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私的10代に読んでもらうべき1冊
このNoteを読んでくれている人って何才なのかわからんけど、もしもあなたに10代の娘さんがいたら、絶対に古本屋で探してでも読んでもらって。
それは、この本「かなしみのクリスチアーネ」(原題は我らツォー駅の子どもたち:ドイツ語)
70年代のベルリンの若者たちの荒れっぷりは、今の日本のトー横キッズにもつながるように感じるわ。麻薬、売春、自分自身や家族、周囲の人生も引き裂いてしまう自暴自棄さ。そこから抜け出せない10代、その予備軍、そして大人たち、社会、国。ドイツは日本と同じ敗戦国。負け組ムードが社会全体を覆っていたんだろうなと思う。
てか、ある非行少女って副題にあるけど、そんな生易しいものではない。
ただ、私はほか、ディテールこだわり派、フェチなので、一番覚えているのは、クリスチアーネの住んでいるアパートのエレベーターのボタンが押せない小さい子たち(当然放置されている子たち)が木の長いスプーンを持っててそれで、自分の家の階数ボタンを押すんだけど、やっぱ、トイレとか焦るじゃない?そういうときに大きな子がそのスプーンを取り上げたりするわけよ。間に合わないよね・・・というシーン。あと、公園には植物や木が植えられているんだけど、そこは、囲われていて、侵入禁止になってる(日本もそうよね)でも、土があるのはそこしかない。そこに穴を掘ってビー玉遊びをするシーン。なんでこんなことばかり覚えているんだろうと思うけど・・・
私がこれを読んだのは中学生のときだった。
当時私はオカルトから、若干じゃないレベルで左によっていってて、「学校解放新聞」とかに入ってたのよ。そのときできた友達に勧められた気がする。彼女とは、変な趣味が合って、田舎の小娘には手に入らなかった「カリガリ博士」のビデオとか送ってくれた。彼女の名前も忘れたけど、どうしてるかな。
この「かなしみのクリスチアーネ」の日本語訳はもう廃版になっていて、古本でしか手に入らないけど、もしかしたら図書館とかならあるかも?
あらすじ
クリスチアーネは、西ベルリンの社会的に困難な環境で育ち、家庭の問題や孤独感を抱えていた。13歳の時、彼女は友人とディスコに通うようになり、その場所でドラッグ(ハシシやLSD)と出会う。(めっちゃ早いよね。)その後、より強いドラッグであるヘロインに手を出し、クリスチアーネはドラッグを得るために金銭的に困窮し、ついには売春に手を染めるようになる。彼女の周囲の友人たちも同じようにドラッグに溺れ、命を落としたり、人生が破壊されていく様子も描写される。最終的には彼女がドラッグ依存から抜け出そうとする葛藤と努力に希望の光が見えます。
そういえば、もうひとつ覚えているのが、クリスチアーネと彼氏(友達?)がヘロインを仕入れて、それを小袋に分けて売って儲けようとするんだけど、中毒者なので、売る前に自分らで使ってしまう・・・というシーンもあった。
これね、実話というかクリスチアーネは実存してて、彼女の思い出なわけ。
だから余計にリアル。文体は淡々としてて、盛り上がるとかそういうのはないんだけど、それほど、「ドキュメンタリー」なんだよね。
当時の彼女の友人たちの写真に彼/彼女は何才で何で死亡したかとか、実際のツォー駅(動物園駅)の様子とかもあって、とりあえず、リアル。
なんで、これが絶版しちゃってるのか?文庫にすらなってないんだよ・・・
日本は書籍出版がすごく多いけど、絶版しちゃうものも多くてほんと残念。絶版にするなら電子書籍にしておいて欲しいと切に願う
そして、その後のクリスチアーネを知ることができるものも出版されてます。映画化されたことで、デビッド・ボウィに彼の別荘に招待されるクリスチアーネ・・・アメリカでの活動、度重なる麻薬依存で息子の親権を奪われるなど、ヨーロッパでもっとも有名な麻薬中毒者といわれたクリスチアーネ本人の「その後」
これも合わせて読んで。