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劇団『アクタゴン』の感想

※こちらの記事では、2024年12月10日に日本武道館で行われた「演劇ドラフトグランプリTHE FINAL」 のネタバレを含みます
※観劇後の閲覧を推奨します
※修正、追記等を繰り返します

●はじめに
 エンターテインメントが好きです。ステージ上でキラキラと輝く人を見るのが好きです。それから、ステージに立つ人を応援している自分が好きです。
 辛く苦しく、どうしようもない時にも「私ってまだこんなに“楽しめる”んだ」と気づかせてくれるエンターテインメントには、何度も救われてきました。縋りつきながら、今日まで支えられてきました。
 いつか観た舞台で演出家の方がおっしゃっていました。
──「記憶」というものの保存は難しい。「思い出」は「思い出」でしかないかもしれない。でも、それを必要としている人がいる限り、エンタメを絶やすことはしたくない。
 観客側の私が言う言葉では無いかもしれませんが、需要も供給もあることは、双方の明日からの先を明るく広げてくれていると思います。これまで体験してきたエンターテインメントは、間違いなく、私の財産です。誰にも奪えない財産を、これからも積み重ねていきたいです。
 



劇団『アクタゴン』
テーマ:引越し
演目「再生する」

 かなり締めの言葉で【はじめに】を終わらせていますが、そんなエンターテインメントを頭からどっぷり浸かったな、というのがアクタゴンの好きポイントだったのでした。つまり、こちらもまたすごく好みでした。

 見終わったとき、どう思いましたか。私はリアルタイムで配信を視聴していましたが、「今すぐ巻き戻して再生させてくれ!!」と思いました。ゾクゾクしました。
「演劇って、どうやってはじめるんでしたっけ?」のセリフが後半で再生された時、20分の中に取り零してきた大事なことが何個あるのだろう、いやこれは川尻氏の演出。それはもう、怖いくらいあるのだろうなと察しました。素直に面白い!と思いました。

 そもそもテーマの引越しと演目名の再生するがなにも結びつかなかったので、魂のお引越し、というワードが出てきたところでそういう話か〜となんとなく考えながら観ていました。いや、全然違いましたが。

 テーマって難しいですね。且つ、とても自由ですね。ここまで観て(4つ目)、私的にはアクタゴンだけが異色に感じました。観終わってからテーマはなんだったでしょう?とクイズを出されたら自信満々に「地獄」と答えると思います。
 本編しか見ていないのですが、テーマ決めから段階を踏んでた方たちは、それぞれのテーマからどんな舞台が出来上がるのかも楽しみだったことでしょう……次があれば私もそこから参加したいです。

「役者はみんな嘘つき。夢を与える嘘つき」
 嘘をつき続けた役者たちが集められたアクタゴン。同じことをずっと繰り返し続け、再生し続けなければならない地獄。
 もしアクタゴンがあるのなら、私は今まで見てきた何を繰り返すことになるのだろうか、と考えてみました。いやしかし、いくら楽しかろうが、抜け出せない地獄は苦しいことでしょう。

 たしかに他の方の感想や考察を読んでいると、過去2年間の内容を目一杯に盛り込んであるらしく、セリフの中の単語をひとつ取っても関係性があるとのこと。
 そう言われたら「なるほど、すごい、そうなんだ」とは思うものの、内容が分からないとか着いていけないとかそういうことはなかったです。
 それを踏まえて「勝ちに来ている脚本だった」という感想も目にしたのですが、それを知らない私からすると演出が化け物(褒め言葉です)だったなと思いました。
 開幕から一度も変わらない照明、小道具も一切ないステージ、色の無い衣装、一度たりとも鳴らない音響。これだけの観客がいるからどよめきが聞こえるものの、無音って本当に怖くないですか。演劇の力を信じてやる、という勇気と度胸がとんでもない。

 ステージから誰も居なくなった無言(ムゴン?)の時間はなんというか、観客側も地獄体験させられてたのかなと思いました。ムゴンを観せられる舞台観劇、地獄ですよ。あの時間で客席がどよめいた回数は、5回でした。波のように静寂とどよめきが繰り返されていて、配信でみている私からすると客観的にすごく面白い空間が出来上がってました。これもまた地獄絵図、とでもいうのでしょうか。
 その場合はどんな罪でしょうね。嘘つき(演者)を応援してしまった罪ですかね?となると、武道館に集められた観客含め全員がアクタゴンに閉じ込められていたことになり。「演劇ドラフトグランプリ THE FINAL」を観に行ったことが「一番楽しかった記憶」だった人たちが地獄から抜け出せなくなったということになり、これをまた繰り返し繰り返し……。八大地獄に追加してください。

 気になるところはいくつかありましたが、「編集部の人たち〜!」のところ、配信では何かを拾ってそれを見る動作がしっかり抑えられているんですよね。あのセリフ自体も意味のあることだと川尻氏がポストされていました。
 拾い上げたのが伝言、または遺言かな?と思いましたがどうでしょうか。ゴンがつく言葉だとそのあたりかなと……。もしくはソラー(給金)を編集部の人達から受け取ったのかも。
 編集部の人たちも嘘つきに加担してるようなものなので、いま武道館にいるのならつまりアクタゴンに囚われているってことですものね。果たして、どこまでが地獄に落ちた人達なのか。

 来世紹介所での「嘘をつき続けた人が行く、」に続くのは「アクタゴン」かと思いますが、紹介されたのは八大地獄と似たような地獄の数々でした。どこも行きたくないし、何をしたら行くのか分からないから今のうちに教えて欲しいです。キモイゴンはキモイから嫌ですし。
 しかしまあ残念ながら、私達も「ムゴン」には囚われているんでした。もう、このループからは抜け出せない。「アクタゴン」が再生し続ける中で「ムゴン」を再生し続けるのです。そして訪れる「ムゴン」の時間に悲鳴と笑いをあげ続けるのです。

……地獄だよ。




以下、なにも解決しないメモ
・おっきい地獄
繰り返されるアクタゴン
永遠にこめかみをグリグリされるグリンゴン
針の上を歩かされるイタイゴン
しあぶり(火あぶり)のアツイゴン
血の池のキモイゴン
・その他の地獄
ゴホウビゴン
ムゴン(?)
ニゴン(?)
デンゴン(?)
オクタゴン(?)
・考えたこととか分からないこととか
山に埋めましょう→やまいも?
ソラー(空の通貨)
子供の練習をしに来てる→ここでは生まれ変わるか地獄に行くかの2択しかない(天国は存在していない?)
5人に見える乱視
小さい嘘は一文字取られて小地獄に行く(来世紹介所で働いている?)
劇団のイラストはオクタゴン(八角形 日本武道館)→八大地獄を表している
小地獄と大地獄
八大地獄(地獄草紙)


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