ライトロード新規は何が強いのか
初めましての方は初めまして、キャベツです。ライロ新規で地中から這い出てきました。
今回は、先日のOCGタイムズで発表されたライトロードの新規カードについて、何がどう強いのか、既存のライトロードのどんな問題を解消するのかを解説していきます。
ライロ的には非常に強力かつ革命的な新規であり、私はかなりやれるのではないかと思っています。是非最後まで読んでいってください。
全文無料です。
ライトロードの現状
現代ライロの基礎はこちらのnoteを参照してください。
2023/10制限のライロは、正直デッキとしては死んでいると個人的には思っています。
というのも、2023/09改訂がライロにとってあまりにも厳しいものだったからです。
2023/09で禁止された
古尖兵ケルベク
古衛兵アギド
混沌魔龍 カオス・ルーラー
No.86 H-C ロンゴミアント
はいずれも改訂前のライロの主力カードでした。ケルベク、アギドはエンジン、ルーラーは展開の要、ロンゴミアントは低コストかつ強力な着地点だったため、結果的にライトロードというデッキの安定感・展開力・妨害貫通力が大きく低下した形になります。
改訂後もホルスギミックで真血公を作ったり、アムリターラからペルレイノ→シェイレーン、ティアクシャで墓地を肥やしたり、月光ギミックでカグツチを出したりと模索はされていたようですが、結局は改訂による純粋な弱体化を克服できず燻っていた印象です。
現状の問題点
墓地が肥やせない
これがいちばんの大問題です。主戦術であるルミナスループを行うにはまず墓地の条件を整える必要があるのですが、そもそもアギド、ケルベク、ルーラー等墓地を肥やせるカードが削られすぎました。
今まで採用の少なかった真血公やキュリオスを入れることである程度カバーできますが、出しやすさ、発動のしやすさが違いすぎる上に肥やす枚数も少ないため代用とするのはかなり厳しいです。
セイントミネルバやダンテなどでちまちま肥やしてみたもののトップが下振れて何も起きずルミナスループにも辿り着けない、といった事故がしばしば起こるようになったため、デッキコンセプト自体にかなり無理が出てきました。
展開力・妨害貫通力が低い
いままでは、援軍でアギド、ケルベクが落ちたら実質誘発貫通でしたし、展開はルーラーさえ通せばなんとかなっていましたが、今はそういったデッキの爆発力となるカードが規制されてしまったため、かなり出力が落ちてしまいました。一応回ることには回るんですが、少ない妨害でも簡単に沈むようになったイメージです。
極端な言い方をすれば、ライトロードは動きが通れば勝ち、通らなければ負けのデッキなので、後攻はともかく先攻での相手の妨害(手札誘発)は前提として乗り越えなければならないのですが、それすら危うい以上トーナメント環境でのデッキの選択肢には中々入りにくかった印象です。
新規の影響〜単体性能編〜
以上を踏まえた上で今回の新規について語っていきます。
結論から言えば、今回の新規ライトロードは上記の問題の大部分を解決しつつ、いままであまり活かせていなかった「純ライトロードの強み」まで的確に引き出す革命的なカード群でした。
真面目な話、KONAMIのライロに対する理解度が半端じゃないです。昔ながらの裁き軸ではない、現代のトーナメント環境で使われていたライトロードを知らないとまずこの新規は出てきません。
さっそく一枚ずつカードを見ていきましょう。
今回もらった新規は以下の5枚です。
光道の龍
ライトロード・デーモン ヴァイス
ライトロード・アテナ ミネルバ
神光の龍
ライトロード・アイギス
光道の龍(ドラグーン・オブ・ライトロード)
ちび裁き。最強新規です。名称、ステータス、効果全てが褒めるところしかありません。
まず名称ですが、裁きの派生かと思いきやしっかりライトロード名称を持っているのが良いです。後の章で書きますが、これは援軍、ソラエクに対応していること以上の意味があります。
また、レベル4、光属性・ドラゴン族、1500/1300の攻守というステータスもやはり優秀です。
レベル4:ライロは4Xと8Sを多様する4軸デッキとしての性質があり、下級をできる限り4で揃えたいため都合がいい
光属性・ドラゴン族:場に出やすい他の光属性と被らず、キュリオスの素材になりやすい
1500/1300の攻守:裁きの半分というエモいフレーバーを持ちつつ、リンクライナのサーチに対応している。ライロはセレーネを使う関係で大抵リンク霊使いを1種以上採用しており、新規後はその枠がほぼ確実にリンクライナになるため噛み合っている
