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メリー・ポピンズ的生き方を考えてみた

どうもこんにちは。
今回は、オリンピック終了後のルナール監督のいろいろについて書きました。数年前からずーーっと書いてみたかったことともリンクしていたので、それについてもやっと吐き出せるような気がしています。

まずはこの第一報。

フランスサッカー連盟のディアロ会長は、ルナール監督が自身の任期についてパリオリンピック終了までという当初の契約から延長しない意向であるということを認めた。という内容です。

うーん、実は薄っすらですがそんな予感はありました。でも私としては、もう少しだけ延長してくれたらいいなと思っていました。女子サッカーの監督という初めての経験に奮闘されてるコメントがあって、それがとても新鮮で微笑ましく思えたんです。それに、シンプルにさみしいです。
何が悪いとか誰が悪いとか、そんなことを言いたいわけではありません。実際、選手たちとの仲も良さそうだし、大きな大会で初の準優勝という成果もありました。ルナール監督の就任以来、ちゃんと試合に集中して取り組める風通しの良いチームに生まれ変わったそうです。なので、選手たちとは何のわだかまりも無いと思われます。
ギャラの件はね、サウジアラビアにいたときの半分以下だと言われていますが、もっと減ってるという話もあります。もちろんギャラは大事だけど、金額だけで仕事を選ぶ人ではないのはご存じの通りです。
W杯と自国開催のオリンピックという2つの大きな山を乗り越えたら、あとはお休みしたかったんだろうか。いや、休むよりも仕事を選ぶ人というイメージがあります。
じゃあ、何で辞めるのん?
こんな記事があります。

今年1月末ごろにコートジボワールの連盟から、アフリカネイションズカップの期間中だけルナール監督をレンタルしてくれるよう依頼があったのを覚えおられる方も多いと思います。代表監督がレンタル移籍するかもしれない珍しい事態に、私もびっくりしました。結局この件は破談となりましたが、何とかしてアフリカへ飛んでいきたいルナール監督と、それを食い止めたいフランスのサッカー連盟との間に溝を作ってしまったのかも、という内容です。ただ、記事の内容だけでは本当に溝を作ったのかどうかまでは分かりません。
契約に至らなかった際のルナール監督のコメントです。

交渉が望むような結果にならなかったのは、実現するべきではなかったからです。僕はそれを望んだけれど、運命はそうじゃなかった。

CANAL+ Foot @CanalplusFoot - https://twitter.com/CanalplusFoot/status/1750630510177489238

ちょうどアフリカネイションズカップが終了してから、その数日後に女子ネイションズリーグの準決勝に臨むメンバー発表の記者会見がありました。記者の皆さんはもちろんコートジボワール代表についても質問しますよね。その時のルナール監督の応答も見てみましょう。

その時の僕は冷静でした。(コートジボワールから)要請を受けたからといって、自分の役目をひっくり返すなんてできない。僕はアフリカについて完璧に覚えている。2015年のアフリカネイションズカップではとても素晴らしい冒険をしました。挑戦をすることは僕のキャリアの一部であり、それは少しハチャメチャだけど、他の誰とも異なるものです。
時には違いを受け入れ、もっと寛容になるべきだ。しかしそれができない人もいるし、僕はその人たちの意見やものの見方も尊重します。誰も怒らせるつもりはないよ。
(要請のあった時)コートジボワールの会長から、僕(フランス)の会長に連絡するよう頼んだんだ。そして彼らは話し合った。僕が最初に決めたのは、もちろんフランス女子代表の監督を続けることです。それが最優先です。そして両方どちらも続けていくことに合意すれば、それで完了だった。もしそれが今日起こったとしても、気に入ろうがなかろうが僕は同じ決定をしただろう。会社役員とクラブの会長職は両立させなさなければならない。その最たる例(注:オラス副会長のこと)が僕の目の前に居ますよね。自分のやり方を制限したり、壁を作ったりするのはおかしなことだと思うよ。
この件については長い話になるし、時間もないよね。目下の課題はネイションズリーグの準決勝です。

Ligue des nations. Revivez l’annonce de la liste dévoilée par Hervé Renard pour le Final Four

↑文字通り、その「最たる例」のオラス副会長の目の前で記者会見されてる様子です。
この時はコートジボワールが優勝してすぐ後なので、ルナール監督が心中複雑なのは想像できます。もしかしたら、3回目のアフリカネイションズカップのタイトルを手にできてたかもしれないのです。
この記者会見はネイションズリーグのメンバー発表の場だったので、この件についての話題は短めです。いつか誰かが深く聞いて欲しいですが、それはもっと後になりそうですね。(誰か聞いて)

