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通勤電車の人々
毎朝ほぼ同じ時間に家を出て同じ電車に乗り、同じ駅で同じ電車に乗り換えて、同じような時刻に職場に着く生活を続けていると、同じ駅や同じ電車で必ず見かける人が何人かいることに気が付く。
自分が乗る位置も殆ど決まっているし、電車の中の座る場所もほぼ一緒。その限られた条件の中でかなりの確率で見かける人がいる。その人々はほぼ自分と同じような朝の通勤勤生活を送っていることになる。
もちろん、その人達に話しかけることなどほぼあり得ないのだが、ある意味では人生の何パーセントかをその人達と同じ環境で同じ時間を共有している訳である。名前もどういう職業でどういう家族を持つ人なのかもまるで分からぬが、その人がどこで電車に乗ってどこで降りたりとかこういう季節はこんな服装だったとかを知っている。もしどこか通勤環境以外で偶然あったとしたら、間違って旧来からの知己であるかのように挨拶をしてしまいそうになるかも(なんてことはないか。)
もし、私が小説家や漫画家だったならすれ違うこれらの人々を見ていくつかの物語を編み出すことが出来るのだろう。残念乍らそういう才能は持ち合わせていない。時々、頭の中で勝手なあだ名を付けたり、勝手な職業をでっちあげたりするのが関の山である。勿論、それが普通のことなのであるが。
何年かしてこの通勤生活を終える日にドラマのように人々に話しかけ、最後の日の挨拶をしたりしてみるか。なーんてことも先ずあり得ないが。