このステータスの都合の良さは次に紹介する新規のヴァイスでも全く共通しているので、KONAMIの配慮をひしひしと感じます。
あとこれは小ネタですが、メイデンミネルバの召喚時効果で現実的にサーチできる強力なモンスターでもあります。サンサーラやワイバーは正直サーチする気になれませんでしたが、こいつのためならメイデンに召喚権を割くのもいいかもしれません。
次に効果を見ていきます。
(1)は墓地にライロモンスターがいる場合に手札からSSできる効果です。もうこれを読んだ時点でライロ使用者なら涙腺が緩むのではないでしょうか。
自己SS効果持ちのライトロードは、ライロ使いが長らく求めていたものでした。
とにかく召喚権を消費しない援軍のサーチ先が欲しくて、個人的には来てもバリキテリウムくらいの強さが良いところかと思っていたのですが、蓋を開けるとまさにサーキュラー並みの新規が来て大変驚いています。
また、この効果はソーラーエクスチェンジへの妨害の受けとして非常に優秀です。
未界域混合などもメジャーだった今までのライロは、ソラエクへのうらら等が非常に重く、人によってはうらら受けの悪さを嫌ってソラエクを抜いたりもしていました。
しかしこのちび裁きの(1)があれば、ソラエクへの妨害後に墓地にライロが置かれることから、(1)でSSしたのち後述の(2)でフェリス等を落として確定展開から4Xや8Sに繋げられます。援軍と合わせて6枚入ることを考えれば、天に祈りを捧げつつソラエクを打つ場面はかなり少なくなると思われます。
(2)は自身のSS時にデッキからライトロードカードを墓地に落とす効果です。
ライロはデッキトップからカードを墓地に送る効果が特徴でしたが、新規ではこのような確定墓地肥やし効果を持つカードが何枚か追加されました。
ライロでの簡単に使えるおろまい効果はあまりに強いです。単純にウォルフ、フェリスや次に紹介する新規のヴァイスを落として次の展開に繋げてもいいですし、ルミナスループの足りないパーツを落とすことも勿論可能です。更に、新規後のキーカードとなり得るライトロード・ウォリアー ガロスも落とす候補になります。
また、この効果は地味にライトロードカード指定なので(実は珍しい)、今回の新規のアイギスを落として罠を構える動きもできます。
(3)は墓地に送られた場合に裁き、または戒めをサーチできる効果です。
現代ライロに触れたことのある方だとこの裁きサポートはぱっと見微妙に映るかもしれませんが、ルミナスループ軸の現代ライロ視点でも実はちゃんと壊れています。
まず、発動条件に何故か「デッキから」の文字がありません。墓地に送られれば、S素材でもX素材でも発動します。これは取り回しがいいのは勿論のこと、このモンスターをS素材等に混ぜればコラプワイバーでお馴染みのうららケアができることを意味しています。
ライトロードの裁きが草葉の陰で泣いていますね。
またサーチ自体も、裁きに「愛」ではない現代基準でも十分に合理的な採用理由を与えてくれています。
裁きの龍はかつてライトロードの代名詞とも言えるエースモンスターでしたが、現代基準では素引き前提(サルベージのギミックも一般的ですが)かつ厳し目のSS条件から1T目の先攻展開に参加しにくい点でお荷物になりがちであり、ガチ環境での採用は基本的に無くなっていました。
しかし、このちび裁きの登場により展開中にそれなりの再現性でハンドに抱えられるようになり、かつメインデッキのライロモンスターの数、種類が増えたことでSSもかなりしやすくなったことから、裁きを先攻展開に参画させるプランが現実的に取れるようになりました。具体的には新規のアテナミネルバと合わせた8X(真血公)や他の光属性と合わせたキュリオスが強いと思います。
今まで後攻でしか役割がなく、その後攻ですらEXからより強力なモンスターを出した方が早かった裁きの龍ですが、うららケア札かつ先攻展開の優秀な素材として扱えるようになったことでガチ基準でも十分に採用する理由が生まれたわけです。
以上が所見です。このカードだけでも、現状のライトロードの課題だった展開力・貫通力の改善に大きく寄与しています。
ライトロード・デーモン ヴァイス
手札からSSしつつ墓地を肥やせるレベル4チューナー欲しいな〜。
来ました。KONAMI、俺のTwitter見てる? これの②の要素もありますね。
名称、ステータスはちび裁きと同様の理由で優秀です。更にヴァイスはチューナーでもあるので、8Sに大きく寄与できます。
