第7回毎月短歌 自由詠部門 結果発表

自由詠部門
本醸造酒賞(3席)
本名を誰も知らないもの同士ゲストハウスは常夏だった/くらたか湖春

「常夏」には、文字通り夏の思い出として機能していながら、夏という一過性の季節を象徴的に表現しているようでもある。名前など知らなくても、偶然に「ゲストハウス」に集まった者同士、楽しく仲の良い時間を過ごしたのだろう。眩しい。

自由詠部門
吟醸酒賞(2席)
黒板に新米教師が書き綴る英文右肩上がりに伸びて/宇井モナミ

「右肩上がり」というクセ字に、「新米教師」の前のめり気味な気合を感じた。しかも「伸びて」である。「右肩上がり」には、成長中という意味もある。主体は黒板に書かれた英文から、どこか新米教師を応援するような想いもあったのかもしれない。

自由詠部門
大吟醸酒賞(1席)
これもまた旅の思い出レジ横のキーホルダーを埃ごと買う/伊津見トシヤ

「埃ごと」に惹かれた。恐らくはあまり人に見向きもされないデザインなのだろう。長く売れ残った時間。それさえも主体は魅力に感じたのかもしれない。「旅」というのは、人の心を狂わせる。その心の動きを見事に描いている。

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