毒舌バー パラリンピックの話
…あら?
…あらあらあらあら?
ヤダー、お客さん何年ぶりー?久しぶりー!
ママ?ママは元気よぉー!
でもあの後緊急事態宣言が出ちゃったじゃなあい。
ママも自粛しようと思って引きこもってたのよー!
あらやだ、飲み物ヤクルトしかないわ!
ヤクルトすぐ飲み終わっちゃうじゃなーい!
はい、お会計お会計ー!
嘘よー!
毒舌バーは多分みんなと違う世界線にあるのよっ。
ママの息子がよく「違う世界線」っていうから使ってみたかっただけよー!
オリンピック、楽しかったわね!
ママの支払ったお金ちゃんと帰ってくるのかしら!
次はパラリンピックね!
でもママ、パラリンピックにはモヤるー。
パラリンピック自体がモヤるんじゃなくてね。ハンディキャップがあっても挑戦する姿かっこいいわよ。
パラリンピックを通してみた「障害」がモヤる。(障がいと書く人もいるけどママは漢字で書くわね)
パラリンピックには身体的ハンディキャップを持つアスリートが中心で「知的障害」は一部、発達障害などの精神障害は参加資格はない。内部障害も然り。
まあなぜこれらの障害が除外されたかというと、過去に「インチキ」した奴がいたからなんですけどね。
ママの長男、知的な遅れはない重度の自閉スペクトラム症にADHD併発している。
水泳をしているんだけど、パラリンピックには出られないからオリンピックを目指すしかない。ただ、オリンピックも目指してないわ。
あのね、これ、めっちゃくちゃに大変だからね!!
長男は水泳で県内で大体真ん中よりちょっと下かなってレベル。
大したことない成績。
でも、これ、本当にめっちゃくちゃに大変だから!!
まず通えるスイミングスクール探すのが大変。
通い始めても聴覚過敏や独自の捉え方で指示が入りづらい。
指示が動きと繋がるのに数年単位かかる。
協調性運動障害で思うように体が動かない。
過緊張なのか体が固すぎる。
初めての場所に恐怖をかんじやすく体調不良になるので大会は棄権にならなければ上出来。自己ベストは奇跡。
中にはその特性をわがまま、努力が足りないという人もいる。
わがまま、努力が足りないならば、何でうちの子は診断が付いてるんですかねー!?ご存知か知らないけど、発達障害の診断ってめちゃめちゃ細かい発達検査して初診から3ヶ月くらいでつくんですけどうちの子インチキしたとでも?
好きで生きづらさ持って生まれた訳じゃないんで!
ついていけないなら迷惑だから去れという人もいる。
どこに去れと…?
障害者スポーツにも入れず、健常者には疎まれ、発達障害者にはスポーツする権利はないということかな?かなかなかな!?
それでもそんな困難と無理解にぶつかりながら健常児と同じ世界でさ、長男は戦ってるよ。それは長男が選んだことだけど。
パラリンピックには出られないかもしれない。
けど、健常児の世界で戦う発達障害児だって結果はふるわなくても戦ってる障害児はいっぱいいるんだよ。
発達障害児の母として、それはなかったものにされたら困るよ。
パラリンピックのアスリートはすばらしい。
けどそこに含まれないたくさんの戦いが身近にあること、覚えていてほしいな。
…あら?お客さんヤクルト10本全部飲んだの?!
贅沢ー!
じゃあ毒舌バーこれにて閉店。
またね!
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