ちなみに「デーモン」名称なので、一応はトリックデーモンのサーチ先にもなります。
次に効果を見ていきます。
(1)は、ハンドのライロカード1枚をデッキトップに戻して発動し、自身をSSしたのちデッキトップを2枚墓地に送る効果です。
ちび裁きの項でも述べたとおり、手札からの自己SSがまず強いです。何枚あっても良いのでどんどん刷ってください。
効果の内容は露骨にウォルフとフェリスの手札事故を解消しにきています。墓地肥やし自体は実質的に1枚でありバリューは低いものの、展開への寄与は大きく、ウォルフ、フェリスと合わせ引きしていれば召喚権を使わず8Sや4Xに繋げられます。
こう書くとウォルフ、フェリスとの合わせ引きが前提の事故要因札とも取れますが、ちび裁きと合わせても裁きサーチでハンドの消費を抑えられますし、ヴァイス重ね引きでも墓地のライロを蘇生しつつ展開できます。最悪他のライロカードをコストにしても、自己SSというだけで既に現状のライロだと十分に採用できる水準のバリューが出せます。
ただし、気をつけるべきはヴァイスにうららを喰らった場合にデッキトップが固定される点です。ヴァイスで置いた札が引き込みたい札である場合はあまりないため、この効果により未界域や三戦等のライロでメジャーなドロソの価値が下がってしまいます。
一方でデッキトップ固定はメリットにもなりえます。たとえばヴァイス + ウォルフのセットと一緒にシャーマンルミナスやライデンを引いた場合は、シャーマン召喚からヴァイスを使ったり、ヴァイスを使ってからライデン召喚、効果とすれば、うららを喰らった場合にデッキトップに固定されるウォルフを落とせるため手札のウォルフの吐き出しに成功します。
(2)はデッキから墓地に落ちると墓地のライロモンスターを蘇生する効果です。
ライトロードは場に出せれば強いけれども召喚権を要求するモンスターが多いため、召喚権を消費せずにそれらを展開できるこの効果は単純な死者蘇生という以上に従来のライロと噛み合っています。新規後のライトロードに最強上振れカードであるガロスを採用する余地ができたのも、この効果に因るところが大きいと思います。ウォルフのようにコスト、効果に関わらずデッキから落ちるだけで使えるので発動も簡単です。
このヴァイスというカードも、ちび裁きと同様に展開力・貫通力を大幅に補ってくれています。
ライトロード・アテナ ミネルバ
明らかにライトロードに専用のカオスルーラーを渡す意図で作られたカードです。このカードは、現代ライトロードにおけるルーラーの重要な役割をほぼ全て引き継ぎつつ新たな価値まで付加されており、まさにライトロード使いの願い、というか欲望が具現化した一枚となっています。
まず名称・ステータスで特筆すべき点は、ルーラーと同様の8Sで、素材の縛りもないことでしょう。このおかげで従来の4軸の構築と自然にフィットしますし、後述するレボリューションシンクロンを絡めた展開にも対応します。
次に効果を見ていきます。ライロにおけるルーラーの役割が
墓地を肥やす(手数の増強・ルミナスループのパーツの探索)
ハンドを増やす
リンク値を伸ばす
ルミナスループのために除外ゾーンにライロを用意する
等であることに留意しながら読んでください。
(1)は、S素材としたライロモンスターの数まで、ライロモンスターをデッキから墓地へ落とす効果です。同種族は一体までという制約があるため、共に獣戦士のウォルフ、フェリスを一緒に落としたりはできない感じです。
上振れだとちび裁き一体やヴァイス+ウォルフ、下振れでもウォルフ+ライデン等でライロ2素材から作れるので、2体は割と気軽に落とせます。ウォルフ or フェリス + ヴァイスを落とせば場に二体生き物が増えますし、ルミナスループのパーツをピンポイントで落として準備を行うことも可能です。ヴァイス+ライロモンスターで任意のライロモンスターをデッキから実質的にリクルートする動きもできます。一人回しをしていると、この方法でガロスを出す場面がそこそこありました。
勿論1素材で1枚落としでも、墓地の状況を見てウォルフやヴァイス、ルミナスなどを落とし分ける動きは普通に強いです。ルーラーの役割のうち、墓地肥やしによる手数の増強やパーツの探索を担っていますね。ハンドは増えないけれど絶対に当たるルーラーという感覚です。
また、先ほど触れたレボシン展開により、レボリューションシンクロン + 任意の光属性レベル4非チューナーからこの(1)の1素材効果を使用できます。
