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僕は4LDKにひとりで住んでいます

タイトルの通り、僕は4LDKにひとりで住んでいます。
もちろん最初からひとりだったわけではなく、5人でした。

祖母が老衰でいなくなり、妹が結婚し・・・ここまではどこの家庭でもあることだと思います。
母が病気でいなくなり・・・まあ、ここも不運だとあり得るかも知れません。僕の場合は違いますが。

ここまでは普通にどんな家庭でもあり得るのですが、僕を除くと5人にひとり足りません。
あとひとりがどのような形でいなくなったかについて記したいと思います。

父は比較的早く会社を退職し、祖母の介護に専念していました。
祖母が亡くなった後、当時60手前という年齢もあって再就職するのが難しいこともあり、主夫のようなことをしていました。
しかし、主夫の役割をするだけでは時間が余ります。そこでスポーツジムに通ったり、自転車を趣味として始めたり・・・ここまではいいのです。

決定的にまずかったのは、昔からひとり自警団のようなことをしていたことでした。
決して治安が良い地域ではないので、夜中の自宅近くに少年少女がたむろしてタバコを吸っていたりすることがあったり、いろんなことがあるのですが、彼ら・彼女らに注意して回っていました。
警察にも馴染みの存在であり、直接聞いたことはないのですが警察が対応できない範囲のことも頻繁に警察を呼んでおり、扱いに困っていたのではないかと思います。
祖母が亡くなって以降、こういったことをする頻度が非常に増えました。

ある日、近隣にある企業が玄関先を映す監視カメラを置いていることに気づきました。
父は監視カメラが大嫌いで、犯罪防止のため銭湯の脱衣所に置いてあるカメラも、置いていることを理由に行かなくなるような徹底ぶりです。
頻繁に前を通るのに、映り込むことが気に入らないということです。
しかも、その企業は残念ながら遵法意識が低く、目の前の歩道や道路を半ば自分たちの駐車場かのように長時間使用していました。
そういったわけで、恐らく、路上駐車その他の交通に関する法規の取り締まり逃れが主な設置理由ではないかと思います。

そんなことをしていることに持ち前の正義感が耐えられなくなったのでしょう、ある日家族に直談判しに行く旨伝えてきました。
当該企業は少々反社会的な毛色を感じる部分があり、本当に目と鼻の先に住んでいてこちらがどこの誰か簡単に判明するので、単身乗り込むことは身の危険があることから、まず現行犯を視認して、警察に連絡するなど段階を踏んでくれという要請を行ったのですが、警察なんか頼りにならないの一点張り。恐らく警察にも父はお馴染みの存在なので、まともに取り合わないのでしょう。
父も溺愛していた妹夫婦の子どもたちが近隣に住んでおり、頻繁に我が家にも出入りしていたことから、妹夫婦・子どもたちにも迷惑・危害が及ぶ可能性があり、これを話せば踏み止まってくれると思い子どものことを話しても、間違っていることを正す方が優先だと押し切ります。

恐らく、そんな酷いことをしているならやむなしだ、父よ頼むと言ってほしくて家族に話したのでしょう。父は特に祖母が亡くなった後頑固になり、話を聞かないことが多々ありました。しかし、この時の折れなさはいつにも増して凄まじいものでした。

結局、角度を変えたり、いろんな例えを持ち出して説得を試みましたが、考えを軟化させることはありませんでした。そこで、「家族や妹夫婦、子どもの安全よりそれを優先するのか?」と問うと、「その通りだ」とのこと。
これは決定的な考えの差が生じていると思い、「その答えは真剣に受け止めてよいのか」と確認すると「そうだ」と。
家族の安全よりも自分の正義が大切ということにはいろんな考えがあると思いますが、少なくともとっくに経済的には自立している僕は抜きにしても、溺愛していたはずの子どもたちよりも自分の我を押し通すことが優先であることに、とてつもないショックを受けました。

翌日、父から本件をなかったかのようにするような連絡がありブチギレてしまい、この瞬間に僕と父の絶縁が決まりました。

母との間は特に大きな問題にはなっていなかったので、僕が家を出ればあとは問題ないなと思ったのですが、この件をきっかけに過去に父と母の間で起こった問題が蒸し返されたり、母も家族や子どもたちよりも自分のやりたいこと優先だったことにはショックを受けており、母との間の関係も悪くなりました。
最終的には、不動産等の権利関係などを精算し離婚。自宅は父・母双方持分がありましたが、購入時から母の持分の方が多く、現金も多かったことで家は母の持ち物になり、父は家を出ることになりました。
その過程でも「収入がないし高齢だから賃貸の審査が通らない」という理由で、無断で共同の持ち物であったお金からマンションの一室を購入するなど、極めて身勝手な行動が多々あり、改めて縁を断つ意思を新たにしました。

父は恐らくここに住んでいるという情報は得ていますが、直接のやり取りを事が起きてからは一切しておらず、母との間でもメールでのやり取りのみでした。そのため正確なことはわかっていません。
次に接点があるとすれば、恐らく亡くなった時なんだと思います。

当時から母は持病があったため、父が出て行く前に最後まで面倒を見るという約束をしました。
その後どうなったかは以前書いた通りです。これが「最後まで面倒を見る」に値するかはわかりません。個人的には違うと考えるところが一定あります。
ですが、父は自分の理屈で家族関係を放棄したわけなので、客観的・または自分がどのように捉えるかはあっても、父に評価する権利はないと考えています。

そういう過程があって、僕は4LDKにひとりで住んでいます。

父がいると思われる方角を写した写真が偶然あったので、ヘッダーにしました。

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