「オタクを始めてみたい・最近オタ活に疲れてきたな」というあなたへ ~シャーロック・ホームズのすすめ~
シャーロック・ホームズ
名前は聞いたことあるけど、読んだことないし、なんだか難しそう。
そう思っている人はたくさんいるのではないだろうか。もしかしたら、今この記事を読んでくれているあなたもそのうちの一人かもしれない。
しかし、シャーロック・ホームズ作品の敷居は意外と高くない。個人的には、アイドルなどを追いかけるよりも簡単だと思っている。
そこでこの記事では、シャーロック・ホームズ(シリーズ)の基本的な情報とシャーロック・ホームズを推しやすさを、小学校4年生頃から今に至るまでずっと推してきたシャーロキアン(シャーロック・ホームズのファン)の端くれであるこの私が紹介したいと思う。
オタクっぽいことしてみたいけど、他の人みたいにコンテンツを追えるか心配という人から、単純にシャーロック・ホームズに興味のあるという人まで、すべての人にとってこの記事は必見である。
シャーロック・ホームズの基本情報
まず初めに、シャーロック・ホームズという名前を知っているだけという人もある程度世界観がつかめるように基本情報を書き出してみる。
・シャーロック・ホームズとは、アーサー・コナン・ドイルによって書かれ たシャーロック・ホームズシリーズの主人公であり、架空の探偵である。ジョン・H・ワトスンと一つ屋根の下で暮らしている。
・作品数としては、全60編。そのうち長編が4編、短編が56編である。
・シャーロック・ホームズ界隈では、「正典」という言葉がよく使われる。これは、先ほど紹介したコナン・ドイル以外にも、全く別の人物がシャーロック・ホームズ関連の作品をパロディなどとして出版しているので、それらと原作を区別するために使われている。
・紙媒体以外にも、シャーロック・ホームズに関連したドラマや映画、舞台が数えきれないほどあり、たくさんの俳優に演じられた架空の人物の一人だとされている。
・映像化された作品で有名なのはグラナダ版、そして日本でもブームを引き起こした、BBCによって製作されたSHERLOCKが挙げられるだろう。
どちらかというと、シリーズ自体の紹介となってしまったが、なにせ60編もあるため、基本情報だけでも一つ記事が書けてしまうのだ。それは目的が違くなってしまうので、今回はここまでとする。細かい人物像に関しては、Wikipediaを参照すれば十分であろう。
なぜシャーロック・ホームズは推しやすいのか ~最高のヒューマンドラマ~
初めに、多くの人がシャーロック・ホームズに対してとっつきにくいと感じている理由の一つが、シャーロック・ホームズシリーズが推理小説だからだろう。
もちろん、シャーロック・ホームズシリーズのメインジャンルは推理だが、多くの人が想像する以上に、シャーロック・ホームズシリーズにはヒューマンドラマが盛り込まれている。熱狂的にハマっている人はむしろ、推理自体より、このヒューマンドラマに魅せられている人の方が多い印象がある。
まず、バディものである時点でヒューマンドラマの匂いがプンプンすると思う。正解である。本当に二人の関係性は、一本の論文が書けるほど面白く、素晴らしい。また、他の主要キャラクターとの関係性やシャーロック・ホームズ自身の家族関係など、一見冷酷に見られがちな彼もやはり一人の人間であることを強く感じさせてくれる。
やはり、特にワトスン医師との会話のやり取りは一級品だ。基本的にシャーロック・ホームズシリーズはワトスン医師の目線で描かれているので、気難しそうなシャーロク・ホームズをワトスンの目線を通して、徐々に知っていくのは本当に心躍る楽しい時間だ。
結論的に、推理小説という言葉におびえる必要は全くない。そもそも、シャーロック・ホームズは理論的な推理をするので、そこまで理解に苦しむことはない。時々、つじつまが合わないときもあるが、当時作者はもうシャーロック・ホームズシリーズを書きたくなくて、投げやり半分で書いていた節があるので、そういうことがあって当たり前なのである。
なぜシャーロック・ホームズは推しやすいのか ~コンテンツの永続性~
この永続性という難解なトピック、もうすでに何かのオタクをしている人ならなおさら共感してもらえると思う。
普通、大体のコンテンツには終わりが来る。
アニメ、アイドル、俳優、漫画......、
しかしシャーロック・ホームズにはもうそれがない。
大体にして、もう原作の連載は終了している。これに関しては、私たちが悲しまなくて良いだけで、リアルタイムで連載を読んでいた人にとっては大きなショックだったであろうことが容易に想像できる。
