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脱OTA・宿泊予約サイトに掲載しない理由

こんばんは。 いつもお読みいただきありがとうございます。

noteでは、blogやInstagramなんかでは少し重たいかなぁと思う、宿泊業に関わる話題も書いていこうかなぁと思っています。 宿の裏側の話、お金の話なんかが苦手な方は、そっと閉じてくださいね。

さて、たまにTwitterなんかで話題にしたりしているのですが、表題の通り「チャシバクINN」は、OTA・宿泊予約サイトに掲載をしておりません。

宿泊のご予約はホームページ内のメールフォームや、電話など、直接のご予約のみで行っています。

いくつかの理由により、そんな無謀とも思われる挑戦を行っているのですが、そんな考えを言語化しておこうと、noteにまとめてみました。

長くなってしまいましたが、どうぞお付き合いください。

OTA・宿泊予約サイトとは・・・

オタではなく、オーティーエーと読み、OTA=Online Travel Agentの略。 オンライン上の旅行会社のことですね。

代表的なOTAとして、booking.com、Expedia・Agoda、楽天、じゃらん、るるぶ、一休など、たくさんあります。

宿泊代の8~18%ほどの手数料を支払うことで、全世界に向けた予約サイト上で自分の宿を宣伝・販売することが出来ます。

余談ですが、OTAが世に出る前からあるのが、JTBやHISなどの旅行会社で、そちらはリアルエージェントと呼びます。

OTAと同じように送客手数料、斡旋手数料を支払って、文字通りお客様を宿に連れてきてくれる存在です。

OTAを使うメリット

ひと昔前までは存在しなかったOTAなのですが、今や多くの人は、なにかしらのOTAを使ったことがあると思います。 旅先の宿を決めるにあたり助けになる存在。 もちろん私も使ったことはあります。 

知らない土地、特に海外旅行をする時なんかは、希望の日程とエリアで検索をかけると、たくさんの宿がリストアップされ、写真や情報、料金プランを比較して宿を選べる。 便利ですよね。

利用者目線でのメリットとして

1.利便性

・たくさんの宿、料金プランがリストアップされる。
・テンプレに沿った写真や情報が登録されているので、比較が容易
・条件にそった宿(エリア・日程・空室有無など)が検索が出来る。
・個人情報を登録しておくと毎度の入力が不要。 

2.価格面

・各OTA独自の割引、セール、キャンペーン、プロモーションがある。
・ポイント付与がある。

3.安心感

・宿とゲストとの間にOTA = 旅行会社が入るので何かトラブルがあった時に安心。

それらの理由から、多くの人が利用し、多くの人の目に触れる = 「集客力がある」というのが、宿がOTAに掲載をする一番のメリットではないでしょうか。

脱OTA・宿泊予約サイトに掲載しない理由とは

では、そんな集客力のあるOTAに掲載しない事はデメリットと理解しながらも、なぜ「チャシバクINN」は脱OTAをし、宿泊予約サイトに掲載をしないのか?

それは前職のホテルで働いていた時に感じたことや、自分が客として宿を予約する際に感じていたことなど、実体験をもとに宿運営を考え、OTAの持つ「集客力を手放す変わりに得られるメリット」があると考えたからです。

OTAや、掲載されている宿の批判ではなく、あくまでも私個人の考え、そして挑戦であり、現在進行形で実験的に実践をしています。

OTAに掲載をしないという事は、不特定多数から選ぶのではなく、何かのきっかけでホームページやSNSをご覧いただいたり、友人知人やフォロワーさんからの紹介などから選んでもらってのご予約、すなわち「指名買い」が多くなります。

「脱OTA」そして「指名買い」で生まれるメリットがこちら↓

1.ミスマッチが少ない その1(宿のスタイルについて)
2.ミスマッチが少ない その2(立地について)
3.料金による比較がされにくい
4.料金掲載・予約経路の1本化
5.予約&在庫管理がシンプル・費用がかからない
6.おまけ

以下、詳しく解説していきますね。

1.ミスマッチが少ない その1(宿のスタイルについて)

チャシバクINNは、ホテル・民宿・ゲストハウスのスタイルをミックスした宿で、どれとも当てはまらないので一番しっくりきた「INN = 小さな宿」を名乗っています。

ホテルを探している人にとっては、部屋にテレビはないし、寝間着も歯ブラシも置いてなく、夕食も出しておらず、大浴場も勿論ない。 

ゲストハウスを探している人にとっては、安価なドミトリーはなく、ゲスト同士で寛げる共有スペースはないし、食事を自炊調理できるわけでもない。 

元民宿の建物を手作りで直し、床板に無垢のパイン材を張ったシンプルな、お風呂+トイレ付きの個室が4室。 リネン(麻)のシーツを敷き、朝食に焼きドーナツが出てくる。 湖畔に建つそんな小さな宿が「チャシバクINN」