ここに来て、裁きと同様に長らくトーナメント環境での採用がなかったアークミカエルにまでスポットライトが当たりました。KONAMIがレボシンのこの動きを見落としているとは思えないので、ライロへの愛にただただ脱帽します。
(2)はフィールドのライロモンスターを効果による除外から守る効果です。これは後で紹介する裁き+戒めの融合体の効果が意識されています。
融合体を採用しない限り目立たない効果だと思いますが、除外による除去は現環境でも普通に存在しているため地味に役立つ場面はありそうです。
(3)は墓地のライロを4枚まで除外し、除外した数だけデッキトップを墓地に送る効果です。4枚なのは戒めの龍意識でしょう。
これは墓地肥やしとルミナスループのために除外にライトロード名称を用意するというルーラーの二つの役割を担っています。実は後者はルーラー禁止後地味に頭を悩ませていた点であり、シラユキが落ちなかった場合のためにリトルナイトなども採用していたのですが、この(3)はルーラーのように自然に展開を広げる中で除外にライロ名称を用意できるため、真にルーラーの代わりと言える効果となっています。
更に(3)が起動効果である点も見逃せません。枚数が最大4枚と多く、現実的な範囲で狙った動きを期待できる墓地肥やしを任意のタイミングで打てるのは大きな強みです。ライロは基本的にパチンコではありますが、使用者はデッキ内のカードの枚数を把握して確率的に強い動きをするので、この効果の取り回しが良いことは言うまでもありません。
また、起動効果であることにより、トワイライトロードやガロスのような、他のライロモンスターの効果に連鎖して自身も墓地を肥やせるモンスターを(1)で場に用意してから、この(3)でその効果を誘発するという小回りも効きます。
ガロスとの噛み合いに言及するなら、(1)(3)の二つの肥やし効果を持っていることも重要ですね。ガロスキュリオスと似たような動きがガロスとアテナミネルバでも実現できます。
「墓地を肥やす8S」という見た目以上にこのカードがカオスルーラーであることが以上で分かっていただけたと思います。リンク値は伸びませんが、その分ガロスとの合わせ技のようなルーラーにはない強みもありますし、そもそも向こうはゲームバランスを崩すと判断された禁止カードですから比べるのは酷です。
カオスルーラーの後釜としてこれ以上ない新規を貰えたことは疑う余地もありません。勿論現状のライトロードの課題の全てを大きく改善してくれています。
神光の龍(エンライトメント・ドラグーン)
裁き+戒めの融合です。てっきりアストラウド形式かと思っていましたが、場と墓地に一体ずつ必要らしいです。
(1)はフリチェの場と墓地全除外という豪快な効果です。アテナミネルバの(2)と合わせて自陣のみ除外から守る構えが想定されているのでしょう。
まあ悪くない効果ではありますが、墓地デッキなのに自分の墓地リソースまで吹き飛ぶのは正直中々にリスキーです。先攻展開で妨害として構えるよりかは後攻の突破口を開く役割として運用する方が強そうです。
恐らく運用上は場の裁きが素材になりがちであり、だったら裁きをブッパすれば良いじゃんという気分にもなりますが、裁きと違ってアテナミネルバさえ横にいれば展開途中であってもぶっ放せるため、裁きからさらに神光まで繋げる動きにも一応意味は出そうです。
(2)はエンドフェイズ墓地肥やし。使いません。
(3)は自身が破壊されると裁きと戒めが場に湧く効果です。戒めはフリチェの墓地・除外メタ効果を持つため、神光を処理しても追加の妨害が湧くこの効果は意外と厄介だと思います。基本的にはアテナミネルバと併用されると思うので、破壊以外の突破が難しいのもミソです。
個人的には召喚条件の難しさと効果のリスクがネックであまり使われないと思っています。完全墓地融合だったら採用したと思いますが流石に許されませんでしたね。
ただ、このカードによって純ライトロードがようやく再現性のあるまともな先攻盤面を作れるようになったことは評価したいと思います。今までの純ライトロードにも一応は妨害が存在したんですが、どれも素引き前提罠や相手依存のリバースなどで再現性がイマイチでした。しかし、今回の新規によりアテナミネルバ + 神光 + アイギス(次に紹介する新規)程度にはテーマで妨害を構えられるようになり、かなりマシになった感触があります。
自分はカジュアル寄りのライトロードも結構好きなので、フリー対戦などでは積極的に使っていきたい1枚です。
ライトロード・アイギス
やはりKONAMIは俺のTwitterを見ているのか……?
