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【読書感想文】ガザ虐殺を考える〜その悲痛で不条理な歴史と現状を知るために〜 森達也編著

「ガザ虐殺を考える〜その悲痛で不条理な歴史と現状を知るために〜」 森達也編著

今自分の中でもかなり関心が強く心を痛め絶望しているガザ虐殺問題。これが森達也編著、となれば買うしかないと。
11月の新刊です。


ここに寄稿している15名のライターは皆、イスラエル、パレスチナに実際足を運んで現地を生で見てきた人達ばかり。

それぞれのライターから見た15人分の視点でのイスラエルパレスチナの様子を知ることが出来ます。
広い視点で見るのは大事だなあと。


これはガザの事をもっと知りたい人には新刊でもあるのでかなりオススメしたいです。
歴史の予備知識があればもっと良いかなとは思うけど。


実際に現地で色んな人と関わり、今その人達は無事かどうかも分からない、という話がよく出てくるけど本当に胸が痛む。

ニュースも歴史を知るのも大事だけど、同じだけ現地の人の声を知ろうとする事は大切ですね。



今、ガザ地区で起きている事は世界の支援のもとに行われる現代のホロコーストのようなもので

当然「戦争」ではなく「虐殺」だ。

その虐殺を世界は支持している。

こともあろうに日本の支配国我らがアメリカ社長どころかドイツまで支援しているという有様。
かつて虐殺してきたユダヤ人の虐殺に加担してる、みたいなものではないか。
(とは言ってもイスラエル=ユダヤ人全てではないのでそのあたりはシオニズムの歴史を深く知る必要があるのだけど)



アメリカが支援している時点で日本は他人事ではない。

知れば知るほど気持ち悪い。

殺され続けているのはテロを起こしたハマスではない。

子供、女性、年寄りが大半だ。

新兵器の実験台にもされている。
おぞましいとはこの事だ。


今の時点でも、とんでもない事が起きていて自分たちもその虐殺に加担していて、他人事ではない状況である事は分かるのだけど


まだまだ深く知ろうとしないといけないなと思う。

「沢山の無抵抗な人が殺されている」

という状況をざっくり知るだけでは人は動かない。

「他人事ではない」
の一言だけではピンと来ない。

リアルさのない表現で関心は持てないのはどんな分野も同じだ。


「ひどいねー」で、終わる。
それじゃダメだと私は思う。


当然イスラエルもこのままではタダでは済まないだろうし、パレスチナを支持するアメリカの敵国たちを交えて第三次世界大戦という話もだんだん色濃くなってきているし、次の戦争は核も使われるかもねと。

世界の皆さんも他人事じゃないんですよね。


しかし、あの当時のロシアウクライナに比べてガザへのこの関心の低さはなんだろう?
自分の周りでも声を上げる人が少ない。
プーチンへの非難はあれだけあったのにネタニヤフは名前すら知らない人もいる。


被害に遭っているのが白人ではなくアラブ人、というあたりの差別意識も日本人の関心の薄さでもあるという指摘もあるけど、ま、その通りだよなと思う。

あとはまあアメリカがイスラエル支援してるから日本はそういう空気になるのだろう。
ロシアは敵でイスラエルはアメリカの同盟国。
結局は国民の関心も国の立場で変わる、それだけなんだろう。


イスラエルの人たちも、実はパレスチナとの歴史に関して無知な人が多いようだ。それも教育、メディアの影響が大きいようだけどそのあたりは日本ともよく似てるように思う。

ハマスのテロに驚いたのは、歴史を知らないからだ。
全く意外性もなにもなかった。

日本人も昨年10月のテロのニュースを見た人はあまりの残虐さにハマスが悪、許せないという一方的なイメージを持つ人も多かったろうし、今起きてる事もあの日が元凶だというイメージを持つ人もいる。

今はSNSのおかげで有識者の発信で歴史のことを知る機会を持てるけど、一昔前だったらどうだったろう?
(私も詳しい知人の投稿で知った)

私も何も知らなかった。
あの頃とイメージは180度違う。
もちろん答えを出しきれない複雑さもあるけど。



森達也氏が二万人のパレスチナ人が避難するスーフ難民キャンプに足を運び、パソコンで砲撃されるガザの街、銃撃される子供たち、イスラエル軍の戦車に踏み躙られた子供達の死体と、その傍で泣き叫ぶ女性たちのモザイクなしの映像を見たそうだ。


味方をしてくれというつもりはない

でもせめて現実を知ってほしい
ガザとヨルダン川西岸で何が起きているのか、俺たちは何故故郷に帰れないのか、残った同胞たちはどんな日々を送っているのか

何かをしてくれとは言わない

でもせめて、知って考えてほしい



そう告げられたそうです。



私たちに何が出来るのか

その昔、アパルトヘイトを止めるのに有効だったのは「ボイコット」だったそうだ。


ならば、イスラエルを軍事支援してる企業のものは買わない、使わない。
これは調べればすぐ出てくる。
それくらいなら出来る。

しかし日本はアメリカ企業の店がかなり多いので全て排除は難しい。
私も完璧には出来ないもどかしさもある。

沢山の日本人が当たり前のように利用しているものが多くて、その企業名とかを声を大にして言う勇気もない。
反発が怖い。嫌われるのが怖い。
情けないなあと思う。

なんで虐殺に反対、なんて当たり前のことに声を上げるだけの事にこんなに勇気が必要なんだろう。

今も沢山の人達が無惨に殺され続けているというのに。


せめて、深く知る。

知れば知るほど、私たち日本人にも他人事ではない事が分かる。


この本の中で印象に残った話のひとつにあった、パリの街の壁の英語のグラフティこんな言葉が書かれていたそうだ


「ガザが燃えればパリも燃える」


パレスチナの未来は世界の未来。

そういう事だろう。



いつか日本が同じ目に遭った時に世界から見て見ぬふりをされたり、私たちを殺す武器を大国がガンガン送って儲けていたり、なんて想像をあえてする。

この世界はたくさんの見て見ぬふりで人が死んでいる。

明日は我が身だ。

自分がした事は自分に返ってくるものだと思うし
「私たちが生きてる間はまあ大丈夫でしょ」
と呑気な事を言えていたのはもう今は昔、な世界情勢になっていると思う。


(今はまだ)安全圏にいる私たちの意識が集まれば、こんな愚かなことは止められるはずだ。
アパルトヘイトのように。

権力者の暴走を止めることは不可能ではないはずだ。
気力と関心さえあれば。


「ガザ虐殺を考える」


考える、そこからだ。

いいタイトルだなと思う。

今はまだ安全圏にいる私たちにまず1番必要な事。


私もこのタイトル通り、これからも考えて行きたい。


虐殺を見て見ぬふりの世界構造は私たちの無関心が作り上げている。


そして、微力は無力ではない。

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