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卒乳だね、ありがとう。


いつも通り、夫を朝見送ってから寝るまで、娘と2人きりの平日。

お昼前に2人でお散歩へ出発。

自転車に乗って、図書館へ行き本の返却と貸出しをした。ついでにスーパーにも行ったりして、あちこち寄り道しながら帰宅。

今思うと、今日はいつも以上に「カカ(私のこと)、だっこ!」が多かった気がする。

明日はバイトで朝から家を空けるので、翌日分のご飯の準備などをしていてあまり相手をしてあげられなかった。

何とか作ったご飯もなかなか食べてくれず、床にはご飯粒が散らかり、「あっち!あっち!」と冷蔵庫を指さしては好物のチーズをねだる娘。お昼にも食べているからあげられず、最後にはパンと牛乳を出した。作ったものを食べてもらえないのは心が堪える。

その後いつも通りお風呂に入って、玩具や本の片付けをして寝る準備をする、いつものルーティン。

いざ寝ようかというところで、絵本を読んでほしい娘。卒乳をしたら、おっぱい(娘はおっぱいを「マンマ」と呼ぶ)以外で寝かしつけをすることになるから、寝る前にねだられた時には読んであげるようにしている。今日も娘の気がすむまで何度も読んだ。

満足した娘は「ねんね」と自ら寝室へ向かって行ったので、後を追うように立ちあがあると消防車のサイレンが聞こえてきて、近くで止まったのでカーテンを開けて窓の外を確認した。娘は少し怖そうな様子で私を見ていた。

いつもと違うといったらこの点。

寝室に入ってからも娘は少し遠くで鳴り響くサイレンの音に耳をすませながら神妙な面持ちをしていた。

しばらくしてから「ねんね!」と言って布団に横になり、いつも通り「マンマ!」とおっぱいを要求。でも、15秒くらいで「ないない(要らない)」と口を離した。

サイレンの音は止まっていたけど、怖かったのかなあと思いつつ様子をみていると、そのあと再び「マンマ!」→「ないない」のくだりが2回あった。

3回目に口を離してからは、うとうとし出して自ら眠りにつこうとしていた。ほとんど授乳はしていない。口にくわえるも、なにか違うような様子ですぐ離す。仰向けバンザイの姿勢で自力で眠ろうとする娘の隣で、声を抑えながら泣いた。

泣けた。

もう最後なの?


1歳5ヶ月、「そろそろマンマはバイバイだよ〜」と毎晩娘には話していた。

親知らずの治療や、歯のホワイトニングなど、卒乳したらやりたいことが沢山あり、まだかまだかと授乳が終わることを待ち望んでいた。

周りはだいたい1歳を迎えると難なく卒乳していって、それを聞く度に若干の焦りや心配もあった。


でも。


無理やり断乳することは、意志の強い娘を相手にお互いに負担になると思い、時が来るのを待つことは決めていた。

だから、こういった形の最後は、予想ができたのかもしれない。

それでも、あまりにも娘の成長が眩しくて、そして少し悲しくて、あっけなくて。。


産後、ベットの上で初めて授乳をしたこと。みんなこんな激痛を経験したのかと心底驚いた。

退院後、乳腺炎と菌血症を併発しても授乳だけは何とか必死にしたこと。

授乳クッションの上で気持ちよさそうに眠る娘の顔。

添い乳を覚えてからは、「マンマ!」と要求しながら娘はゴロンと寝そべるようになった。その姿も本当に可愛かった。

グズグズとしていても、マンマをすると一瞬で安心した顔になること。


身体は痛いし、夜もまとまって寝れたことは出産してから今日まで数えるほどで、大好きなお酒も控え大変なことも多かった。

でも、母である私だけができる授乳が、もう無くなってしまうのは悲しすぎる。

大変なことはそのままでもいいから、おっぱいを飲みながら安心した顔で眠る娘をずっと見ていたい。

それがもう叶わないことが現実になってくると、私も1歩前に進まなくてはと感じる。

本当に、偶然にも今日は、自分の育児に自信が持てず心を病んでいた。そんな日に、母を励ますかのように娘は大きな成長を見せてくれた。

なにか、感じ取っているとしか思えない……

ありがとう。




この記事を下書きしてから10日ほどだろうか。

この時が最後ではなく、結局しばらくは授乳が続いた。

でも、最後を伸ばしたい私の気持ちとは裏腹に、娘は日に日におっぱいを必要としなくなっていった。

生まれてから毎日毎日、おっぱいを飲み続けてきたから、つい習慣で「マンマ!」と言ってしまう感じ。

初めて授乳なしでお昼寝ができた翌日、夜も授乳なしで寝られた。

その次の日は、朝方まで起きずに眠れた。

その数日後は、朝方起きてもおっぱいなしで二度寝ができた。

2月13日、朝方またいつもの癖で「マンマ!」と言う娘に、これで最後ね。ありがとうね。と言って、最後の授乳を決意した。

娘は、「うんっ!あーとっ」と、寝ぼけながらに言っていたけど理解できたのかな。

間違いなく、私の方が心が追いつかない。

娘はきっと、もう大丈夫。

ここで卒乳をした方が、夜もぐっすり眠れるし、朝ごはんもちゃんと食べられる。私がいなくても、眠りにつくことができる。

1歳5ヶ月22日。


思っていたより長かったけど、あっという間の卒乳。

確かに苦労は多かった。
ピュアレーンが必須だった。。
ついつい頭にきてしまうこともあった。


でも本当に幸せだった。

最後の授乳は、私のお腹を触りながら、冬の寒さに少し冷たくなった手がだんだんと暖かくなっていきながら。


この先の子育てをしていく日々は、二度と戻ってこない時間。

節目節目に気付かされるのだろうけど、このことを忘れずに、大事に大事に。たくさんの愛情を伝えながら、娘からの愛情をたくさん抱きしめながら、過ごしていきたい。

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