ジェームスディーンの眼鏡はメンズフィールドスクエアMansfield Square F770なのではないかという疑問
ジェームスディーンの眼鏡はメンズフィールドスクエアMansfield Square F770なのではないかという疑問
強度の近視であったジェームスディーン氏の眼鏡について
国内のブログ(個人、ショップ)、雑誌、そのどれもが
ジェームスディーンが愛用したとして
タートオプティカルアーネル
という説明が定説のように書かれているのですが
使われている画像でジミーのかけているモデルがどう見ても違うことに何年違和感を感じていました。
これだけインターネットで画像が検索でき個人でも検証できるにもかかわらず、雑誌までもが
『かのジェームスディーンも愛用したタートオプティカルアーネルがついに復刻』
と右へならえのように見出しが書かれているのです。
数多く現存するジミーの写真をみると、彼が繊細そうなその美しい鼻筋に乗せているのは
ユニバーサルオプティカルのメンズフィールドスクエア770Mansfield Square F770 でほぼ間違いないことがわかるのです。
タートのアーネルと明らかに形が違うのです。
シークレットウインドウ公開後あたりからにわかに盛り上がり始めたヴィンテージ眼鏡の錯綜する情報から、
どうやらジェームスディーンの眼鏡はタートオプティカルアーネルである
このように書いたいくつかの雑誌、インターネットのブログを拝見しました。匿名掲示板の本音の人々のやり取りを閲覧するだけでもかなり有益な情報を得ることができたと思っています。
夢中でとても楽しかった記憶が昨日のようです。
あれから時は流れて、クラシックアイウエアが復権しポピュラーに返り咲いた昨今
当時のマイノリティ感覚は薄れてしまい、幸せな時代になった反面、食傷気味ともいえます。
ヴィンテージのアーネルは枯渇し、40年代、50年代、60年代シェイプをサンプリングしたリーズナブルなモデルがロープライスなショップに大量に溢れかえってしまっている現状です。
00年代はクラシックシェイプのアイウエアのリバイバル機運はシークレットウインドウ公開前からすでに徐々に始まっていたのは、当時の雑誌を読めばよくわかります。しかしながらポピュラーだったのは過度に露骨なほど縦幅の狭いスクエアやオーバルが主流をなしていたのは間違いありません。
本当にまれに目撃することのできたのは、80年代、つまり20年前から同じものをかけているのだろうと思われる顔からはみ出さんとせんばかりの巨大なウェリントンないしはボストンをかけているひとで、これらは玉形54㎜はありそうな、80年代中頃~90年代中頃のイメージのトラッドフレームでした。
ハイエンドなショップにいくとクラシックシェイプなアイウエアはかなり並んでいましたが、いわゆる街の眼鏡屋さんや、今ほどの規模でなかった印象のあるスリープライスのアイウエアショップにいくと、前記したような横に異様に長いスクエアやオーバルばかりが並んでいました。
迫力のあるグラマラスなブラックのウェリントンなどはシニア向けの片隅に置かれていたのです。
お客様そちらはシニア向けになります
と、本当に言われたのです。
そのような時代でした。
当時の若者の感覚ではウェリントンやボストンは昔の眼鏡でダサいというイメージがぼんやりと蔓延していた記憶があります。
穂積和夫氏著の絵本アイビーボーイ図鑑を読むと
トラッドなフレームはウェリントンとボストンに限ります。
スポーツなどにはメタルのダブルブリッジが推薦されていたのを見て
今はなぜ細長いモデルばかりなのだろう、昔の眼鏡のほうがかっこいいのに
憤りを感じたものです。
こんな時代でしたから、タートのアーネルのようなモデルの位置づけとしてはまだまだ趣味性が高いマニアックなものだった気がします。
アーネルの価格が高騰するギリギリの時代のお話です。
完全にレトロシェイプのフレームがポピュラーとなった現在、もはや今となっては誰も語らない、語れない、語ることさえタブーのような空気になってしまいましたがアーネルをはじめとするアメリカンクラシックシェイプは
日本人の骨格になじむのをまるで拒絶するかのような、東洋人に多いとされる骨格と相反する比率の設計であるきがします。
そんなアーネルのようなデザインがこれほどまでにロープライスの商品の元ネタとしてサンプリングされるに至ったのは、トレンドの恐ろしさを感じます。いい意味でも悪い意味でも、複雑な心境です。
シークレットウインドウのころ生まれていなかったような世代が、いきなり1本目としてあの手のモデルに手を出すのもさほど珍しくもないかのような時代の空気も感じます。
お話をジミーの眼鏡に戻します
ジェームスディーン氏もジョニーデップ氏も愛用した名品!
販売のうたい文句としてかなり効力を発揮したでしょう。
ですが、いくら何枚も何枚も画像をみても、ジェームスディーン氏のメガネがアーネルに見えず、その違和感が長年続いたのです。
80年代にシェイディーがダイヤヒンジを搭載させてジミーモデルとして発売したこと、これに廃業末期のタート社がからんでいたこと、ジョニーデップ氏がジミーにあやかってアーネルをかけはじめたということもいわれはじめ(この情報ソースがいまいちはっきりしないのです。何かのインタビューで発言されたのでしょうか)
いわゆるシェイディーはジェームスディーン氏がかけていたモデルを『再現』したモデルというのが表現としては近いのではないかです。
自分も長年、ジミーのメガネはアーネルの特注のダブルダイヤなのだろうと思い込んでいましたが、何度見ても形自体が違うとずっと思っていました。
ジミーはタートも愛用していたとのことなのですが、その写真が見つからず
多くの写真、というよりも
【ほぼ全ての写真】でかけているのは
ユニバーサルオプティカルのMansfield Square F770
ではないか
こうなるとジェームスディーン氏=アーネル
というよりも
ジェームスディーン氏=メンズフィールドスクエア
のほうがどちらかといえば正しいのではないかという感じもしてしまうのです。
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