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だ、だ、、代表監督だってレンタル移籍できるもん!

いや~

皆さん盛りあがってますかーー!

連日のアジアカップとアフリカネイションズカップの観戦、お疲れ様です。

つい先日、寝不足の頭を直撃する事態が発生致しましたので、そのことについて書いてみたいと思います。少々毒っけのある文章になるかもしれませんがよろしくお付き合いくださいませ。ええ、例の衝撃的なあの話です。

まず第一報のつぶやきがこれですよ。

INFO L'ÉQUIPE. La Fédération ivoirienne a contacté son homologue française pour obtenir le « prêt » du sélectionneur des Bleues Hervé Renard pour la fin de la CAN.
(google翻訳)
チーム情報:コートジボワール連盟はフランス連盟と連絡を取り、CAN終了に向けてレ・ブルーの監督エルヴェ・ルナールから「融資」を得た。

@lequipe - 午前0:20 · 2024年1月26日

google先生が翻訳した文だと、ルナール監督から金を借りたみたいな話になってますが、要するにコートジボワールのサッカー連盟はアフリカネイションズカップの終了までルナール監督を貸して欲しいとフランスのサッカー連盟へ要請したということですね。
今大会の開催国であるコートジボワールはアフリカネイションズカップの決勝トーナメントに何とか残りましたが、その後の試合を残したままジャン=ルイ・ガセ監督を解任しました。U-23チームの監督がそのままA代表の暫定監督として率いると聞いたのですが、こんなサプライズがあったとは。
こんなトンデモ話は前代未聞だし、当然フランス側も即お断りすると思いきや、会議を開いて検討してるらしい。一体どうなってるんだ…。

結局この話は連盟の間で合意に至らずご破算になったわけですが、のちに何が起こっていたのかいろいろ分かってきました。
まず肝心のルナール監督はてっきりお断りされるだろうと思いきや、かなり乗り気でした。コートジボワールの会長と首相からお願いされて、断る余地が無かったという事情もあります。
フランスのディアロ会長とオラス副会長はルナール監督と話し合いを持ち、まずはフランス代表の選手たちに聞いてみようとなりました。確かに嫌な思いをしたり、監督への信頼を損なうのだけは避けたいですよね。幸い彼女たちからネガティブな返答は無く、選手の代理人からも単なる思い付きからの返答ではないとの裏付けも取れました。
そして、たまたま水曜日(1/24)はコートジボワールのワタラ大統領がフランスに滞在されていて、大統領自らフランスのマクロン大統領に話をしてみるというところまで進展したそうです。マクロン大統領はその時インドを訪問されていて、会長に連絡が入ってくることはありませんでした。
話がだいぶ大きくなりましたね。決断に時間がかかった理由の一つがこれです。さすがに大統領出てきたらすぐにお断りなんてできません。

オラス副会長は最初、この件について

『他国に自国の監督を貸し出すなんて、妙なイメージを持たれるのではないか?』と心配になりました。しかし、コートジボワールのようなサッカー大国が女子代表監督の貸し出しを願い出るなんて信じられないと、考えを変えました。現在のフランス女子代表のレベルがとても高く、エルベが素晴らしい監督であると理解されていて、自分たちの選択が正しかったと支持されたということです。なので、このことが女子サッカーのイメージの面でマイナスになるとは思っていなかった。もしそうなると思ったなら、こんなことはしなかったでしょう。

Equipe de France (F) : pas contre l'idée de prêter Renard à la Côte d'Ivoire, Aulas revient finalement sur l'échec des négociations

木曜日にはルナール監督とオラス副会長で長いこと話し合いをして、互いの関係に傷が残るようなことは無いと確信しているとのことです。
ルナール監督の未来についてオラス副会長は

彼にワールドカップとネーションズリーグの試合に出ることをお願いしました。それが契約上で合意したことです。オリンピックに勝ったらまた話し合おう。あまり急いで議論したくはない。

Equipe de France (F) : pas contre l'idée de prêter Renard à la Côte d'Ivoire, Aulas revient finalement sur l'échec des négociations

