己に克つとは?
人は感情の動物であると言われる。これはもっともなことだとしみじみ思う。喜怒哀楽は感情であるし、幸福感というのも感情だ。行動の目的の先にはいつも感情が横たわっており、まさに感情を満たすために私は行動しているのだなあと日々思う。勝てば嬉しいし、負ければ悔しい。。。と考えていたら、己に克つとはどういうことなんだろうと思い始めた。己に克つというのを感情に溺れず、常に理性的に冷静に判断し行動するという意味にとれば、少し矛盾を感じてしまう。なぜなら理性的に行動するのは「勝ちたい」という感情が目的だからだ。その感情がなければ行動の目的もなくなり、行動そのものが起きないのではないか。理性は感情に勝てない。なぜなら勝つというのは感情だから、ということだ。では己に克つとはどういうことか。
目的は感情を満たすことであっても手段は感情を満たすことを考えない、ということか。大きな目的のためには手段も小さな目的の積み重ねになる。しかしその小さな目的は達成しても感情を満たさないこともありうるわけだ。日本では我慢といい、デンマークではおそらく忍耐という。
興味深いのは、忍耐というときは、その向こうにある大きな目的が意識されるが、我慢というときはそれが見えにくい。ただ今を耐えるだけのように感じてしまう。デンマーク人を見ていて思うのは、我慢をしていないように見えること。もしかすると、己に克つのは、我慢できた時ではなくて、忍耐して達成すべき大きな目的がわかった時なのかも知れない。
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