JD-04とARのそれぞれよいところ感じたところ
現存する国内での復刻アーネルの認識として真打として挙げられるジュリアスタートオプティカル、創業者甥のリチャード氏のプロジェクト参加、当時の図面からの型起こしなどバックボーンもおさえながら確実な地位も確立された印象です。
対抗馬のような位置付けとして(プロジェクトとしてはこちらのほうが早かったと思われますが)日本製tart optical arnel があり(USA復刻タートに関しましては触れたことがなく割愛させていただきます)
こちらのJD-04について優れた点としてどの記事を読んでも見かけるのが
鼻の盛高仕様の導入
素材にセルロイドを採用している
この2点は必ず見かけますが
あまり触れられていないのが以下のものです
フロントのブローラインが日本人のブローラインに適合しやすいことと自分は思います。
日本人の多くの眉は吊り上がってから落ちるようです。
実は多くの日本人の眉に合うのは吊り上がったフォックスのようなブローラインではないかです。
00年代はこれらを考慮したと思われるレトロモチーフのフレームを多く見かけましたが
トレンドがど真ん中のレトロ一辺倒となって以降、これらのことが若干ないがしろにされ
瞳孔間距離や、サイズが眼鏡の似合うカギとして多く流布している印象です。
00年代は眼鏡雑誌もウェリントンやボストンリバイバルにまだ慎重だったころ縦幅に気を使って選ぶ攻略法などの記事が多く散見され感心したものです。
レトロフレームが多く広まったことでなにか緊張感が薄れ
各社、安易な過去のアーカイブ復刻へ流れすぎているのではないかとも感じます。
00年代はまだ慎重だったせいか縦幅を抑えて、ディテールはヴィンテージモチーフというフレームをいくつか目にしましたが
いつしか、縦横比率への慎重さが薄れていき
街中レトロフレームで溢れかえる事態へ。
今一度日本人の骨格を見直し縦横比を検討したヴィンテージモチーフを作ろうというプロジェクトがあっていいと思います。
実はこんな感じのフレームはいわゆる街の眼鏡屋さんで普通に多く見かけるのですが、デザインの傾向がやや志向するベクトルとしてずれてくるため購入の大きな決定打となりにくいものです。
例えとして、フロントはちゃんと日本人の骨格、目鼻立ちを考慮していて、でもヴィンテージな雰囲気は抑えられている、購入してもいいかもという一歩手前まで行きかけてテンプルを見るととてもカジュアルなテンプルがついいていて、埋め込みなのでどうしようもない…となるデザインが非常に多く残念です。
それてしまったためお話を戻しますと
例えばオリジナルのアーネルのような眉尻が大きく垂れさがるブローラインは日本人は似合う人が限定される傾向にあると思われます。
とはいえアーネル系統の同時代のフレームにみられるこの
ホーンリムが最大の魅力であるのは間違いありません。
とはいえ、日本人の眉毛の形に合わせていこうとなった場合
ホーンの部分はくびれて垂れ下がっていたとしても
ブロー部分は釣り上げたほうが多くのあどけない日本人の表情は引き締まるのではないかと思われます。
現在の男性の顔つきに比べ戦後の男性の写真などをみると
日本人でも皆引き締まっていて小ぶりなボストンやウェリントンがよく似合っている気がします。白黒写真のせいもあるとは思うのですが髪の毛も短くととのえしっかりおでこを出しています。腕からはまた小ぶりなケースの革のベルトの手巻き時計などがのぞいておりとても品が良いです。
そもそも西洋人的な骨格を有しており、目元にある程度力がある方のほうが
アーネルのみならず、ボストンやウェリントンはよく似合うと思われます。
しかしこれを言ってしまうともうここで終わってしまい悲しいものですので
あくまで目とまゆの隙間を埋めていくようなブローラインを選択していくことも大切ではないか、あくまで一要素として、そう思うものがあります。
JD-04はオリジナルとシェイプは異なるはずなのに手に置いた時の感覚がオリジナルを手に置いたときに何故か自分は近かったです。
おそらくテンプル開閉の平行であることと、若干の縦横比率がヴィンテージの経年の収縮具合に近いのか、よくわかりません。
ジュリアスARのほうはオリジナルはこんなにグラマラスだっただろうかという印象がありましたが、ホーン部分やフロントとテンプルの合い口部分の再現は素晴らしいと感じたものです。
初期リリースではまだ44□24がなかったので、44□22でしたが、ややオリジナルより大きく感じた思い出があり、やはりオリジナルは経年で収縮したのか、手に乗せた際に44でも42のような感覚がありました。
レンズを計測するとARの44とビンテージの44の縦幅は同じでしたが
ビンテージのほうが瘦せていて小さい印象がありました。
このへんも復刻にオリジナルを求める方などは気になるのではないかです
ホーンの露骨なくびれや、いわゆる乗せ智と呼ばれるフロントとテンプル接合部の合い口のズレなどディテールにこだわるか
自分の顔に似合わせる方向で選択するかなど
アーネルを筆頭とする50~60年代セルフレームシェイプは、最初の1本として選ぶにはとても難しいフレームでもあると改めて再認識します。
この感覚も近年忘れられて薄まってしまった感覚であると強く感じます。