ホテルです。民宿です。ゲストハウスです。と一言で表現するのが難しく、だからこそ実際にいらっしゃるまでに、どんな宿なのかをよく知ってもらう必要がある宿と思っています。

HP・SNS・口コミから指名買いをしていただく事で、事前に雰囲気をつかんでもらう事ができ、「こんなはずじゃなかった」「思ってたのと違う」といったミスマッチが少なくなる事が、メリットの1つと考えます。

2.ミスマッチが少ない その2(立地について)

北海道の洞爺湖へ旅行にと決められた場合、チャシバクINNのあるエリアと、車で20分離れた温泉街のほうとでは、同じ洞爺湖といえども、お店の数や、雰囲気などが違います。

遊覧船やロープウェイに乗ったり、夕飯にジンギスカン、ラーメン、海鮮と食べ歩きをしたりとかは、チャシバクINNからの徒歩圏内ではできません。

観光地のような賑やかさはないけど、湖に近くのんびりとした空気が流れており、ゆっくりと散歩したりぼーっとしたり、小さななパン屋やカフェがあり、そこに暮らす人と話したり。 そんな場所。

その宿の建つ場所によって、やりたい事、やれる事は限られてきます。

HP・SNS・口コミから「指名買い」をしていただく事で、チャシバクINNのあるエリアの周辺状況をよく知ってもらってからお越しいただけるので、「こんなはずじゃなかった」「思ってたのと違う」といったミスマッチが少なくなる事が、メリットのもう1つ。

3.料金による比較がされにくい

OTAに掲載した場合、日付+エリアでずらーっとリストアップされた不特定多数の宿の中から、選ぶ方式になってしまい、限られた情報だからこそ、AよりBのほうが安いと、判断基準が「料金」になってしまう事もあると思います。 

「指名買い」のありがたい所は、ホームページに出されている料金を見て、ハード(客室・設備)× 立地(景観・周辺エリア)× ソフト(雰囲気・食・取組み)に見合っているか? それ以上か? と、料金vs他館の料金の比較ではなく、料金vsチャシバクINNの比較をしてもらえるところ。

チャシバクINNの宿泊料金は、自分たちがそのハード×立地×ソフトに対して妥当と思う、そしてこの事業を長く続けていける料金を設定をしています。 もちろん、いただける料金に見合うように、ハードを整え、ソフトを準備し、お受入をしているつもりです。

仮にリストで並べられた他の施設の料金を見て、それに合わせて値下げをしたり、OTAのキャンペーンやセールによる単純な値引きをせざるを得ない状況になると、自分たちが妥当と思う料金が崩れ、長く続けることが困難になると考えています。

料金勝負になれば、資本のある大きい所には勝てないです。 安いから選ばれるという様な、そんな同じ土俵にのらない。 ハード×立地×ソフトが妥当と思われる料金で選ばれる宿を目指すことが必要、重要と考えています。

4.料金掲載・予約経路の1本化

ここまで、いかに「脱OTA」「指名買い」していただく事が重要かを書いてきましたが、いずれも宿屋目線なんですよ。

お客様目線では、たしかにミスマッチがないのはよいけど、それだけ? なら便利なOTAで予約するよーとなりますよね?

「指名買い」して頂く事が前提とはなりますが、実はこの「料金掲載・予約経路の1本化」 というのが「脱OTA」における最大のメリット(お客様的に)と考えています。

こんな経験ないですか? 行きたい宿が決まり検索をする。 

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ずらずらずら

公式サイトにはツインルーム4900円、Bookingには2ベッドルーム5000円、じゃらんには洋室5000円と、同じに見える客室でも表記や料金が微妙に違って、なにが違うんやろう、、、と。

大きなホテルですと、食事付きを筆頭に、ドリンク付き、ケーキ付き、伝家の宝刀QUOカード付きプランなどなど、OTAごとに名称違い、料金違いの、様々なプラン群。

人にもよりますが、旅行を計画する際に、国を選び、エリアを選び、公式サイトかOTAかメタサーチかで、宿を選び、客室を選び、プランを選ぶ。 選択、選択、選択の連続。 そして料金や内容を比較、検討、比較、、、

