tart optical arnel 復刻の国内での動きと00年代からのレトロフレームの復権
JULIUS TART OPTICAL(以下ジュリアス)が発表されておそらく7年が経過しました。
自分はシークレットウインドウ公開から20年間tart関連の情報をずっと追いかけてきましたが
最近はどの記事を見ても、まずtart社の歴史について~あの著名人が愛用~と続き
「クラシック」「ビンテージ」といういい意味でも悪い意味でも魔法の言葉が登場し
必要以上にアーネルを神格化する記事ばかりに落ち着てしまっている印象もあります。
そこで、アーネルをサンプリングしたと思われる復刻品が登場した時期をおおまかに書き連ねてみることとしました
今後アーネル系統のモデルに大きな動きがあるかないか微妙な時期に来ている予感も感じており
トラッドフレームは定番として今後も当然のこととして残り続ける
とは思われるものの、90年代、00年代のファッションがリバイバルとして若い世代を中心に動いていることを考えると今後50年代(40年代~80年代含む)系のトラッドフレームは
トレンドから若干少しづつ外れてくることも考えられ、なにか総括する時期のようなそんな気もしてしまいふと書き連ねてみることにしました。
2008年、某雑誌巻頭にてモスコットレムトッシュが大々的に紹介される。
モスコット日本上陸
記事の写真はダイヤヒンジが丸みを帯びており、これが最も最初期のモデルではないかと思われます。
インターネット上でもこのモデルはもう見つけることができません。
この当時のビンテージアーネルの相場は5万円程度だったと記憶しております。
おそらくまだまだポピュラー層にアーネルの存在は発覚していなかったギリギリの時期です。
インターネットはすでにあたりまえのものでしたが、まだまだ世間的には異様に横長のスクエアやオーバルが主流だったのです。
そんな時代を考えれば納得がいきます。実際このころはスリープライスにもいわゆる街の眼鏡屋さんにならぶモデルはスクエアやオーバルの大群で
、「クリアのP3(ボストン)を探しているのですがおいてありませんか?」と何件も廻って訪ねても
「ちょっとないですね」
「あー、昔は置いてたんですけど」
おそらくこの昔は、90年代半ばくらい、ギリギリ末期くらいの感じだと思われます。(売れ残った挙句店頭から消えたと思われると推測される時期がこのへんではないかです)
今クリアのボストンなどスリープライスでも簡単に手に入りますが、この当時本当になかったのです。
ハイエンドなショップへいくといくつかの自社企画のブランドが出していたりはしました。
しかし街の眼鏡屋さんの感じはギリギリまだクラシックに振り切っていない様子見な状況でした。
ただファッション雑誌はもうほとんどクラシック系に移行していました。
震災以降、数年ほどかかって成熟し、スリープライスもクラシック系に振り切っていったのでついにクラシック系がポピュラーとして定着していった印象もあります。
もちろん世界的にも動いていたのだと思うのですが、国内でのおおまかな動きの印象はこんな感じもしています。
しかしスリープライスも00年代末期はネクストトレンドの提案として50年代系のモデルをサンプリングしたラインを発表はしていました。
2008年ころはプレッジのJIMMYというクリップオン付きのオマージュモデルもあったものですが、
実は2008年以前も老舗セレクトショップがシークレットウインドウのアーネルをイメージしたと思われるモデルを発表していたり
ロックなアイウエアとしてエフェクターが発表されたりと80年代以前の武骨なレトロフレームへの回帰や
もっと前の00年代初頭の老舗店企画のセルロイド芯なしの職人シリーズなど、実はシークレットウインドウ公開前からレトロフレームの回帰は実は始まっているのです。
自分はそのころからずっと国内でのレトロフレームが復権していく様子を絶え間なく追いかけてきました。
初期のころは、00年代初頭、職人の作る渋いもの路線、00年代中盤あたりからロックや50年代のビートニクを拝借したイメージが使用され、
ファッションとして1度はトレンドからは外れていたと思われるレトロフレームを再び前線に舞い戻らせようとする試みがあちらこちらで見られるようになります。
00年代を通してのこのような試みは徐々に少しづつ効果を発揮していったのではいかと思います。
しかしまだまだ世間の多くの人が縦幅30㎜以下の横長のスクエアやオーバルを顔に乗せていてタイトなファッションが席巻していたがために
カジュアルに関しては
2017年あたりからのワイドシルエットな衣類の復権までレトロフレームの本当のポピュラー化に時間がかかった気がします。
モスコット日本上陸以降、国内でも動きがみられました。
日本復刻アーネル登場です。
このアーネルは記憶ではおおまかに3回のモデルチェンジが行われていると思われます。
第1期 シェイプがオリジナルと若干異なる最初期モデル
第2期 シェイプが変更される。まだOTE刻印アリ、ペーパースリーヴ付き、 ブリッジ24盛高パットなし 42レンズのブリッジ24が存在した。
第3期 現在のJD-04 ブリッジ24は盛高仕様に。42のブリッジが23になる。
これらはセルロイドが使用されていましたがセルロイドが使用されたアーネルモチーフの企画としては
ハーマンオプティカルのウォリスを記憶している方もいらっしゃるはずです。
TVRトゥルーヴィンテージリバイバルというのもありました。
またSHIPSからメンクラコラボでのイタリアのマツケリーの生地を使用したⅯ49ボスリントンというものも発表されました。
ブランド刻印なしの、オリジナルから型を取ったとされるノーブランドのセルロイド使用のスーパーレプリカが少数ながら世に出たなど
2010年代前半から2017年のジュリアスタート登場まで国内でもアーネルをサンプリングしたと思われる優れたモデルが多数登場した気がします。2010年代前半頃はヴィンテージの44□24、ブラックやアンバーは高騰してしまったのですが、ギリギリまだブラウンフェードやグレーフェードなどは
状態がよくないようなものならギリギリまだ3万円でもオークションサイトに並んでいた最後の時期の気もします。
このような感じで2017年にジュリアスタートがスタートするわけですが
ちょうどこの頃ファッションのトレンドがワイドに移行しはじめたため、
いよいよ50年代(40年代や80年代)レトロフレームとファッションの親和性が密接となってきた気がします。
80年代に50年代のリバイバルがあった背景を考えても親和性があった気がします。
本当にポピュラー層にレトロフレームが浸透し始めたのはこのころから本当にやっとだったのではないかという感じもしてきます。
00年代末期から10年代中期にかけて、中古眼鏡店登場やヴィンテージを取り扱う専門店がフューチャーされ
レトロフレームの需要が増していくことに拍車をかけたのも忘れてはいけないと思いますし、
カラーレンズという選択を、レトロフレームで初めて発見された方も大勢いらっしゃるのではないかと思われます。