ルナール監督の「自分のやり方を制限したり、壁を作ったりするのはおかしなことだと思うよ」という言葉は、オラス副会長以外の連盟の偉い人(分からず屋)へのいら立ちを薄っすらと感じます。僕の自由にやらせてくれたらよかったのに…。そんな風にも受け取れます。
ちなみにこの言葉、切り離して単体で考えてみても素敵です。

コホン、話は変わります。
パリオリンピックが終わったら、ルナール監督は男子の代表チームの監督へ戻ることを希望されています。つまり元鞘ですね。そしてルナール監督の個人的な希望としては、2026年のW杯にどこかの国の代表監督として自身3度目の出場を果たしたいとのことです。かといって、このままフランス女子代表に留まることも完全に否定はされていません。

《中略》考えを変えないのは愚か者のすることで、人生何が起こるかなんて決して分からない。(フランスに留まって欲しいと語る)ムシュー・オラスのコメントも完全に筋が通っているが、僕は毎日をそういう風に過ごしているので、100%確実だとは言えないのです。さあオリンピックの準備を楽しみましょう。何が起こるのかは、それからです。

Équipe de France féminine: Renard "ne peut pas être affirmatif" sur son avenir mais vise le Mondial masculin 2026

ルナール監督の「人生何が起こるかなんて決して分からない」という言葉を体現するような生き方が本当に好きです。
母国フランスの代表監督ということで、ひょっとしたら数年間は留まってくれるかも、という私の予想は見事に外れる可能性が出てきました。
そしてこのままルナール監督の希望が実現すると、男女のW杯両方を交互に出場し続ける監督として、独自の地位を確立できるかもしれません。(あくまでも冗談です)

意外に思われるかもしれませんが、ルナール監督はこれまでU-23などの若チームを率いた経験は無いんです。オリンピックの舞台も今回が初めてです。だからこそメダルを獲って欲しい。
人生何が起こるかなんて、決して分からないから。


想像力の泉へようこそ。

さて、ちょっと欄外のムフフな妄想コーナー。
今回は私の昔の記憶を思い返すだけのお話です。そしてメルヘン風味で気持ち悪さが普段の25%増ぐらいになっております。
ネタ的にもすごく小さくて、時間を無駄にすることになるでしょう。
引き返すなら今ですよ。これは警告です。

では怖いもの見たさで留まった同志よ、メルヘンの世界へ想像を膨らませてみましょう。

2019年頃、Twitter上にて誰かのつぶやきがありました。今はアカウントが消えたか凍結されたかで、私のブックマークから消えてしまいました。あらゆる手段で検索しても、何をしても出てきません。スクショ撮って残しておけば良かったと後悔しても後の祭りです。どうしようもないので思い出しながら書きます。

エルベ・ルナールはまるでメリー・ポピンズのようだ。彼はその時チームに必要だと思った仕事をして魔法をかける。そして満たされると、あまり長居はせず、すぐに去っていくんだ。

詠み人知らず

というつぶやきでした。私のおぼろげな記憶なので100%正確ではありませんが、このような内容でした。
このつぶやきはちょうどモロッコ代表を辞任されたときで、最初読んだときは「随分とメルヘンだな~」と思ったのですが、今は首を縦に振りたい気持ちです。やはり魔法使いだったか。
実際は私の知らないところで、あんなことやこんなことがあると思います。ひとくちに魔法と言っても裏では凄まじいほどの仕事をされていて、結果として表に出てくるのはほんの一部だと分かっています。でも下積みや苦労もされているのに、不思議なほど生活感や泥臭さを感じない人なんですよね。後に残るのは魔法だったというわけです。

そしてどこか浮世離れした雰囲気がありつつ、ものすごく人間くさい(良い意味で)部分も感じます。元々は穏やかな人でありながら、試合になると話は別です。感情の起伏が激しく、審判や対戦相手の監督(観客も含む)に噛みつくこともあり、敗戦した時は涙されることもあります。そんな感情むき出しのルナール監督はとても愛おしい。

苦労人としての素顔と魔法使いに例えられる不思議な存在感、普段は物静かな人が見せる爆発的な情熱。相反するものが一人の人間にきちんと収まってる。興味が尽きません。

私はこれまでいろんな国の代表を応援しています。ある時はモロッコ、ある時はサウジアラビア、今はフランス女子。そしてコートジボワールやザンビアまで。チームが増えていくたびに気持ちの持っていき方や、自分の節操のなさを申し訳なく思うこともあります。さすがに私は薄情過ぎやしないかと。
でも上記のメリー・ポピンズに例えてくれた人のおかげで、何とか正気を保つことができています。今はこのつぶやきに感謝したいです。
そう、ルナール監督はメリー・ポピンズなのだ。そしてまた次の国へ行くのです。サッカーを教えるために。

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