(1)は自陣のライロモンスターの数だけ対象にとれるアビス効果で、(2)は墓地から自身を釣り上げる効果です。
このカードは制圧型のライロにおいて非常に優秀な新規となっています。
現代ライロには大きく分けてワンキル型と制圧型の二種類が存在しますが、どちらも展開の要求値がほぼ変わらないことから、結界波のような変な捲り札を喰らうよりワンキルしてしまったほうがいいよねという思想のもとワンキル型がマジョリティとなっていました。
しかしこのアイギスというカードは、ほぼ無料で構えられて、かつ今までの制圧型の課題であった冥王結界波や拮抗等の雑な捲り札を止められる擬似的な万能無効であるため、ワンキルのためのゴミが必要ない制圧型の評価はかなり上がったと言えます。
まとめ
特に最初に紹介した
光道の龍
ライトロード・デーモン ヴァイス
ライトロード・アテナ ミネルバ
の3枚は、単体性能のみを見ても現在のライトロードが抱える問題への的確な処方箋となっており、かなりの改善が期待できると見て良いと思います。
今までのライトロードは、エンドフェイズ墓地肥やしという呪縛に縛られ、継続的に出ていた新規も基本的には複数ターンを跨いで戦うことを想定したカードデザインになっていました。現代ライロは、そのようなカード群の中に紛れ込んでいる、爆発的な展開力のポテンシャルを持つ一部のモンスターや魔法のみを掬い取り、外部ギミックを織り交ぜながら先攻ワンキル的な超高速デッキとして運用していました。
しかし今回の新規は、カードデザインの時点から現代ライロのデッキコンセプトに沿う「速さ」を与えられているように感じられます。これがただの12期パワーなのか、はたまた今のライロの戦い方をちゃんと考えてくれた結果なのかは不明ですが、個人的には後者な気がしています。
新規の影響〜シナジー編〜
単体性能から視点を引いて、今度はデッキ全体のシナジーに目を向けつつ新規の影響を見ていきます。
重要な影響は以下の三点です。
デッキのライトロード名称が増えた
ガロスが上振れ札として採用できるようになった
誘発の打ちどころがさらに難しくなった
デッキのライトロード名称が増えた
「デッキのライトロードモンスターを増やしたいけれど、強いライトロードモンスターがいない」というのはライロ使用者あるあるの悩みでした。
デッキ内のライロの枚数を増やすことはソラエクの事故防止やセイントミネルバ、ガロスのバリューの増加など「純ライトロード的な強み」を活かす上で大きなメリットがあるため、できる限り枚数を採用したい気持ちがあります。
しかし、今までのライトロードモンスターはぶっちゃけてしまえばライロデッキにおける一番の事故要因でした。先述した通りどのモンスターも召喚権を要求し、かつ序盤では展開に寄与しなかったりするため、初手に固まると全く動けないことも多々あります。つまり、事故率を下げるためにライロの枚数を仕方なく抑える必要があったわけです。
ところが、今回の新規により「自己SSできて」「効果も強い」ライトロードが自然にメインデッキへと6枚追加されるため、デッキの事故率や出力の基準を維持しつつライロの枚数を大幅に増やせるようになりました。結果、優れた単体性能によるデッキパワー向上への寄与のみならず、事故率を抑えるために抑制されていた「純ライトロードの強み」までしっかり引き出してくれました。
これからはウキウキでセイントミネルバ効果を打てます。
強いライトロード名称のモンスターが増えることは、そのモンスターの単体性能以上にライトロードデッキを強化してくれますね。
ガロスが採用できるようになった
