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黒いリンゴを、あなたは食べますか?

jazzを聞くようになったのは30代後半のころだろうか、

とくにjazzが聴きたいという強い気持ちがあったわけではないのだが、あまりにも大人が聴く音楽が巷になかったのをきっかけに、あとはjazzが音楽だけでなくアナログ盤を収集するとか、オーディオにこだわるとか、そのステイタスにもあこがれたということも正直あった。

ピアノが好きな僕はビルエヴァンスから入り、マイルスディヴィスやチェットベイカーのトランペットがかっこいいと感じ、次に興味が走るのがjazzvocalだった。

サラヴォーンやニーナシモン、ヘレンメリル・・・時代はリアルタイムではないこそ彼女たちの歌やその色気に魅了されていった。

ビリーホリディのレコードを買ったのはディアゴスティーニでjazz名盤特集が発売されたからだ。女性jazzボーカリストとしての垣根を超え、その深く悲しい歌声に衝撃をうけ、なぜか他のアーティアスと違い、心して聞かなければなかなか重たいjazzではあった。

昨日、NHKの番組『映像の世紀 バタフライエフェクト』でビリーホリディの
『奇妙な果実』が特集された。

黒人差別、人種差別によりその昔、黒人たちは白人にリンチをうけ見せしめに屍は気に吊るしぶら下げられ、その光景を『奇妙な果実』と表現し、ビリーは深い悲しみと憤りをうたい上げた。

白人にリンチを受けつるし上げられる人々
遺体を焼かれて吊るしあげられることも・・・

僕にはなかなか理解できなかった。肌の色や人種でなぜにこれまでに異常な差別や排除的な暴力が行わるのだろう?僕が黄色人種だからだろうか?

ビリーホリディというシンガーを通してその人種差別の惨忍さと根深さを恥ずかしながら僕は初めて知った。

人種差別というのは実は日本人でいる僕らにはいまいち蚊帳の外の問題と思っている人が多いかもしれない。黄色人種で形成された島国だということもあるかもしれないけれど、、、

自分が生まれるたった100年前もしないうちにこう言った人種差別があったり戦争があったり、僕はそんなに昔のこととは思えない。いかに人間という愚かな生き物は閉鎖的なシステムの中で権力やしきたりを疑いもせず、それが大儀であり常識だと思うことに自分の心のよりどころを求めてきた歴史を作る野蛮な生物だということを、そして今の時代を生きる僕たちにも十分にそのDNAが流れていることを自覚し、今生きてる世界や常識になんでも疑いをもって生きなければ人類の歴史の中で悲しみは繰り返されるんじゃないかと思う。

音楽ファンならずとも今回のNHKの放送をできるだけ多くのかたに見てほしい。

世の中を変えるものはお金や権力、宗教でもない。
音楽の力は人種、時代、国境を超える。


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