正典オタクであるのなら、もう連載終了だとか、活動終了だとかの心配をしなくてもいい。この世の中から、推しが消えてしまう、亡くなってしまうという心配を一切しなくてもいいのだ。
そして、シャーロック・ホームズ界隈で一番いいのは、パロディや映像化された作品が一生使っても把握しきれないほど世の中に存在し、しかも新しいものが日々コンスタントに作り続けられているという点だ。元々はイギリスが舞台の作品だが、今やシャーロック・ホームズは世界中に存在している。
皆さんは、ジブリ作品で有名なあの宮崎駿監督が、「名探偵ホームズ」というアニメーションにかかわったことがあるのはご存じだろうか。本を読むのは苦手という人も、このようにアニメからだったら、最初の一歩を踏み出しやすいのではないだろうか。
あなたも正典だけでなく、自分のお気に入りのシャーロック・ホームズを探してみると面白いと思う。
なぜシャーロック・ホームズは推しやすいのか ~精神の安定~
今私は、他の膨大な数の推したちと同時に、あるアイドルを好きで推しているのだが、心配事が多すぎるのだ。
アイドルを推すのはとても楽しい。だけど、やはり相手は現在進行形の現実の人間であるため、心配になる場面が時々ある。少しのことでアンチにたたかれてしまったり、働きすぎで体調面が気にかかったり、事務所の方向性がイマイチよくわからなくて困惑したりと、本当に心配事が絶えない。
しかし、シャーロック・ホームズにはそれがない。アンチだって今更なことだし、炎上なんて本当に皆無だ。パロディの作品に対しての批判は見かけるが、正典に関しては一番の「炎上」は私たちが生まれるもっと昔に終わってしまっているので、もうそのことを気にかける必要はない。最近は、もはやその炎上はネタ化されている。
(一番の炎上に関しては、ネタバレも含む可能性があるので伏せておくが、ネットでそれらしいことを調べればすぐにわかると思う)
推し関連の心配事がないというのは、オタクにとって最高の精神安定剤だと個人的に思っているため、この点は他のオタクをしている人にも、オタク初心者の人にとっても、ポイントが高いのではないだろうか。
なぜシャーロック・ホームズは推しやすいのか ~コミュニティの広さと頑丈さ~
前述したとおり、シャーロック・ホームズ作品にはパロディが山ほどある。そのため、コミュニティが世界規模で、びっくりするほど広い。過去には、シャーロック・ホームズ関連で日本の反対側である南アメリアのファンの方とメッセージを交わしたこともある。
また、作品によってコミュニティが枝分かれしているため、混乱することも少ないだろう。そしてやはり、SNSにいるシャーロック・ホームズ関連のファンの人たちは他の界隈より年齢層が高い印象があるため、それぞれが自分のペースで推し事をしている傾向が高い。
そして何よりも重要なことは、古参、新規の概念が薄いことだ。今の21世紀で私たちが、古参新規争いなんてものでもしたら、連載当初から読んでいた19世紀の人に笑われてしまうに決まっている。また、本場イギリスにはシャーロック・ホームズ協会なるものが存在し、きちんと会長もいる。一度テレビの取材で彼のお家を拝見したが、他のファンがひれ伏すほどの本やグッズで家は満たされていて、本当にシャーロック・ホームズ愛にあふれている方だった。こんな状況の中で、ファンの中で誰が一番えらいそんなこと言っていられないので、シャーロック・ホームズ界隈はすごく安心できる。
またコミュニティが広いと言いつつも、作品を十分に楽しむために他人との交流を必ず持たなければいけないというわけでも、公式からの供給を待たなければいけないというわけでもないという点も非常に良い。すなわち、追う量を自分で調整できるのだ。
最後に
これまで、4つの点に絞って、シャーロック・ホームズの推しやすさを語ってきたが、いかかだっただろうか。少しでも、シャーロック・ホームズないしはシャーロック・ホームズ界隈の良さが伝わったのであれば私はこの上なく嬉しい。
もちろん、このシャーロック・ホームズ界隈にも細かい論争はまだある。キャラクターの名前の呼び方であるとか、パロディに対しての寛容性だとか、派閥が分かれているものまであるので、そこに足を気軽に突っ込むことはお勧めしない。しかし、そうしない限りはとても穏やかなオタク生活が送れると思う。実際に私がそうだ。シャーロック・ホームズシリーズはいつまでも私にとって実家であり、安心できる場所である。他の界隈で少し疲れたときは、221Bのドアをたたく。そうすると、見慣れた顔が出迎えて、おかえりと言ってくれる気がするのだ。
本当に最後に、シャーロック・ホームズの生みの親、サー・アーサー・コナン・ドイルと、ここまで読んでくれたあなたに深い感謝を伝えて、この記事を締める。