空想妄想、大暴走。

コンニチワ。フエキくんです。
繁忙期が終わったタナカは
とたんにヒマそうだな。

鼻をホリホリしながら
白眼剥きそうになりながら

ニヤニヤしたり
クスクスしたり

ちょっとどげぇかあるように見える。
この顔は、きっと良からぬことを考えてるはず。
おまけに、ボクは何故か赤いドレスを着せられた。
困ったもんだ。

さて、そんなタナカに
同僚のヨシコちゃんが声をかけてきた。

「タナカちゃん、どうした？
なんかいいことでも、あった？」

ヨシコちゃんはいつも優しい。

タナカときたら
「うん。今ね、日本海に行って
カニ食べてきたヨ。
徳川家康みたいな椅子にすわってね、
カニ剥きのプロに剝いてもらいながらね、
日本酒も浴びるように飲んでね、
すんごーくおいしかったヨ」

なんて、いつもの妄想カニ日記を
話していた。

アカーーーン！
タナカ、それはアカーーーーン！！
生真面目なヨシコちゃんには通じんて！
今すぐ撤回してって！！

ヨシコちゃんは
「か、カニ？？あぁ・・
そ、そう、それはよかったね。
・・・・ってか、
タナカちゃん！疲れとる？疲れとるって！！
だって繁忙期やったもんね？
疲れ、取れとらんよね？
そんな妄想までしてから、
かわいそうに・・・・」

と、タナカに言っていた。

か、かわいそう？？？
ゲラゲラゲラゲラ
タナカ、かわいそうだってー－－－。

ヨシコちゃん、あのね、
タナカはかわいそうじゃないよ？
こうやって、脳内で妄想することが
タナカのストレス解消で
タナカの楽しみなんだから。

ヨシコちゃんがかわいそうにって
言ってる間にも


上司のスマホに非通知で執拗に電話したり
上司のスリッパを左右反対に置いてみたり
上司のパソコンにカレーうどんをこぼしたり
上司の引き出しに生サンマを忍ばせたり
上司のコーヒーカップにあったかい醤油入れたり
上司の椅子にブーブー言うクッション敷いたり

そんなくだらない妄想をしてるんだってば。

きっと上司にイヤな思いをさせられたんだろうよ。
だからタナカは、ちょっとしたイヤガラセの妄想を
してるだけなんだよね。

ヨシコちゃんは優しいから
そんなタナカをねぎらってくれてるけど
ダイジョウブだよ。
タナカは疲れているフリしてるだけだから。

って、ボクの声がヨシコちゃんに届けば
いいんだけど。
ヨシコちゃんは常識人だから
きっと聞こえないだろうな。

タナカが考えている上司へのイタズラも
「ダメよ！そんなことしたら！」
って言いそうだもんね。

でもヨシコちゃんありがとう。
いつもタナカを気にかけてくれて。

これからタナカと一緒に定年退職するまで
仲良くしてね。

たまにはタナカの妄想カニ日記を
聞いてあげてね。

かわいそう、って言わないであげてね。