる。」と話していた。どこの会社とは書けないが、グルーバル展開をしている大企業である。そんな大企業ですら、アフリカへのビジネス機会を過小評価し、ほとんど投資をしていない。

この状況に私は、焦りと恐れを感じてしまった。この投稿でアフリカへの認識が変わり、これからのビジネスにおいてNEXT ACTIONを取るためのヒントになっていただければ幸いである。

前置きが長くなってしまったが、ここから本書の説明に移りたい。

本書を全体概要と要点を大きく3つに分けて記載した。

【全体概要】

アフリカではテクノロジーのおかげで、飛躍的な経済発展を遂げている。その経済発展を象徴している言葉が「LEAPFROG」である。「LEAP」が「跳ぶ」、「FROG」が「蛙」を指しており、「LEAPFROG」で「蛙跳び」を意味している。アフリカの経済発展は、「蛙跳び」のように一足飛びに既存の先進国を抜く勢いである。

「LEAPFROG」について1つの具体的例を挙げたい。それが「スマホ」である。日本においては、固定電話⇒携帯電話⇒ガラケー⇒スマホという流れでテクノロジーが進化していった。そして日本においつけ追い越せと勢いづいていた中国や韓国も同じプロセスを踏んでいた。が、アフリカの場合、だれも固定電話や携帯電話を持たず、いきなりスマホを持つという状況になっている。つまり、日本・中国・韓国が経験していた固定電話⇒携帯電話⇒ガラケーといったプロセスの遷移を一足飛びにして、いきなり最先端のテクノロジーを手にしているのだ。こういったことが「スマホ」だけでなく、「ドローン」や「マッチングサービス」でも起きているのが、今のアフリカである。

①.アフリカのポテンシャル

まずアフリカの土地は膨大で広い。日本・中国・アメリカがすっぽり入っても、まだまだ余裕がある。しかも、単に広大な土地ではなく、豊富な資源も有している。 この時点でかなり魅力的ではないだろうか。

これに加えて人口が13億人もおり、中位年齢が19歳とかなり若い。今後人口はますます増えていくと考えられる。人口が増えるかつその大半が若者となれば必然的に膨大な働き手を確保でき、経済成長につながると考えられる。

いわば、高度経済成長期の日本と同じこと(いや、豊富な資源がある分もっと優位な状況にあるかもしれない)が、いまアフリカで起きているのである。

②.テクノロジーの活用

上述した通り、アフリカではドローンによる輸血輸送の仕組みができており、4000万人が使っている「M-PASA」という電子決済サービスも普及している。あくまでもこれらは一例に過ぎず、他の分野でも様々な最新テクノロジーが使われている。

このような最新テクノロジーを普及させる要因の1つが、アフリカには規制がないことである。規制がないため、最新テクノロジーをどんどん試すことができる。実際、アメリカのシリコンバレーにある企業はアフリカで実証実験を行い、アメリカの規制が緩くなったタイミングでサービスのローンチを目指すという動きもある。

一方で、日本は規制のせいでドローンを飛ばすにも許可が必要になったり、電子決済サービスを普及させようとしても銀行口座(ちなみに「M-PASA」が普及したのは銀行口座が不要であるというのが背景にある)が必要になったりと様々なルールにがんじがらめになってしまう。また既得権益者の存在も大きい。もし「M-PASA」のような銀行口座不要の電子決済サービスが普及されれば、銀行は不要になってしまう。最新のテクノロジーが導入されることにより既得権益の甘い汁を吸えなくなる人々が反対するのは当然だろう。。。だが、規制や既得権益者の存在によってどんどんテクノロジーの進歩が遅くなっているのは憂うことである。

③.中国の投資

アフリカの脅威の成長を支えているのが、中国の投資である。現在中国は膨大な額の投資をアフリカに行っている。背景には国際世論を味方につけるという中国の思惑がある。アフリカ大陸には54か国ある。国連での1票は国の経済成長度にかかわらず平等に1票は1票である。そのため、アメリカなどの国々を説得するよりも、アフリカを味方につける方がはるかに効率的である。今後中国はますますアフリカへの投資を推し進めて、その投資を背景にアフリカは成長していくだろう。そうなったときに、中国のプレゼンスが大きくなっていくのは当然のこととになるだろう。

以上が本書の要約である。

この本を読んでみて、残念な感想だが「本当に日本にいて大丈夫なのか?このままだとかなり悲惨なことが起きるのではないか?」と思ってしまった。

その一方でアフリカのポテンシャルを知って一度アフリカに行きたいなあとも思えるようになった。
コロナが落ち着いたらさっそく行ってみたいと思う。そして本書に書かれていることが事実だなと判断したら、アフリカで何かできることがないだろうかと模索していきたいと思う。日本が完全に取り残されるまえに、、、



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