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【番外編:John Sykesの訃報に接してから】
私がJohn Sykesの訃報に触れたのは今週の火曜日だった。月3回通っている書道師範コースのお稽古から湯島神宮の通訳ガイド業務補助に向かうまでの電車の中だった。
私は洋楽ファンではあるがギターキッズではない。ギターに関してはコードFではなくてコードCが押さえられなくて断念した男だ。このジョン・サイクスを初めて知ったのが、1987年の私の誕生日前日にリリースされたアルバム「1987」邦題は「白蛇の紋章〜サーペンス・アルバス」だった。
リーダーであるDavid Coverdaleの艶のあるボーカルと共に、重厚かつメロディアスなJohn Sykesのギターにも魅せられた。当時私は1年の浪人生活を終えて大学生になる寸前。高校のかつての同級生はこのアルバムを「本年度No.1アルバムは既に決まった!」と太鼓判を推すほどの傑作だった。1987年上半期だったのにすでにNo.1は決まったというわけだ。
もちろん私もこのアルバムに魅了された。楽器の演奏できない私はこのアルバムの影響で自然とDavid Coverdale崇めるようになり、John Sykesに畏敬の念を抱くようになった。音楽的嗜好から1980年代のマイベストアルバムはレッチリの「母乳」になってしまったけれども、「サーペンス・アルバス」はほぼ同等な評価だった。
Spotifyではこの2枚のアルバムについては全曲ダウンロードするくらいの愛聴盤となった。そしてJohn Sykesというギタープレーヤーのことはいつの間にか記憶の奥底に沈んでいった。洋楽に親しむようになってから発見した新たなスターという意味で、自分と身近な存在であり、同じずっと現役でいるという感覚だった。洋楽に触れる前から既に大成功を収めているスターは年とともに存在がどんどん増していき、年齢を重ねるたびにさらに大きな存在へと昇華し、やがて星になり、私以外の多くのファンを空から見つめる遠くて偉大な存在。John Sykesも既に有名な存在ではあったが、私にとってはいつまでもリアルタイムで居続ける存在だった。彼が65歳となり、ガンで苦しんでいることなど2025年1月まで意識することはなかった。
もし次に思い浮かぶ「リアルタイムな年を取らない私のスター」はMartin Lee Gore & David Gahanかなぁ?てなわけで週末を迎えてもずっと心の奥底を抉られる感覚で、どよ~んとした思いと昔を懐かしむノスタルジックでセンチメンタルな感情は続くわけであります。
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ぜひあちらで、Phil Lynottと作曲やセッションをしてください。ぜひあちらでRandy Rhodesとレス・ポールを抱えながらギター談義に花を咲かせてください。おつきあいいただきありがとうございます。