すしゃみ
『すしゃみ』 チャーリーホッパー
明転。
男、1人。立っている。
(誰かが何かを注文したようだ。リアクション)
男「喜んで!」
(男、少しずつ、無言で喜んでいく)
黒子、喜んでいる男に、黒子歩きでスススと近づく。
男、突然、くしゃみをする。
黒子、寿司を男の口から出す。
男、寿司を手に取り、
男「マグロか。」
寿司を地面にそっと置く。
男、鼻を江戸っ子のようにこする。
すると、また、くしゃみをする。
黒子、寿司を男の口から出す。
男、寿司を手に取り、
男「サーモンか。今日は調子がいいな」
寿司を地面にそっと置く。
暗転
タイトル「すしゃみ」の文字が、ドーンという音と共に映し出される。
明転
男、くしゃみを連発する。寿司がどんどん出てくる。
間
(プロフェッショナルの流儀カメラクルーに向かって話しだすていで無骨にカッコつけて)
男「俺は、包丁握らないし。握りたくないんです。握れば切ってしまうでしょう?
ええ。ある日、突然、出るようになりましてね。で、試しに食べてみたら、これが、美味くて。新鮮でね。だから、いっちょ、やってみっかって、お店を始めたんです。そしたらもう繁盛しちゃって。
はい。基本、メニューは、おまかせ、でやってます。俺も何が出てくるかわからないんで。
あ、ねらって出せないんだって、思いました?シャリしか出てこない時もありますよ。
人間味ってやつですかね。値段は5万円でやらせてもらってます。あ、(しゃっくりする)」
黒子、変なものを男の口から出す。
男、呆然とその変なものの前で立ち尽くす。
(プロフェッショナルの流儀のポーンという音)
テロップ「彼も初めてのようだ」
その後、男、しゃっくりを3回する。
(プロフェッショナルの流儀のポーンという音が、連続で3回、しゃっくりと同じタイミングで鳴る)ポーン、ポポーン、ポポポーンみたいな音で。
黒子、変なものを3回男の口から出す。変なものの度合いは3段階でエスカレートしていく。
男「、、、なんだろ。これ。こぇぇな。ちょっと、すみません」
男、変なものを持ち上げて、しげしげと見た後、恐る恐る食べてみる。味わう。
(プロフェッショナルの流儀のポーンという音。その後、ポポポポポポポポポーンみたいに、ポーンが音楽みたいになる)
その音楽に合わせて、男の表情がどんどん変わっていく。その表情から、美味いかどうかはまったく読み取れない。
テロップ、フェードイン「あなたにとって、寿司とは?」
男「、、、すしー?」
スガシカオ「プログレス」風のオルゴール風の音楽がフェードイン。薄く流れる中、
男、飛び散った寿司と変なものを木の台に乗せる、黒子も手伝う。
男、黒子に「ありがとう」と言う。
男、黒子に、小銭を渡して、「お茶でも飲んで」
男、寿司などが乗った木の台を持ち、ポーズをとって、
男「へいお待ち!」ドーン!
揺れながら、鼻を江戸っ子撫でする。
スススと黒子が隣に来て、
黒子も揺れながら、なぜか、鼻を江戸っ子撫でし、「へいお待ち!」と、
黒子なのにセリフを言う。ドーン!
暗転。
テロップ「おすしまい」ドーン!
テロップ「すしゃみ」ドーン!
テロップ「ドーン!」ドーン!