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どうしようもないことをどうするか

デンマークのフォルケホイスコーレでは様々な科目があった。その中に複雑で困難な状況への対処というのがあった。この授業には興味はあったがデンマーク語が聞き取れなかったので諦めた。しかし同じ先生が英語で授業する国際政治の中で幸いにもその一部を見ることができた。

複雑で困難な状況とは例えば、非常に強い批判を受けたような場合とか、紛争に巻き込まれたような場合、身近なところでは目の前で暴力を目撃したような場合だ。ちょっと困ったなというようなケースからもはや命を守るためにどうしていいかわからないというケースまで人生の中で複雑で困難な状況というのは起こりうる。授業ではショートムービーを見せられてあなたならどうする?と質問された。いじめや万引きを見たような場合は様々な対応が考えられるが、自分の民族とほかの民族の紛争に巻き込まれたり、さらに友人や親戚が敵方の民族だったりするとこれは難問である。

多くの学生が挙手をして発言し、行動と理由を述べた。正解のある質問ではないので、意見は各自の経験や信条に基づいて多岐にわたる。それら全てを受け止めるような授業だった。もし日本で例えるなら、突然全部の米軍が日本から撤退したらあなたはどうするか?というような質問に対して意見を述べるのである。国や制度がどうすべきかではなく、あなたはどうするか?ということだった。このような授業はとても驚きであったと同時に、何も答えられないだろう自分を見せつけられた。

現実は自分のことである。どうしようもないと思えることは多い。しかし自分のことである以上、自分で考え、行動するというその大原則を見た気がした。

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