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わが師、ヴィクトール・フランクル

NHKのEテレ「心の時代」で、オーストリアの精神科医、ヴィクトール・フランクルに関する番組が6回にわたって放映されました。
以前からフランクルことは知っていましたが、今回のテレビを見て、改めてフランクルは私たちが生きていくために重要なことを教えていると感じました。
テレビで初めてフランクルが実際に話をしている姿を見て、その力強い語り口など、フランクルの人柄も感じられ、フランクルの考えに対する理解を深めることができました。
フランクルのほかにも、私がこれまで感銘を受けた人、尊敬する人はたくさんいますが、フランクルは私にとって「人生の師」という思いを抱きました。

フランクルがユダヤ人だったことから、第2次世界大戦中、収容所に入れられていた時の体験を記した「夜と霧」は日本でも広く読まれていますし、以前、NHKの別の番組でもフランクルを取り上げたこともあったので、フランクルを知っている人は多いと思います。
しかしまだ知らない人もおられると思うので、そういう人にもぜひフランクルを知ってほしいと思ってnoteを書いています。
特に、生きることに意味を見失いかけている人がいたら、フランクルの本を手に取って読んでほしいと思います。

日本では毎年2万人を超える人が自ら命を絶っています。さらにその数倍もの人が自殺を考えていると言われます。
その人たちも、フランクルの言葉に出会っていたら、自殺を思いとどまることができるのではないかと思います。

フランクルの考えは、頭の中で考えた理屈といったものではなくて、フランクル自身が収容所での極限状態を乗り越える心の支えとなったように、現実の世界でも力を発揮するものです。

私たちは生きていく中で楽しいことばかりでなく、辛いこと、悲しいことにも度々遭遇します。そうしたとき、なぜこのような辛い体験をしなければならないのか、人生の不条理を感じることがあります。
さらに言えば、死ぬことによってすべてを失うことになるのであれば、死に向かって生きていくことに、そもそも何の意味があるのだろうと感じることもあります。

そうした思いにとらわれた時でも、フランクルは「人生にはどのような状況にあっても意味がある」ということに気づかせてくれます。
人生に意味を見出すために必要なことは、人生を考える視点を変えることだとフランクルは言います。
「この人生に意味があるだろうか?」と自分を中心にして世界を見渡しても答は見つかりません。しかし視点を変えて「私たちは人生から問いかけられている」ということに気が付くと、生きる意味を見出すことができるのです。私たちは誰かの役に立つことができます。何かが私たちを待っているのです。
それでも、私たちが元気なうちは、自分が何かをすることで人の役に立つこともできるかもしれませんが、もし不治の病にかかって寝たきりになってしまったらどうでしょうか?
そのような状況になっても生きることに意味を見出すことができるのでしょうか?
フランクルは、どのような状況になっても、それは可能であると言います。
たとえ絶望的な状況でも、その状況にどのように向き合うかということは、自分で決めることができます。その意思によって生きる意味を見出すことができるのです。

フランクルの考えを、私はフランクル以上に分かりやすく伝えることができません。ぜひともフランクル自身が書いたものか、フランクルの考えを分かりやすく解説した本を手に取っていただきたいと思います。

フランクル自身はユダヤ教の信者でしたが、フランクルが教えることは、信仰の有無にかかわらず、すべての人が理解して、受け入れることができるものです。

多くの人がフランクルと出会って、生きていくための指針を学び、もしも絶望を感じるようなことがあっても、これを乗り越えてゆくことを願っています。

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