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『Mammy』観てきました。

ちょっと時間は経ってしまったけど一応レポートを。

川越のスカラ座で『Mammy』観ました。
現在再審請求中、無罪を訴えてる和歌山毒物カレー事件のドキュメントですね。



最近はこういう加害容疑者側とか非難されてる側の視点の読み物やドキュメントを好き好んで見ている。

たまたま今日は袴田事件の袴田巌さんの無罪判決が出た。
58年前とはいえ本当に酷い話だ。
冤罪の可能性が高いのに死刑執行されてしまった飯塚事件など、最近は冤罪事件や杜撰だったと言われるオウム裁判とか司法の在り方を問題視したものに興味があって。


こちらの和歌山毒物カレー事件も私も当時のことはよく覚えているけど、最近冤罪事件では、と言われてるのがSNSで目に入り気になったので観に行った。
観てるとやっぱり検察側の半端な捜査とか疑わしい場面も出てくるし、マスコミに煽られる世間の暴走もお決まりのパターンに見える。


しかし。しかしだ。
夫、林健治氏の話を聞くと「ん??」ってなる。


冤罪かも、とはいえ真っ当に生きてる良識的な人達、というわけではない。
保険金詐欺の話とかは、クロ。
本人も認めているし、ヒ素を舐めてみるとか飲むとか普通では考えられない実体験をスラスラと語っているのを見ると脳がバグりそうになる笑

司法の闇を感じ、流されて暴力的になった社会(家に放火されたり)を振り返って憤りを感じた後に一体私は何を聞かされているのだ?と笑

当人の口からすらっすらと語られるのを見るのはなかなかのもの笑

まあ、そこが「試されてるな」と感じたところ。

あんな異常な行動してヒ素持ってたらそりゃ疑われるわな…
って思いたくなるけど、だからと言って半端な捜査が許されるわけではない。

しかし、この映画を見るにあたって、「冤罪の可能性がある」という情報を得ている自分の心の中に

「無実=良識的である」

みたいな期待と思い込みがあったように感じた。

そうか、だから人の疑いは暴走するのだな。
逮捕されてもまだ「容疑者」であり、罪を犯したとは確定されてなくても人は非難する。
普段の行いが悪い人ならもう「お前がやったんだ」と決めつけられる。

容疑者として逮捕されてマスコミが煽ればもうきちんとした検証がされているのか?なんて疑問も持たなくなる。
(先日レポートした小山田圭吾の炎上も似たような感じだ)


袴田さんの無罪判決は良かったにしても、そういう人たちが当時は信じ込んで叩きまくったのだろう。
と、考えるとやっぱりどんな事件でも立ち止まって考えないとなあと思う。


それとは別に思ったことだけど、
生の声でカメラの前で自ら語る林健治氏には人間としての生々しさを感じた。
字幕がないから聞き取りづらさもあり、でもそこがむしろ生々しさの純度が高いというか。

あとはこの作品を作るにあたり監督も一線を超えている。

出てくる人全てがこう…
みんな色々ダメで笑

しかし、すごく生々しかった。
人間ってそういうものだよな。
良識だの品行方正さだの、ノンフィクションの世界に求めるなんて馬鹿げてるのだろうな。

そういった意味ではとても面白かった。
人の命が失われてるし死刑も絡んでるわけだから面白いなどと言うのは不謹慎かもしれないけど。

みんな人間だ。
人間らしい映画だった。

自分の中で新たな気づきを得られました。


公式サイトに掲載されていた一文

「映画は、この社会のでたらめさを暴露しながら、合わせ鏡のようにして私たち自身の業や欲望を映し出す」

なるほど
なるほど。

ほんとうにそういう映画だった。

おもしろい……!!


とりあえずこうしてレポートはしているけど、もっとじっくり自分の中で咀嚼して考えたいテーマだなと思う。

なんにせよ、本当に良い方向へ行ってもらいたい。
真実はわからないけれど、人の命がかかっているのだからしっかり検証してもらいたいですね。


あと、初めてのスカラ座、あの昭和の古き良き感じが気に入って、インディーズ映画にも目覚めそうです。
月一くらいで通いたいなあと思った。

やりたい事がありすぎるのに新たな趣味が出来てしまったようだ…笑

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