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garakutax
ひかる森のなかまたち
ずいぶん前だが「婦人之友」という100年以上続く大変真面目な雑誌にエゾリスのリリちゃん、が主人公のおはなしを連載していた。
このリリちゃんには実はモデルがいて、私がかつて住んでいた山の中の家に毎日遊びに来ていたエゾリスがいたのだ。
バードテーブルに置いたヒマワリの種子が、やけに減るなあ、と思っていたら、なんと、一心不乱にヒマワリの種子を食い散らし、殻をあちこちに投げ捨てるお行儀の悪いエゾリスがいた。近くに寄ってもぜんぜん逃げない。
毎朝、ひたすら食うのに一心不乱なのである。まるで私のようだ。
このエゾリスに私は「リリちゃん」と名前をつけて、毎朝観察させてもらっていた。
たまに種子の補充を忘れていると、私の寝台のすく横のガラス窓に文字通り張り付いて「早くヒマワリの種子を出せ!」とばかりにガタガタとガラスを鳴らす。エゾリスって、ずうずうしいんだよ。
十数年ぶりに北海道に帰ってきて、山に囲まれた歌志内のサイクリングロードでまたチョロチョロと無防備に道を横切るエゾリスの姿を見つけ、なんだか久しぶりに昔の友人に会ったような気持ちになった。
このずうずうしいリリちゃんには後日談があって、春の終わるころ、なんと数匹の子リスを引き連れてバードテーブルに現れた。女の子だったんだ。
これは本当のはなし。
そういえば私の絵本の作品には「りすのあかちゃん」(福音館書店・こどものとも)というのもある。よほどリスにご縁があるのだろう。
嬉しいことだ。
(歌志内市地域おこし協力隊・石井葉子)