仮面ライダーガヴから感じる「切なさ」と「暖かさ」
2024年9月1日、今年も新たな仮面ライダーの物語が幕を開けた。
今回は『仮面ライダーガヴ』について現時点で思ったことを書いていきたいと思う。
・ポップな雰囲気に反して重いストーリー
今回の仮面ライダーは主人公である仮面ライダーガヴの『お菓子』というモチーフや、ポップでどこか可愛らしさも感じる配色やデザインが目を引く。
しかし蓋を開けてみると、そこにあったのは重厚な物語だった。
主人公のショウマは本作における敵の怪人「グラニュート」の出身地である異世界・グラニュート界の出身で、人間の母親とグラニュートの父親の間に産まれた存在。それゆえに、ショウマの戦いは必然的に「同族との命の奪い合い」であり、ショウマが変身する仮面ライダーガヴも事情を知らない人間にとってはグラニュートと同じ怪物である。
時には助けた人間から「化け物」と呼ばれ、グラニュートからは「出来損ない」と嘲笑されながらも彼はそれを受け入れ、亡き母が愛した人間の世界を守るために旅を続けている。
グラニュートは彼らにとっての嗜好品である「闇菓子」のスパイスにするために人間を連れ去っている。人間の感情を材料としている闇菓子は、素材となる人間が幸せであるほどに質が良くなるという。
この「嗜好品」という部分が重要で、過去の仮面ライダーで例えるなら「キバ」のファンガイアにとってのライフエナジーのように食べなければ生きられないといったものではなく、純粋に自身の欲求を満たすために幸せな人間を食い物とする姿は、人類との共存が不可能な絶対悪という印象を受ける。
ショウマはそうしたグラニュートを倒す際に「二度と闇菓子に関わらないか、この場で俺に倒されるか」という選択肢を選ばせている(そして闇菓子から手を引くグラニュートは現状存在しない)が、果たして人間との共存の道を選ぶグラニュートは現れるのだろうか。
・人の暖かさ
しかしガヴは終始暗く重い話なのかと言うと、決してそうではない。
主人公のショウマは純粋無垢かつ明るい人物であり、初めて味わう人間界の食べ物やお菓子の味に舌鼓を打つ彼の姿は見ていて微笑ましく、自分も思わずお菓子を食べたくなった。そしてそこからグラニュートに立ち向かう姿の二面性がかっこいい。
第1話の始少年との出会いと別れはこれだけでも一本のドラマとして完成されていると感じた。
他にもグラニュートや仮面ライダーの謎を追うフリーライターの辛木田絆斗やショウマを拾った何でも屋の社長の甘根幸果など、主要人物は明るく前向きな者が多い。オープニングでは彼ら3人の仲睦まじい様子が映っており、本編でそうした空気になるのが待ち遠しく、今後の展開がとても楽しみ。
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