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「85歳、HSS型HSPの私が迎えた老後」

85歳になった私は、静かな田舎の家で一人暮らしをしている。

パートナーがいなくなってから、もう何年経っただろう。
最近では日付の感覚も曖昧になってきた。


やりたいことはあるのに、体がついてこない

朝、目を覚ますと、昔のようにシャキッと起き上がることができない。
膝が痛い、腰も重い。
頭の中では「今日は庭の草取りをしよう」「あの編みかけのセーターを仕上げよう」と考えるのに、体はなかなか動こうとしない。

「はぁ…」と深いため息をつく。

若い頃の私は、好奇心旺盛で、いろんなことに挑戦してきた。
転職も何度もして、色んな職場を経験した。
旅をしたり、新しい勉強をしたり、好きなことを見つけるたびに夢中になっていた。

でも、今は?

やりたいことはまだたくさんあるのに、体が思うように動かなくなっている。
昔のようにアクティブに動けないことが、もどかしくて仕方ない。



「友達を作るのが苦手」という現実

「寂しくなったら、友達を作ればいいじゃない」とよく言われる。
でも、HSS型HSPの私にとって、それは簡単なことではなかった。

若い頃から、新しい環境に飛び込むことは得意だったけれど、人間関係の維持が苦手だった。
深く関わりすぎて疲れてしまったり、気を遣いすぎて距離を置いたり…。
「もっと気楽に付き合えばいいのに」と言われても、それができないのが私だった。

だから、気づけば老後、話せる相手がほとんどいない。

地域のサークルに参加しようかと思ったこともある。
でも、あの「グループの輪」に入るのが怖くて、行動に移せなかった。

「これが、私が選んできた結果なんだよね…」

誰にも言えない思いを抱えながら、一人でお茶をすする。



「気を遣う」ことが増えすぎて疲れる日々


一人暮らしとはいえ、完全に誰とも関わらないわけではない。
スーパーのレジの人、ご近所さん、時々くる訪問介護の人。

でも、どこへ行っても気を遣ってしまうのがHSS型HSPの性分。

「レジの人、ちょっと疲れているかな…変に話しかけない方がいいかな?」
「ご近所さんに挨拶はしたけれど、話を広げるのが面倒くさい。でも無視したと思われるのも嫌だし…」

そんなことを考えていると、どっと疲れてしまう。
年を取って、もっと図太くなれるかと思ったけれど、HSS型HSPの特性は変わらなかった。

結局、誰かと会うのが億劫になり、また一人で過ごす時間が増えていく。


お金の不安と、この先のこと

「今日の食事、何にしようか」

スーパーのチラシを見ながら、財布の中身を計算する。
年金は、思っていたよりも多くない。

若い頃に安定した仕事に就かなかったツケが回ってきたのかもしれない。
フリーランスやパートでつないできたから、厚生年金がほとんどなく、毎月のやりくりがギリギリだ。

もう一度働こうか…でも、この年齢でできる仕事なんて限られている。
体も動かないし、周囲の人に迷惑をかけるくらいなら、無理に働かない方がいいのかもしれない。

老後資金、もっとちゃんと考えておくべきだったな…

そう思いながらも、今さら悔やんでも仕方がない。
ただ、85歳の私は、これからどう生きていけばいいのだろうと、漠然とした不安を抱えながら、ぼんやりと窓の外を眺める。


「老後の私」から、今の私へ

85歳になった私が、若い頃の私に言えることがあるとしたら――。

「自分のことを後回しにせず、もっと大切にして」
「老後に備えて、少しでも経済的な基盤を作っておいた方がいい」
「人間関係が苦手でも、一人になりすぎないように、誰かと繋がる方法を見つけて」

「何とかなるだろう」と思っていた未来は、意外と厳しいものかもしれない。

でも、まだ間に合うかもしれない。
今からでも、小さな準備を始めることで、もう少し生きやすい老後を迎えられるかもしれない。

老後は、今の自分が作るもの。

「過去の私、もっと準備しといてよ!」と未来の自分に言われないように、今日から少しずつ、できることをやっていこう。


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