【言葉のリズムと意味の試行】(元の歌と訳は『新古今和歌集』角川ソフィア文庫 久保田淳 訳注より)
[元の歌]
世の中になほもふるかなしぐれつつ雲間の月のいでやと思へど 和泉式部
(世の中に依然として時雨は降り続けるなあ、雲間の月は、さあ雲から出ようと思うけれど)
時雨の雨まなくし降れば真木の葉も争ひかねていろづきにけり 人麻呂
(時雨の雨が間断なしに降るので、真木の葉も抗しきれなくなって色づいてしまったよ)
[歌の要素の組み合わせ]
世の中になほもふるかなしぐれつつ争ひかねていろづきにけり
時雨の雨まなくし降れば真木の葉も雲間の月のいでやと思へど
世の中にまなくし降ればしぐれつつ争ひかねていでやと思へど
時雨の雨なほもふるかな真木の葉も雲間の月も(の)いろづきにけり
しぐれつついろづきにけり世の中にまなくし降ればいでやと思へど
真木の葉もいでやと思へど時雨の雨なほもふるかないろづきにけり
[今様風の組み合わせ]
なほもふるかな時雨の雨 まなくし降れば世の中に
争ひかねてしぐれつつ いろづきにけり真木の葉の(も)
雲間の月の真木の葉も まなくし降ればしぐれつつ
いでやと思へど時雨の雨 いろづきにけり世の中の(に)