いくつものOTAに掲載をし、各OTAごとのプラン造成は、多種多様な要望に応える為、目を惹く為、システム的な問題など、色んな理由から行われているのは分かります。 でも結局どれがお得なん?ってなりますよね。 私ね、もうこれ売り手としても買い手としても疲れたんです。 

なので「チャシバクINN」に興味を持ってくださった方には、その選択+比較の時間が出来るだけ少なくなるよう、その時間を「洞爺湖に来てからどう過ごそうか考えるのに使ってもらったほうが有益」よね?という想いから、ホームページにシンプルな素泊まり料金(+朝食の有無)のみを掲載し、ホームページのメールフォーム、お電話からのお受付けをする「料金掲載・予約経路の1本化」をしています。

「指名買い」していただく事が前提となり頑張らないといけない所で、また特定のOTAしか使わないと決めている方がいらっしゃればお手上げですが、「料金掲載・予約経路の1本化」をして、直接のご予約のみにすることにより「どこから取れば安い?お得?」がなくなります。

探し当てられる確率は低くなりますが、見つけていただき、泊まりたいと思っていただいたお客様は、予約方法や内容を選ぶ「手間」を減らし、損しているかもと考えなくて済む「安心感」を感じていただけると考えています。

5.予約&在庫管理がシンプル・費用がかからない

最後は、運営的な面でのメリットですが、「脱OTA」をし「料金掲載・予約経路の1本化」をすることにより、当たり前ですが予約通知も1本となります。

「チャシバクINN」の場合は4室のみなので、予約管理はメールフォーム・Gmail・Googleカレンダー・カレンダーアプリといったフリーアプリ中心に行っています。 なので無料。

そしてOTAへ、宿泊料金の8~18%を支払うことになる手数料が不要。 ちりツモですが10%として100万売れば手数料10万ですからね。 馬鹿にできません。 昔に比べて手数料率もじわじわと上がってきていますからね。

さらに複数のOTAへのお部屋掲載をしないので、在庫管理=コントロールが容易。 それに伴いサイトコントローラーも不要となり、その費用がかかりません。 さらにさらにOTAとの共有在庫管理をしなくてもいいという理由から予約エンジンも不要となります。

6.おまけ

うちのような小さな宿は特に影響を受けませんが、大きいホテルや人気の宿なんかだと、Googleの広告枠をOTAに買われて、Google検索を宿名でかけると、公式サイトより上位に、OTAサイトが表示されるという問題もあります。

これはせっかくの「指名買い」をしていただけるチャンスが、最後の最後で、OTAに流れてしまう可能性が出てしまうことにも繋がります。

また今後考えられることとしては、Googleマップからの流入が増えていくこと。 そして何度かネット上で噂にあがる「book on Google」

大広告主であるOTAは無視はできないとは思いますが、GoogleがOTAに参入すれば、バランスが一気に変わる可能性も考えられます。

そんな大手企業の方向性ひとつで一辺する世界。 外部の販売チャンネルに依存をすることなく、宿自身が発信力をつけ、マーケティング、セールスをしていく必要を常々感じています。

とはいえ、Googleの提供するサービスはありがたく使いまくっていますし、SNSのアプリを使って発信、この記事もnoteに書いてますが、、、笑

最後に・・・

では、なぜ集客力があるOTAに頼らずに、直接の予約だけでやっていけるのか?

1つに固定費(開業費、家賃、人件費など)が抑えられており、宿以外の事業(ドーナツ店)も行っている為。 

これにより、宿をフルフルで回さずとも、なんとか暮らしていっています。 ↓詳しくは過去のnoteをご覧ください。

2つに、競合の少ない田舎にあること。 近隣に似たような宿が乱立すれば、考えを改めるかもしれませんが、幸い現状は同じ土俵で叩き合う宿が少ない為、こういった方法にチャレンジ出来ているのかなぁと思っています。

便利で集客力のあるOTAですが、前述した私が考えるメリットを元に、OTAに掲載せず、現在進行形で実験的実践をしています。

将来的に、そのOTAの持つ集客力と同じくらい、直接の予約で先々の予約が埋まるようになれば最強じゃないですか?? 理想ですよね。

まだまだ道半ばですが、そんな選ばれる宿、行ってみたくなる宿を目指し、そしてご滞在を満足いただけるように、頭をひねって体を動かし、宿と共に成長していきたいと思います。

以上、お付き合いありがとうございました。 長くなってしまいましたが、チャシバクINNが「脱OTA・宿泊予約サイトに掲載しない理由」でした。

おしまい

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チャシバクINN / 田中陽介
誰かにとっての「行ってみたい宿」 誰かにとっての「お役立ちな記事」となれば幸いです。