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好きな先輩が寿退社することになった

〇〇:あ〜マジか…


先ほどからパソコンを見ながらため息をついている〇〇


璃花:〇〇どうしたの?さっきからため息ばっかりじゃん〜


様子のおかしい〇〇を気にしてか同期の璃花に声をかけられる


〇〇:璃花、このメール見た?


〇〇は一通のメールを璃花に見せる


璃花:あ〜保乃さんが寿退社するっていうメールじゃん


保乃さんとは〇〇と璃花の教育係をしていた先輩である


そして〇〇がずっと好きな先輩でもあった


そんな保乃さんが1週間後に寿退社するということで、そのお知らせがメールできていた


〇〇:保乃さんも寿退社か…


璃花:〇〇すごくお世話になったもんね…


璃花:お世話になっていた人が辞めるのは寂しいよね…


〇〇:まっ…まあな…


歯切れの悪い返事をする〇〇


璃花:でもまだ退社日まで少し時間あるし、ちゃんと感謝の気持ちを持ちながら仕事頑張ろうね!


〇〇の秘めた想いを知らない璃花はそう言うと自分の席へと戻っていった


…………


1週間後


保乃さんが出勤する最後の日はあっという間にやってきた


その日の定時前、部署内で簡単なセレモニーが行われた


部長の挨拶から始まり


保乃:みなさんのおかげで充実した日々を過ごすことが出来ました。本当にありがとうございます。


最後は保乃さんの挨拶によってセレモニーは終了した


セレモニーから戻り璃花と少し話をした後、再び仕事に戻る〇〇


仕事もひと段落し、気分転換にコーヒーを買いに自販機へ向かう


すると


保乃:あれ?〇〇やん!


聞き覚えのある声に呼び止められる


〇〇:保乃さんお疲れ様です


保乃:こんなところで何してん?


〇〇:気分転換にコーヒーを買おうと思って…


〇〇:保乃さんは社内の挨拶周りが終わった感じですか?


保乃:そうやで!


保乃:そうや!せっかくやし保乃がコーヒー奢ったるよ!


〇〇:マジっすか、ありがとうございます


近くのベンチに座りながらコーヒーを飲む2人


〇〇:保乃さん結婚おめでとうございます


保乃:ありがとうな


先程までとは違い、どこか元気がなさそうな様子の保乃さん


〇〇:保乃さんから学んだことを忘れずにこれからも仕事がんばります


〇〇:(これ以上一緒にいる自分の気持ちが溢れてしまいそうだし、もう席に戻ろう)


彼女への想いに蓋をし席へ戻ろとすると


保乃:待って…


保乃さんに呼び止められる〇〇


〇〇:どうしました?


保乃:〇〇ってこの後まだ仕事あるん?


〇〇:この後はもう帰るだけですけど…


保乃:…ならこの後ウチとご飯行かへん?


〇〇:でも旦那さんと食べなくて大丈夫なんですか?


保乃:それは大丈夫…


保乃:それとも保乃とご飯行くのは嫌?


〇〇:(保乃さんとご飯…嬉しいけど絶対に自分の想いは言わないように気を付けないと…)


〇〇:分かりました、すぐに準備します


保乃:じゃあ会社の前で待っとるからね


〇〇:はい


急いで席へと戻った〇〇は帰る支度をし、保乃さんの元へと向かう


〇〇:お待たせしました!


保乃:じゃあ行こか


先ほどからあまり元気のない様子の保乃さんに違和感を感じつつ後をついていく〇〇


やって来たのは保乃さんが教育係の時によく連れてきてくれた居酒屋


いつも使っていた個室に通される


〇〇:…旦那さんってどんな人なんですか?


一通りお酒と料理が出て来たところで質問をする〇〇


保乃:…


質問に答えず何故か黙り込んでしまう保乃さん


〇〇:保乃さん、さっきから元気ないみたいですけど何かあったんですか?


〇〇:僕でよければ話聞きますよ?


保乃:…


保乃:…実は寿退社ってゆうのは嘘やの…


〇〇:えっ…


突然のカミングアウトに驚く〇〇


〇〇:じゃあなんで辞めるんですか?


保乃:実は上司のセクハラがあって辞めることにしたんや…


〇〇:そうだったんですね…


〇〇:でもなんで寿退社ってことになっているんですか?


保乃:…それは…


保乃:そうすれば〇〇がウチのこと気にしてくれるかなって思たん…


〇〇:えっ…


保乃:保乃ずっと〇〇のことが好きやってん!やけど璃花ちゃんと話しとる〇〇を見て保乃には興味ないやて思た…


保乃:そやから寿退社ってことにすれば少しは〇〇も保乃のこと気にしてくれると思 て寿退社ってことにしたんや…


〇〇:保乃さん…


〇〇:僕だってずっと保乃さんのことが好きでした!


好きだった人からのまさかの告白に蓋をしていた想いが溢れ出す〇〇


〇〇:でも寿退社ってことだったので、自分の想いに蓋をしようと思っていたんです!


保乃:〇〇…


保乃:ウチら両想いやったんやな///


〇〇:みたいですね///


保乃:なら、保乃をほんまに寿退社させて欲しいな…///


〇〇:保乃さんそれって…


保乃:あかん?


頬を赤くし上目遣いで〇〇を見つめる保乃さん


〇〇:(それはズルいって…///)


〇〇:ダメじゃないです///


保乃:良かった…


保乃:じゃあ早速"これから"の話をしような!


この後すっかり元気を取り戻した保乃さんと数時間これからの2人での生活について話をした〇〇だった

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