一人旅がしたい
目が覚めて、ああ、どうしても「旅」について書かねばならないと感じた。私は本当に「旅」が好きだったのだ。
あの頃の私は、そんなことに気が付いていなかった。
気が付いていたら、ワーキングホリデーにも行っただろうし、バックパッカーもやっていたかもしれない。
なぜなら、「こうあるべき」ということに捉われていたから。
「深夜特急」に出会ったのは、おそらく最初に母親になってからじゃないかな。1986年に出版されているから。
その後、1989年は、マガジンハウスからあの旅雑誌「ガリバー」が発行された。1982年に創刊された「オリーブ」とともに創刊号から廃刊になるまでずっと買い続けた雑誌でもある。この2冊には、私の憧れのすべてが詰まっていた。今、こんな雑誌ないよね。。。全部とっておけばよかったと、今更後悔しても遅いのよ。
「深夜特急」は、沢木耕太郎氏がシルクロードを辿ろうとするところから始まる。「バスくらい通っているだろう」という何とも言えない無謀さで始まる旅。当時の国際的事情から旅は、インドのデリーから始まるはずだったが、航空券のストップオーバーを利用して、主人公は香港とバンコク、ペナン、シンガポールにたちよる。(ペナンでは、陽気な娼婦たちと親しくなるんだが、私は、なぜかここで猛烈にペナンに惹かれ、息子を連れての移住を考え始めた。)
そしてやっとインドのデリー、ここからとにかく紆余曲折を経て、最終地のイギリス、ロンドンへ。
この本は、その後バックパッカーのバイブルとして扱われるようになった。
私は、もう子どもがいたし、子どもを連れて旅はしていたけど、当時子連れのバックパッカーはいなかったし、情報も何もなく、子どもの命を守るために無謀なことはしない旅しか、「したくなかった」それは、私の選択だったし、それでよかったと思う。
この「深夜特急」は、何度も読み返して、文庫化されたときも購入した。
私のNote、特に小説関連のところを読んでくれたらわかるかもしれないんだけど、私は「生活感」が何よりも好きなのだ。何を食べ、何を買い、何を持っていて、どんな部屋に住んでいるのか。このディテールが私にとってはなによりも大事で、このあたりが「ぼんやり」した情緒的なものが好きではない。映画もディテールが凝ったものが好きなのだった。
kindleもあるし、合冊もあるので、お好きなタイプを。ただなぜかこの手の本は、持ち歩いて読みたくなる。
一人旅に限って言えば、大学生のころに、何度もニューヨークに行った。多分これが唯一の一人旅だった気がする。あとはずっと彼氏、子ども、誰かといっしょだったから。ニューヨークでは、思う存分好きなだけ美術館に入り浸り、好きなものを好きなタイミングで食べ、好きなだけ雑貨店を巡った。
今から思うともっといろんなところに行けばよかったな。
なんだろうな。私は、バックパッカーには向いてないんだろうなとは感じる。なんでかって?私、極度の人見知りで警戒心が強い(そうは見えない)ので、別に旅先で友達作りたいとか地元の暮らしが知りたいとか、まったく思わないから。しかも私は子どもと積極的に接するのも好きではないし。
シャワーが水しかでなかろうと、お宿がぼろであろうと、まったくもってどうでもいいんだが、ドミトリーは嫌だ。知らない人がいっぱいいて、友好的に過ごす必要があるから。
だからといってラグジュアリーな旅がしたいというわけでもない。
素敵なホテルに泊まることが目的の旅はありだし、地元の料理を食べる旅もあり。だけど敢えてちょっとお高めのホテルを選んで観光とかは??
あ、言い忘れてるけど、私、一般的な観光もそれほどしたくないのよ。もちろん、行ってみたい場所はあるけど、有名な場所だからとかそういう理由だけでは特に興味を惹かれないのだった。
最近は、もう子どもを連れて移動する必要が完全になくなったし、旦那は置き去りでも文句言われないし、やっと一人旅のチャンスがきてると思うのよね。あと2年で娘が大学を卒業する。そしたら仕送りもしなくていいし、自分のためにお金が使えるのよ。老後のたくわえなんかないけど、不動産もあるっちゃあるしな。日本に住みたくないから、売ってしまってもいいと思ってる。
60歳までは子どものために働き、60歳からは自分のために働き、65歳までに一人旅をする。
そんな夢を見ている、今日この頃なのだ。目標は、澁澤龍彦「ヨーロッパの乳房」を巡る旅