ライトロード・ウォリアー ガロスは今までのライロだと、「出せれば強いけれど出す余裕が全くない」モンスターでした。
しかし、ヴァイスやドラグーンオブライトロードの項でも触れた通り、今回の新規でガロスが比較的簡単に場に出るようになり、なおかつトリガーとなるライロカードの種類と数も増えたため、ガロスのバリューが一気に跳ね上がりました。
これはTwitterでもバズっていましたね。カードショップでも既に価格の高騰が始まっているようです。
新規後のライトロードでは、上振れ展開としてガロスが立ち莫大なアドを稼いでいく様子がしばしば見られると思います。
ただ、回している感じだとまだ必須ではない上振れ札の範疇なので、デッキスロットが切羽詰まったりした場合はoutも普通にあり得るかなという印象です。
誘発の打ちどころがさらに難しくなった
ライロは元々その展開のランダム性から、相手視点では誘発や妨害の打ちどころがかなり難しいデッキでした。その難しさは、ライロを使い込んでいる人間ですら打ちどころが分からないと言い出すレベルです。
今回の新規は、そんな展開のランダム性をアイデンティティとするライロに、おろまい効果に基づいた確定展開の要素を持ち込みました。
一見するとこれは誘発の打ちどころを明確にする行為のように感じられます。しかし、重要なのはランダム性を持つ展開と確定展開の双方が一定の強度を保っていることです。
例えば今回の新規のアテナミネルバは、新規後のライロで泡を当てる最有力候補になると思われます。では、とりあえず確定展開の一端を担うアテナミネルバに泡を当てておけば良いのかと言えば、実のところそうとも言い切れません。横にガロスがいる場合、アテナミネルバを超えるアドを稼いでいく可能性は十分にありますし、そもそもアテナミネルバ前にそういったランダム展開の側で手数を増やされてしまった場合、アテナに泡をしても焼け石に水の状態になります。
ランダム展開側でバリューが高いデュガレスやセイントミネルバ、ソラエク、ガロスを止めた場合も、やはり確定展開側で強い動きを通されてしまう裏目が出てきます。
確定展開上、またはランダム展開上の大幅にアドを稼ぐカードに対する妨害が、展開全体においてその1妨害で最大リターンを得られる行為かどうかが非常に不明瞭になり、妨害をどこに打つかの判断が難しい、というのが新規後のライロの一つの強みになると思っています。
これは、ランダム展開側では援軍やソラエク、確定展開側では今回の新規という風に、双方でバグカードを擁しどちらでも強力な動きができる新規後のライトロードだからこそ生まれる性質です。
サンプル構築
現時点ではこんな感じの構築を考えています。
ライコウ:光道の龍
スノウ:ライトロード・デーモン ヴァイス
ルーラー:ライトロード・アテナ ミネルバ
です。
着地点にオームワンキルを採用
8Xギミック採用
レボシン採用
2枚目の8Sにアムリターラではなくディアボランティスを採用
戒め、神光非採用
あたりが特徴になると思います。これはあくまで自分好みのリストであり、特にレボシンあたりは採用が分かれる札なので、他の方があげているリストも是非探してみてください。
これ以外で見かけたプランや特徴的な採用カードについて列挙しつつ、軽く雑感も書いておきます。
ホルスギミック:8Xの支援として良さそう。採用する場合恐らくレボシンはout。また、ちび裁きのSS条件を考えるとホルスギミックのようにハンドを切れる展開要素はあった方がいい気がしている。ただ使い道に乏しい8が過剰供給されそうなので、他にハンドを切りつつ4軸展開できるギミックがあればそちらを採用したい。シェイレーンをペルレイノで増やすのは良さそう。テラフォは過剰か?
