キャンサーのデスマスク考
noteを始めるにあたり、何を書こうかと思いましたが、まったく何も思い浮かばなかったので、とりあえず聖闘士星矢の話をしようかと思います。
大好きでしたね、聖闘士星矢。とはいえ、アニメ化される前は、魔法かなんかで戦う連中かと思って、まったく興味も持てず相手にもしませんでした。
だから、興味を持ちだしたのは、アニメ化以降と言う話になります。ええそうです、にわかでありますよ。
まあ、そんなことは兎も角、聖闘士星矢で一番好きなキャラ、蟹座の黄金聖闘士、キャンサーのデスマスクであります。
巷では、星座カーストやらで最下層、という扱い。品性下劣、利己主義、身も心も汚いオッサンと随分な言われようでありましたが、自分は初見において、これは!と思った次第。なんというか、活き活きとしている、というか、本人の意思、息吹、体臭が伝わってきそうな生命力を感じた次第であります。尤も、本人は他人の生命力を奪う側なんですけれども。
で、件のデスマスクス氏、やはり巷では黄金聖闘士最弱の誉れを欲しいままにしている次第でありますが、そんなに弱いでありますかね?デスマスク氏。
自分は、敵に居たらこれほど厄介で、面倒な相手はいないと思う次第であります。まず、デスマスクはシャカやサガのような文字通り人間やめたような強さを保有するかどうかは確かに疑問符が付きますが、あれは戦略核兵器のようなもの、あんなのを比較対象に持ち出す自体おかしいと思う次第。
ともあれ、大雑把に区分けするとすれば
殲滅型:双子、乙女
決戦型:雄羊、牡牛、獅子、蠍、山羊、水瓶、人馬、天秤
暗殺型:蟹、魚
といった認識。
ざっくり劇中のファイトスタイルからそう判断した訳ですが、まあ、雑兵が歩兵、青銅聖闘士が装甲車やヘリ、攻撃機、白銀聖闘士が戦車や戦闘機、戦艦といった、まあ通常兵器とすれば、まあ、黄金聖闘士は核兵器と呼んで差し支えないかと思う次第。
話がだいぶ横道にそれたので、デスマスク氏に話を戻すとして、件のデスマスク氏、それなりの実力者ではないかと思料される場面が散見されるわけであります。
まず、五老峰の 老師。天秤座の童虎でありますが、その暗殺の命を教皇直々に仰せつかっていると、それも単独で。老いたりとはいえ、前聖戦の生存者であり女神アテナより重大な使命を仰せつかっている重鎮。
そんな老師の実力を、狡猾さと聡明さを併せ持つ黒サガが見誤る道理はないかと。それを踏まえて、デスマスク氏を単独で五老峰に向かわせたと言う事は、氏の実力を評価した上でのことではないかと思料する次第。勿論、教皇≒黒サガにとって、動かしやすい手駒だったと言う事もあるでしょうけれど。
結果から言えば、暗殺は失敗に終わったわけですが、それの大きな要因は、牡羊座のムウが急遽支援に駆け付けたことによるもので、もし、ムウの臨場が無ければ、もしくは、遅れていたとすれば、あのまま戦闘を継続していれば、暗殺に成功したかは別として、老子も相当なダメージを負うことになるか、緊急手段として二百数十年前にアテナに施されたという、『MISOPETHA-MENOS』を解除せざるを得なかった可能性が無きにしも非ず。そうなれば、来るべき聖戦に向けた迎撃態勢の準備についてのアテナ陣営の段取りが色々と狂ったであろうことも考えられる次第。
あの時点で実は復活を目前に控えていた冥王ハーデスや、機会があれば復活も由としていた海皇ポセイドン陣営にも何らかの動きが加わった可能性があり、対冥王軍迎撃態勢と防衛要綱の見直しを迫られるであろうアテナ陣営としては好ましくない状況に見舞われ、大いに沙織お嬢様の頭を抱えさせる事態に陥る可能性があったのではないかと思料する次第。
まあ、このあたりは横道もいい所で、別の機会に喋らせてもらうとしても、失敗してよかったね、という事案でありました。話が冗長になりましたが、まず第一の根拠としては、重要人物の暗殺を一任されるだけの実力はあった。ということであります。
そして、次にあげるのが、デスマスク氏のファイトスタイルとそれに付随する能力。まず、デスマスク氏は、テレポーテーションやテレキネシスといった、いわゆる超能力と言われるスキルを持っているとみられること。五老峰からの撤退時に滝壺に向かって掻き消えるように去ったムーブや、12宮戦で、ギリシャからはるか中国にいる春麗を滝壺に放り込んだアレであります。
