NO.11刑務所の職業訓練
刑務所の中では出所後の就労を促進する為に職業訓練が実施されています。
刑務所によっても受講できる科目も違うし、全ての刑務所で職業訓練を受講出来るわけでもありません。
全国から受講者を集める総合訓練施設。
管内、他の管区内の受刑者を一時的に集める集合訓練施設。
自所の受刑者のみを選定し訓練していく自庁訓練施設などがあります。
全国では53科目の職業訓練が実施されているようです。
職業訓練の条件としては、職業訓練を希望していること、必要な期間があること、耐えられる健康状態であること、受刑態度が良好で改善更生の意欲が高いと認められることなどがあるようです。
私は受刑生活の中で職業訓練を受ける事ができました。
ビル設備管理科、自動車整備科、
溶接科の3つです。
ビル設備ではボイラー2級と危険物の資格が取れます。
工場からの通いで週3回、午前中のみで2ヶ月位い講習を受けて試験をしました。
危険物も同様に2ヶ月位い自己学習でしたが勉強する時間がありました。
自動車整備科は訓練工場に移動し 2年間の訓練でした。
1年目の2ヶ月位は自己学習と講習がメインでしたが少しずつ実習という形で洗車ばかりやらされました。
刑務所では、整備、板金、塗装といった一般社会の整備工場と同様にお客さんが車を刑務所に持ってきますが、刑務官がとても多かったです。
料金もとても安かったと記憶しています。
1年目は午前中に座学があり午後からは実習で整備、板金、塗装を3ヶ月づつ経験しました。
2年目は整備、板金、塗装の中から選びそれを1年経験していくがテスト前の2ヶ月位は自己学習ばかりでした。
自己学習といつても過去問をひたすらやったり、テキストをただノートに書き写すだけでした。
自動車整備の技術はほとんど身についた実感はありませんが、知識として趣味のレベルが少し上がった気がします。
訓練が終われば元の工場に戻るので自動車に触ることが一切無くなって知識や経験は増すことがありませんでした。
自動車の訓練中に取れる資格として 2級ガソリン自動車、ガス溶接と小型特殊、危険物の試験なども受けれました。
溶接科は工場を移動して1年間の訓練でした。
始めは被覆アーク溶接棒を使って試験に向けての練習でした。
ひたす2枚の鉄板を溶接棒で繋いでいく練習でした。
刑務所の被覆アーク溶接の試験は下向きと縦向きがあつて下向きをしばらく練習してから縦向きの練習をやりました。
半自動溶接も下向きと縦向きがあり被覆アークと同様に試験に向けて2枚の鉄板をつなげる練習ばかりしました。
ステンレスの溶接試験は下向きだけでステンレスの2枚の板を溶接棒でつなげる練習をしました。
資格としては
アーク溶接適性証明書2Fと2V
半自動溶接適性証明書2Fと2V
ステンレス鋼溶接適性証明書F
を取得しました。
この資格は取得してから1年経過すると更新しなければいけないので刑務所にいれば失効してしまいます。
資格としては履歴書には書けない資格となりました。
溶接の技術としては、2枚の鉄板を
つなげる事しか経験してないので一般社会では役に立つかは自信がありません。
その他にはアーク溶接作業特別教育修了証とガス溶接の講習がありました。
刑務所の訓練を受講して思つたことは資格があっても技術と経験が乏しいので出所後に取得した資格が活用出来るのかがわかりません。
お陰様で受講した全ての資格を取得する事が出来ましたが履歴書に書きづらい資格が有るのも事実あります。
自動車整備で取得した2級ガソリン自動車は証明書にはOO技能訓練所と記載してあり取得日も書いてあるので履歴書に書いて就職が決まり確認で見せることがあれば疑問に思われたりしないか不安でまだ履歴書には書いたことがありません。
刑務所病か思い込み過ぎなのか···
職業訓練に合格するには応募基準も一応あるが、1番はやはり担当からの口利きがとても大きかったと感じました。
中には訓練に申し込んでもいないのに職員が来て訓練受けないか?って言われて受けていた人もいました。
刑務所で普通に作業を行っているより、訓練へ行き勉強して資格を取得したほうが良かったと思えました。その資格が出所後に役にたたなくても良い経験になり知識にもなつたと思いました。
身の回りに受刑生活をしている人がいれば是非職業訓練を受講するように勧めてはどうでしょうか。
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