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妄想カニ日記。

私は今、日本海側のしっぽりした
温泉宿におります。
「世界蟹剥チャンピオンのいる宿」
が、この宿のウリです。
だからここに決めたんです。

私はそこそこ大きな和室で
徳川家康みたいな椅子にだらしなく座り
世界一のカニ剥きマイスターが
「ハイ、かにかに」というご陽気な掛け声で
まるで芸術品のように剥いたカニを
おぎょうぎ悪く食べています。

片手で持って口を顔ごと上に向けて
「あ~~~」と言いながら。

とろけるぅぅぅん、とか
甘いぃぃん、とか
今の私にはどうでもいい食レポです。

カニ剥きマイスターの剥きが早いか
私の「あ~~~」が早いかの決闘なのです。

上を向くと天井には
よくわからない合戦の絵が描かれています。

昔からカニにまつわる騒動が
あったんだなと思いました。
だって武将たちが持っているのは
槍でも弓矢でもなく大きなカニ印の旗。
大将が被っているのは
無駄にデカいカニの甲羅だったから。
「どっちぃがデっカぁい甲羅だ~?」って
変な節を付けながら
自慢している様子なのかもしれません。

寝るときには見ないようにしよう。
ふざけた顔の武将たちを見たって
安眠できそうもない。
それどころか、カニ合戦に参加
したくなりそう。そう思いました。

カニのおともは、もちろんキリキリに冷えた
ご当地日本酒の辛口です。

カニ、酒、カニ、カニ、・・カニからの酒。

だいたいこんなリズムで
世界一のカニ剥きマイスターとの時間を
楽しんでいきます。

この後は、ご陽気な芸者さんたちと
野球拳と酔拳をして遊ぼうかと。

そうそう、ここの宿には部屋に
立派なお風呂があります。
もちろん温泉。源泉かけ流しですって。

半露天のお風呂なんだけど
この時期には蚊がたくさんいるので
壁には「蚊刺注意」って
高級旅館にあるまじき四文字熟語が。
達筆だから、きっと書方名人がわざわざ
筆をぶんぶんと振り回して
書いたんだろうね。
それにしても、大げさな書きっぷり。
いけ好かないじぃさんよ、きっと。
と、会ったこともない書方名人を
いけ好かないじぃさん呼ばわりしながら
温泉をのんびり楽しむつもりです。

でも、私は虫に刺されると
自分で搔きむしって
血をドブドブ出すタイプなので
ちょっとイヤだな・・・

ま、いっか。蚊にさされたところで
さっき食べたカニが消えるわけでもないよね。

そうだ、明日はどこかの崖っぷちに行って
英一郎となぎさに会って
誰かの罪の謎解きをしなければなりません。
紅葉ちゃんもも呼ばないとね。
刈谷警部にも来てもらわないと・・・

それからどっぷーん、ざっぱーんと
大きな波にあおられて
マドンナたちのララバイを歌う算段です。


疲れがすぎると
だいたいこんな妄想をしているタナカ。
基本はカニから始まります。

なんのためにもならない妄想に
お付き合いいただき
ありがとうございました。







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