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忘れ物を取りに戻ると担任の先生が制服を着て相合傘に僕の名前を書いていた

高校3年生になると多くの生徒が受験勉強という長い戦いにその身を投じる


かくいう〇〇も多くの生徒と同じく受験勉強に励んでいた


だが従来〇〇は熱心に勉強をするタイプではない


夏休みの宿題も最終日にまとめてやるタイプである


ではなぜそんな〇〇が勉強に励んでいるのか


それは…


田村:じゃあこの進路希望書は今週中に提出してな〜


目の前で書類を配布している担任の田村先生に恋をしているからだ


田村先生に一目惚れした〇〇は第一志望の大学に合格したら先生に告白すると決めていた


その目標を叶える為、〇〇は勉強を頑張っている


田村:じゃあ今日はこれで終いやから、みんな勉強頑張りや!


田村先生の一声でホームルームが終わり、生徒たちは各々帰宅の途につく


〇〇は放課後、学内の受験対策講座を受講している為、会場の別教室へと向かう


そして2時間後、講座を終え家へと帰る途中


〇〇:やば、自分の席に参考書忘れた…


参考書を忘れたことに気が付き慌てて教室へと戻る◯◯


〇〇:いや〜気が付いて良かった


そう言いながら教室の扉を開けると


田村:えっ…〇〇君…?


〇〇:えっ…田村先生…?


なんと誰もいないはずの教室にはなぜか制服姿で黒板に何かを書いている田村先生がいた


田村:〇〇君、こんな時間にどうしたん?


何事もなかったかのように話始める田村先生


本人は平静を装っているつもりなのだろうが声が震えている


〇〇:参考書を忘れてしまったので取りにきたんです


制服姿でいること等、ツッコミたいところは多いがとりあえず質問に答える〇〇


田村:そっか…参考書を取りにきたんや…


田村:もう夕方やから気ぃ付けて帰ってな…


このまま〇〇を帰らせたいのか、会話を切り上げようとする田村先生


だが


〇〇:(担任の先生が制服着てるのにそのまま帰る生徒はいないでしょ)


〇〇:…それよりもなんで先生は制服なんですか?


田村:…えっと…


〇〇にそう尋ねられ、黙り込んでしまう田村先生


田村:これは…


〇〇:(あともう一個気になることがあるんだよな)


〇〇:それと先生なんで黒板隠しているんですか?


田村:…


〇〇に質問責めされ、完全に黙ってしまう田村先生


〇〇:(質問しといてアレだけどなんか帰りづらいな…)


田村:…


こうして教室が沈黙に包まれること5分


黒板の前に立っていた田村先生が体勢を変えたことで少し黒板の字が〇〇からも見えるように


〇〇:(先生気が付いていないけど、黒板に何か書いてあるな)


田村先生に気が付かれないように黒板に書かれているものを確認する〇〇


〇〇:(えっ…嘘だろ…)


なんと黒板には〇〇の名前が書かれていた


〇〇:(なんで黒板に僕の名前が書かれているんだ?)


〇〇が驚いていると


田村:…もしかして黒板の字見えてもた?


〇〇の視線に気が付いたのか少し恥ずかしそうに黒板の字が見えたかを尋ねる田村先生


〇〇:自分の名前が書かれているのだけ見えました


〇〇が正直に答えると


田村:そっか…もう隠しきられへんよね…


諦めたのか黒板の前から〇〇の隣に移動する田村先生


〇〇が田村先生が隠していた箇所に目をやると


〇〇:えっ…?


なんとそこには相合傘とともに〇〇と田村先生の名前が書かれていた


〇〇:(なんで田村先生がこんなのを書いてるんだ?)


〇〇:田村先生…一体これはなんですか?


状況が全く飲み込めない〇〇が田村先生に質問をすると


田村:実はずっと〇〇君のことが好きやったんや…///


〇〇:田村先生が僕のことを…?


田村:うん…何事にも一生懸命な〇〇君のことを気ぃついたらずっと目で追っとったん


田村:初めは生徒の1人として気になっとるだけやと思 とったけど、〇〇君が他の女の子と話してんのを見ると胸がズキズキするようになったん


隠す必要がなくなったのか〇〇への思いが溢れ出す田村先生


田村:そん時に初めて気ぃ付いたん


田村:保乃、〇〇君のことが好きやって…///


〇〇:田村先生…


田村:そやけど生徒のことを惚れてまうなんて教師としてアカンと思て…ずっと我慢しててん…


田村:それでも我慢できなくてせめて見た目だけでも同じになりたくて制服を着てん


〇〇:だから制服を着ていたんですね


田村:そんならそのうちその気になって相合傘とか書いたらもしかしてこの恋も叶うかなって…


〇〇:それで相合傘を書いていたんですね


田村:そうやで…


田村:そやけど結局好きな人にそんなところを見られちゃったけど…


少し自嘲気味に笑う田村先生


田村:〇〇君も嫌やろ…担任から好意を抱かれて、しかも制服を着て相合傘に名前を書かれとるなんて…


そう話す田村先生の瞳から涙が流れ落ちる


田村:好きな人に見つかって目の前で泣くなんて…変な女やんな…


〇〇:そんなに自分のこと下げないでください…


〇〇:それじゃそんな先生のことを好きな僕だって"変な男"じゃないですか…


田村:えっ…


〇〇:僕もずっと田村先生のことが好きだんですよ?


田村:ほんまに?


〇〇:本当ですよ


〇〇:今、受験勉強を頑張っているのだって、第一志望の大学に合格したら田村先生に告白するって決めているからですもん


田村:〇〇君…


〇〇:田村先生


何かを決心し田村先生の方を向く〇〇


〇〇:僕は田村先生のことが好きです


〇〇:でも今は受験期間中だし、先生も言ったように"生徒"と"教師"の関係です


〇〇:でも必ず第一志望の大学に合格して、"1人の男"として先生のことを迎えに行きます


〇〇:なのでそれまで待っていてくれませんか?


田村:うん!もちろん!


大粒の涙を流しながらも満面の笑みで〇〇に微笑む田村先生


〇〇:可愛い顔が台無しなのでそんなに泣かないでくださいよ


そう言ってハンカチを差し出す〇〇


田村:可愛いって…あんまり年上の人を揶揄ってはあかんで///


〇〇:事実を言っただけです


田村:もう…


田村:ハンカチありがとうな


そう言って〇〇に近づく田村先生


次の瞬間


〇〇の唇が柔らかいものが触れる


〇〇:(えっ…まさか…)


田村:〇〇君、顔が真っ赤になっていんで?


〇〇:だっだって…///


田村:さっきのお返しやで?あんまり年上の人を揶揄わないように///


〇〇:(そうなこと言っている田村先生だって顔真っ赤じゃん…)


田村:じゃあ保乃はぼちぼち職員室に戻るね


〇〇:はい


田村:保乃…待っとるから…勉強頑張りや///


そう言って田村先生は教室を出て行った


〇〇:田村先生と両想いか…


〇〇:これはますます勉強頑張らなきゃ!


こうして決意を新たに家へと帰る〇〇であった

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