ということでした。連盟との関係は大丈夫です。(実は少し心配してた)
オラス副会長はルナール監督への批判が出てると知って、このように裏事情を説明されているようです。
余談ですが、オラス副会長はモロッコ時代からルナール監督の移籍情報などをフランクにお話されていて、私にとっては頼れる情報源の方でした。移籍の噂が出るたびにルナール監督本人に直接電話して聞いてみるという荒業を持つオラス副会長。
いつもルナール監督をフォローいただき本当にありがとうございます。

ルナール監督はフランス女子代表もコートジボワール代表も両立できるとして、このレンタルの話を挑戦してみたかったようですが、上の偉い人同士の話が上手いこといきませんでした。理由についてもあえて突っ込んで聞いていないようです。オラス副会長も契約の詳細については明かされませんでした。会長を信頼して任せているとのことです。

ルナール監督によると、

会長には最初から『僕はやる気です。フランスを離れることに疑問の余地はありません。だから、僕が両方やることを承認してくれるかどうか、上に聞いてみて欲しい』と申し出ました。

CAN 2023 : Hervé Renard raconte les dessous de l’incroyable approche de la Côte d’Ivoire

ルナール監督はフランス女子代表チームをないがしろにすることなど論外だと、ちゃんとおっしゃってます。その上でチームに影響が出ないようにどう二足のわらじをこなすのか、相当考えていたと思われます。

一部の批判に対しては

フランスの側から見たら理解し難いかもしれない。でも僕はたくさん旅をしたことで物の見方が変わって、心がよりオープンになった。(中略)つまり物事の内と外を知れば、その本質を理解することができる。どうして両立できないのか、僕には分からないよ。

CAN 2023 : Hervé Renard raconte les dessous de l’incroyable approche de la Côte d’Ivoire

ちょっとチクリとされてますが、物を一方からではなく多角的に見て欲しい。そうすればなぜ僕が両立できると言ったのか分かると思う。という意味に聞こえました。深い。
私含め、誰もが「えっ、監督レンタルなんて、そんなミラクルできるわけない!」と思いました。でも、当のルナール監督自身はできると信じていたわけです。
昔、一緒に働いていた方がルナール監督を「意志の強い人」と評しておられましたが、その通りですね。とても強い。
きっとルナール監督なら両立できたのではないか。この舞台裏を知るとそう思えます。

ルナール監督のアフリカでの位置づけは、単なるサッカー監督だけに留まらないことを今回改めて実感しました。もしこのレンタルが実現していたら、大会はさらに盛り上がったと思います。

【追記】ルナール監督は大ピンチのコートジボワール代表を純粋に助けたかっただけです。そこには女性軽視の意図なんか一切無いことをここに記しておきます。


想像力の泉へようこそ。

さて、ちょっと欄外のムフフな妄想コーナー。
もしもこの監督レンタルというミラクルが実現していたとしたら、どうなっていただろう…とは思いませんか?

では想像を膨らませてみましょう。

ほんの数日後の1/29ににコートジボワールは強敵のセネガルと対戦します。
シセ監督率いる前回王者で優勝候補のチームに、監督交代後たった数日の超超超即席チームが立ち向かいます。ありえないほどの時間の短さに戦術の落とし込みどころか、選手の顔と名前の一致すら不安です。
それに、ルナール監督はアシスタントコーチをどうするつもりだったんでしょうか。フランス女子代表のために、大事な側近のボナデイさんはそのままフランスに留まられるかもしれません。そうなればあの方ですよ、ガセ監督の前に監督をされていて、ルナール監督の元側近でもあったビューメル監督をアルジェリアから奇跡的に召還するしかないでしょう。2022年までの選手のデータならバッチリです。ドゥッシさんはそのままコートジボワールへ監督とともに来られると、2015年に優勝した際のコーチ陣(一部)が再集結します。最高に胸熱、いや激熱です。

2015年優勝時のコーチ陣

セネガルのゴリゴリの攻撃陣をどうやって即席チームがねじ伏せる(ねじ伏せられない)のか、妄想がはかどって仕方ありません。
試合前に白シャツ姿でシセ監督と握手するルナール監督いいですね~。
即席がゆえに選手に怒り狂うルナール監督に、若干引き気味のシセ監督もいいですね~。お二人の監督対決も見たかったです。
これを読んでいるそこのアナタ!
今日は日曜日。
しばし頭の中を楽しいことで埋めてみましょう。

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