ゴールデンカムイ・聖地巡礼2
五島軒は坂の途中、函館山の足元にある。見上げればすぐそこに聖地。
ゴールデンカムイ(金カム)の作中では、箱館戦争の遺物、回天丸の主砲が隠されていて駆逐艦に反撃をするシーンが描かれている。
弾丸ツアー当日は薄曇りに小雨がぱらつき、函館山は霧がかかり、町中を散策している間、常に風が吹いていた。
出発前は酷暑を耐えられるかと心配していたが、ちょうどよく体が冷やされる。髪は湿度と風で乱れに乱れ、五島軒の店内で一生懸命撫でつけるがすぐにぐじゃぐしゃになる。
作中、五稜郭から函館湾へ機関手がいない暴走列車で、文字通り最後の死闘が繰り広げられる。主な登場人物の数名はここで命を落とし、私の最推しも自死を選ぶ。
客車から切り離された機関車は主人公の一人杉元とラスボスともいうべき鶴見中尉を乗せたまま、線路の終点の列車止めを突き抜けて函館湾へと沈んでいく。
その地に立っているということだけで、脚が震え動悸が高まり、目頭が熱くなってくる。
・一首目
函館山のふもとで聞いた空耳
・二首目
鶴見中尉はウラジオストクで諜報活動をしていることが発覚し、襲撃を受け、流れ弾で妻子を亡くすという悲しい過去を抱えていた。
住まいに火を放って証拠を全て消し去った後、妻と幼い娘の小指の骨を大切に隠し持っていたが、最期の闘争でその骨すらも失くしてしまう。
・三首目
自分の存在価値を見失っているときに、鶴見中尉に見いだされ、身を挺してあらゆる汚れ仕事もいとわず忠実に遂行してきた月島軍曹。この金塊争奪戦のさなかに、鶴見中尉への猜疑心が生まれながらも、思い断ち切れず、函館湾で中尉の痕跡を探す日々。
・四首目
初登場時は奇矯な行動のぼんぼんキャラだったが、終盤には飛躍的な成長を遂げる鯉登少尉。
金塊戦争奪戦終了後、聯隊の不始末を収束させ部下を守るために奔走するであろうことが暗示される。鶴見中尉への未練を断ち切れずに函館湾をさらい続ける補佐役の月島軍曹に、『右腕となれ』と前向きに生きることをきっぱりと命じる姿。