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【もういや】初の日雇いバイトは無給だったし、ベテランバイトに振り回された話【派遣】

初めての日雇いバイトは懲り懲りだ。特に、あの服屋の工場でのピッキングの仕事は忘れられない経験だった。

今から5年以上前、大学3年から一人暮らしをすることになった。2年生までは学生寮に住んでおり、初めて自分で生計を立てていかなければならない。そこで派遣会社に登録し、ひとまず東京の港でやっている服屋の工場のピッキングに応募した。

その日、早朝から派遣会社のバスに揺られて工場に到着した。初めてのバイトに少し緊張しながらも、新しい経験を楽しみにしていた。工場の大きな扉をくぐると、中には無数の棚と商品が並んでおり、その間を忙しそうに動き回る従業員たちの姿があった。

担当者に挨拶を済ませ、ピッキングの作業について簡単な説明を受けた。ピッキングとは、注文リストに基づいて商品を棚から取り出し、出荷準備をする仕事である。リストを手に持ち、指定された商品を探し出してカートに入れる。その作業自体は単純そうに見えた。

しかし、その単純さが覆されるのに時間はかからなかった。作業が始まってすぐ、社員から教育係を紹介された。その人物は中年の男性で、見た目からしてかなりのベテランだった。彼の名前は便宜上ベテランの「ベテさん」と呼ぶ。ベテさんはヒョロっとした体型で、メガネのニコニコした方だった。ちょこまか動いて色んな人にお節介を焼くタイプだ。

ベテさんは親切心からか、ことあるごとに自分にアドバイスをくれた。しかし、その指示が曖昧で、逆に混乱することが多かった。例えば、最初にピッキングのエリアを教えてくれた後、突然「あっちのエリアの方がいいからそっちに行って」と言われることがしばしばあった。持ち場をコロコロ変えられるため、どこに何があるのか全く把握できなかった。

別のエリアに移動して強面のお兄さんに「お手伝いします!」と言ったら、「え?こっち人で足りてるから君いらないよ」と一蹴。
元のエリアに戻ったら今度はベテさんが手配した他の人でいっぱいになっていたのだ。
作業場がなくなり、あたふたしていたら社員に叱られた。ベテさんは呑気に陣頭指揮を取っている。社員もなぜかベテさんに任せっきりだ。
4時間ほどして「この棚の商品の在庫を確認してくれ」と言われたので、指示された棚に行ったが、どの商品を確認すべきか具体的な説明がなかったため、適当に選んで確認を始めた。すると、他の従業員から「それじゃない、何やってるんだ?」と怒られてしまった。
ベテさんに確認すると「いや、それでいいんだけどな…」と曖昧な返事が返ってきた。

さらに困ったのは、ベテさんが他の従業員にも同じようにお節介を焼いていたことだ。結果として、自分だけでなく他の新人バイトも同じように混乱し、仕事が進まない状況が続いた。

ふと「ベテさんの指示で動いているけど、全然仕事が進まない」と不満を漏らしたところ、社員から「ベテさんの言うことは気にせず、自分で判断してやってくれ」と言われた。だが、初めてのバイトで何をどう判断すればよいのか分からず、さらに混乱するばかりだった。

引き続きベテさんの指示通りに動いていると、またしても他の社員から「何をやってるんだ?」と叱責された。状況を説明しようとすると、ベテさんは「ああ、すまん、説明が足りなかったな」と言い訳をしたが、結局自分が責任を取らされる形になった。このようなことが続くうちに、次第に仕事へのモチベーションが下がっていった。


心が折れてしまった図

退勤時間になったが、仕事は山積み。残るコンテナに苛立つドライバー。社員が「残業できる人はいるか?」と聞いたらみんな稼ぎたいのかほとんどが残ることに。もちろん私は帰宅したいと言った。
結局その日の帰り道、心が折れてしまった。家に帰る途中、バスの中でぼんやりと外を眺めながら、もう二度とこのバイトには行かないと決心した。あの職場で働くことが、自分にとってどれだけ苦痛であったかを痛感したのだ。

翌日、派遣会社に連絡して、そのバイトを辞める旨を伝えた。担当者は特に驚くこともなく、すぐに手続きをしてくれた。どうやら、自分のように初めての日雇いバイトで心が折れる人は少なくないらしい。なお、手続きの不備があってその日の給料はナシとなった。もう5年以上も前なので泣き寝入りである。

日雇いバイトのような短期の仕事では、環境や人間関係が大きく影響することを身をもって知ったのだ。そして何より、あの妙なベテさんのような人物に再び出会うことがないようにと強く願った。

初めての日雇いバイトは懲り懲りだ。しかし、この経験を通じて、自分の適性やストレス耐性について理解を深めることができたのも事実である。今後は、もっと自分に合った職場や仕事を見つけるための糧にしていきたいと思う。

結局その後、友人の紹介で塾講師のアルバイトを始めたが、自分の性格にあっておりそのままその会社に入社するほど馴染んだのであった。

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