いろはもみじ採用:オームの弾に余裕を持たせたいならアリ。特にサイド後ロンギヌスでシャーマンルミナスの展開が使えなくなった時に活躍しそう。
ガンドラワンキル、ネクロフェイスLO、カタパワンキル:多分オームの方がゴミが少なかったり妨害に強かったりしそう。特にガンドラとカタパは、オームの「セレーネで蘇生できる」「リヴァイエールで除外から帰還できる」「NSできるレベル4魔法使い族」という強みに匹敵するメリットが必要になる。→ガンドラワンキルは出来ない裁定があるっぽい。元々の攻撃力が変動している場合でも、カード自体に書かれた攻撃力が参照されるとのこと。
赤き竜カラミティ:確定ルートでいけるのは強そう。多分誘発乗り越えつつ横にバロネス並べたりもできる。要求値は低そうだしカラミティで死なない対面が少なければ選択肢。ただ、メインギミックに据える想定なら他のカラミティ出せるデッキ使った方が強そう。メインギミックは他を採用し、こちらをサイド後ロンギヌスへのアンサーとする運用はアリ寄りと感じる。→禁止になりました。没。
トリシューラハンデス:新規後はメイデンミネルバがオームに相当するゴミではなくなったので評価アップ。ライロを理解している対面への耐性もオーム型より高そう。EXデッキ圧迫問題さえどうにかすれば選択肢として十分にアリ。
制圧型:制圧用のモンスターを入れる必要があるためEXが圧迫されるが、オームのように0か100かにはなりにくく、アイギスで結界波への耐性も得たため選択肢。ただ、やはり要求値がほぼ変わらないワンキル型との明確な差別化が課題。超融合のようなチェーンできない返し札も環境に存在するためただ無効を並べればいいわけではないのも難しい。
レボシン非採用:特に未界域が多めの構築などはハンドの消費が荒いレボシンと相性が悪い。また、ミカエルになれる相方は光属性限定なため、意識して構築しないとレボシンでアテナの(1)を使うのは意外と難しい。光4枠は幸魂やコラプワイバーが候補か。私は下振れを拾いたくて入れている。ミカエル->アテナ以外にも、ちび裁きのSS条件を満たせない初手の場合に、任意のレベル4からエンフェを作ってちび裁きをSSする動きができる。
カグツチ採用:あったら便利な場面もあるかもだけど、ぶっちゃけいらんでしょと思っている。なんで極端に騒がれているのか分からない。
芝刈り:新規や援軍ソラエクを引かないとただの新規前のライロなため60は弱そう(GS方面ならアリ)。45~50は無しではないが援軍で誘発を貫通していくイメージのためやはり厚いのは微妙に感じる。後攻サイドにはアリか。
トランザクションロールバック+魔妖不知火語:先攻限定の動きなのでメインから入るかは怪しいが先攻サイドにはアリ(やや過剰妨害感はある)。【トランザクション・ロールバック】のような、コピー用の罠を複数枚投入しつつロールバックをフルに活かす型のライロであればメインからの投入もアリ。
誘発採用:FTKだしGも突っ張ってLOさせる関係上、誘発をあまり強く使えないデッキなので、うららGあたりをメインから入れるのは微妙。未界域暗黒界と同じタイプ。誘発を入れるくらいなら個人的には三戦の才のような先後両方強く使える札を入れたい。後攻サイドでGを入れることは割とよくある。相手の先攻展開は基本的に手数で超えていく。身内戦ではあるが新規後ライロでRACEと戦ったところ、メイン戦で3戦中2戦後攻ワンキルができた。裂け目や御前割拠等の永続妨害には弱いものの、妨害が除去、単発無効系に寄っていたらそれなりに踏み越えられる。
追記:エアロシャーク型について(2024/09/02)
OCGでの研究により、ワンキルの新しいプランとしてエアロシャーク型が開発され、基本的にはこのプランが多く採用されているようです。
墓地を肥やしてシラユキで除外にモンスターを溜め、ムドラケルドウで使いまわしつつ8000バーンを出します。デッキにオーム相当のゴミが入らない点が偉いです。
また、無効系誘発や咎姫、R-ACE罠等対象に取る妨害への貫通札として半魔導帯域の採用も目立ちます。
再追記:DC銀アイコン獲得(2024/10/02)
MDの話ですが、72時間ガンスリンガー形式の大会であるデュエリストカップで世界100位に入ることができました。
環境基準でしっかり戦えることを証明できて良かったです。自分以外にも少なくとも二人トップ100に入っています。
終わりに
簡単にまとめようと思っていたのに、熱が入りすぎて気づけば10000文字を超えていました。それだけ色々と書くことのある本当に有能な新規でしたね。
環境でやれるかはまだ未知数ですが、少なくとも全く無理ということはなさそうな気がしています。誘発環境であることやサイドからの永続的な墓地メタが流行っていることは逆風ではあるものの、ライロの得意とする「妨害が主に除去系でリソースの厚さがウリ」という対面が環境に割と多いため、立ち位置はそこまで悪くないと思っています。
また、一応断っておきますが私自身は勝率のみ求めるならライロを使う意味はないという意見です。あくまで私が好きだから使っているだけであり、そのうえで大会環境でもたまに一発かませる程度のパワーはあると思うからこそガチ環境の文脈で紹介した次第です。デッキの作成にはコストがかかると思いますので、そのあたりを踏まえつつ考慮をお願いします。
おわり。