
「花埋み」を読んだことがあるか?
私は、皆様もご存じのとおり?40歳くらいまで妄想型アタオカを拗らせまくっていたので(なげえなあ、おい)とにかく妄想のおかずが多かった。
大抵は、不幸、病気、貧乏、などなどなのだが、そんなことをしているから、今、「お金のブロックが重い人」と言われるだよ、私。
まあ、もう過去は消せないので、ブロックはなるべく軽くなりますように。
さて、当時私は、昼ドラも大好物で、特に「華の嵐」と「牡丹と薔薇」が大好きすぎた。高飛車なお嬢様と、不幸な女・・・もちろん、里中満智子先生の「あすなろ坂」なども大変おいしく妄想させていただきました。
(もうBBAなのでそれぞれの年代が違ってても気にするな)
なかでも、渡辺淳一先生の「花埋み」は、今となっては読み返すとイライラしたりするわけだが、当時の私は「ああ、荻野吟子・・・」と狂ったように彼女のことを調べまくったのであった。(ネットなどない時代。他には、クデーンホーフ・光子とかも)
吟子は、日本最初の女性の医者。
シーボルトの娘さんとかも医業はしてたけど、吟子は、医学校を出て正式に医者と認められた女性なわけよ。なんでも一番最初にやった人って、とりあえずそれだけで尊敬に値するわな。
吟子ときたら最初はまあ当時の世相どおりに親に言われるまま結婚するんだけど、なんと旦那のお遊びが原因で淋病を移されてしまい、結局離婚。この淋病は最後の最後まで彼女を苦しめるのよ。
自分のお腹を墨で真っ黒に塗りつぶすシーンなど、涙を禁じ得ないわ。
しかし、吟子はくじけることなく勉学に邁進、そりゃ色々あるけど、ついに医者になる。
で!クリスチャンにもなる。
そして知り合った若い男といっしょになって北海道へ。待って!吟子さん、そんな男大丈夫なの??と。イヤ確かに、今でいうチャラ男とか、ヤ系の人じゃなくて、武骨で真面目で理想に燃える人よ?しかも吟子のことを尊敬し、熱愛してる。そんな若者のことを無視できんやろ・・・正直。
ところがや、吟子って自分がめちゃくちゃ苦労してしかも、ストイックに努力してきたもんで、他の人の弱さとかを受け止められないんだよね、不寛容なんだよね、要するに。彼女の場合は、自分にも不寛容ですからあ・・・
もし私が吟子の友だちだったら「もうええんやで」って言ってあげたいと気が何度もあったわ。
とにかく、他人に、旦那にでも、弱みを見せちゃいけない、自分に弱みがあってはいけないとすら思っているかのような吟子。
不思議なのは、荻野吟子って全然知られていないよね。
なんでなのかしら。
彼女の生きざまって、めちゃめちゃ壮絶で、波乱万丈。道なきところに道を作った女性としてもっとたくさんの人に知られてもいいと思うのよ。
今、Unlimitedになっているので、ぜひ、読んで。
渡辺淳一さんは「失楽園」とか「愛の流刑地」が有名になってしまったので、そういう感じの小説?と思われがちだけど、この「花埋み」は、女性なら読んで損はないと思う。特に、自分でビジネスをやっていこうとか、何かにチャレンジしようとか、そういう気持ちがある人には強くおススメ。
トップランナーであることの哀しさなんかも、すごく感じることができます。そして、女であるが故の弱さも。