黄金聖闘士なら皆使えると考えたとしても、まんま地球の裏側から人ひとりに致命的なムーヴを与えるなどと、正直冗談ではない、と言った所であります。何が冗談ではないかと言えば、例えば、交差点や駅のホームで、まったくの不意打ちに必殺のタイミングで対象を突き飛ばし、迫る電車やトラックの餌食にする。
聖闘士や他陣営の闘士に対してはやや難しいものがあるかもしれませんが、国際社会の要人暗殺ならお菓子食べながらでもできそうな気がする次第。もしかすると、ダースベイダーのように念動力で首を絞めて窒息なんてのもあるやもしれません。
それはともかくとして、恐ろしいと申し上げたのは、他の黄金聖闘士も遺憾なく発揮出るが矜持的に使用は自重するであろう能力を、何の躊躇いもなく使えるその精神性の一点に尽きるでありますね。まあ、氏らしくありますけれど。
そして、最も恐ろしいと思えるのは、デスマスクが振るう技、積尸気冥界派。劇中では何やら鬼火だか人魂だかがふらふら飛んで絡みついてくるという、何やら胡乱な描写の上、あの世の入り口に掃除機のごとく吸い込もうと言う、緊迫感はあるものの随分と悠長な技として描かれておりました。
他の黄金聖闘士が、何やら光速で飛んでくる致命的な光の攻撃、と言う描写に比べれば、随分とまあ、ぼんやりしているにも程がある、と思われてもこれは仕方のない話。
しかしながら、他の黄金聖闘士が光速、もしくはそれに匹敵する破壊力で相手をぶん殴って致命的状況に陥らせるのに対し、問答無用で相手の魂を肉体から引っこ抜き、生命活動を停止させるという事の重大性は無視できないものと思料する次第であります。
いうなれば、ドラクエのザキ、ザラキ、ザラキーマのような即死魔法のようなものであり、これらの欠点と言えば成功率が低いことくらい。あいや、これはこれで重大な欠陥と言えなくもないのでありますけれど。
とにかく、喰らえば間違いなく死。抵抗する術を持たなければ、殺意を向けられただけではいそれまでよと言う厄介さと恐ろしさ。いや、デスマスクは格下や不意打ちでしか成功していないだろう、と言うご意見は承知の上で言えば、デスマスクは「そのつもり」で事に臨めば、とんでもなく厄介な暗殺者と成り得たと思料する次第であります。
全身全霊、全力で己の気配を消し、相手の認識の圏外からそのまま間合いに位置取り、そして、その魂を肉体から引き抜きそのまま冥土に送る。
なにやら、標準的な黄金聖闘士の実態から乖離しているにも甚だしいではありますが、それすらも必要とあればやりかねないであろうというのがデスマスク氏。他の黄金聖闘士が侍大将とすれば、氏は忍者。それも相当に人間性が欠落した厄介な存在の。
それが、他の黄金聖闘士との乖離につながり、異質さも併せて評価の埒外と言う結果につながったのではないかと思料する次第。
では、なぜ劇中でその狡猾さ、残忍さが中途半端な形で現れたのか。それはひとえに、「聖闘士の頂点である黄金聖闘士」としての軛から逃れることができなかったから、ではないかと思料する次第。
およそ地球上で最高の力を持つから、神にも等しい存在となりうるから、という事実とプライド。デスマスク自身が、『黄金聖闘士の地位も黄金聖衣も関係ない』と完全に割り切れる虚無的な性格ならともかく、どうもそうではなさそうだと言う事。
実際、スピンオフ作品においても、12宮戦以前にも他陣営との戦闘実績があること。その決して低くない戦歴と、なまじそれに勝利したばかりに慢心した。という実にありきたりでつまらない結論に落ち着くのですが、まあ、それがデスマスク氏の「人間」としての限界だったのでありましょうし、文字通り「神」ならぬ身として当然の帰結だったのやもしれません。
黄金のダークヒーロー、デスマスク。彼の実力は、カースト最下位に貶められるものとしては到底ありえないものでありながらも、そうならざるを得なかったのは、やはり「弱かった」という一言に尽きるのでありましょう。
これまでの主張をひっくり返すようで実に恐縮の限りではありますが、最終的に立ちはだかる強大に過ぎる存在。これに勝てなかった時点で、デスマスク氏の運命は決まっていたのでしょう。
では、その強大な存在とは何か?それは、
創造神「車田正美」であります(ΦωΦ)
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