いま伝えたい、茶の湯のちから
皆さま、はじめまして。裏千家教授の保科眞智子と申します。バイリンガル茶道家として外国人に英語で茶の湯の心と日本文化の魅力をお伝えしています。2018年に著書「英語DE茶の湯 〜こんなとき、どうする?!〜」(淡交社)を上梓しました。現在は3人の子供たちのママをしながら、東京都心で裏千家の茶道を30年お稽古しています。
このnoteについて
いま世界は未曾有の困難に直面しています。見えない敵との闘いで、平和な日本が一変しました。
千利休が茶の湯を大成した時代は戦乱の世。そのことを思うと、お茶には必ずやこの苦境を乗り越えるヒントがある。そう考えまして、ここ数週間はふだん以上に「心身を整えるお茶」にフォーカスしています。
その過程で気づいたことをnoteに綴ってシェアします。現場の最前線で日々奮闘して下さっている皆様、そして巣ごもり自粛を余儀なくされている多くの方に、茶の湯の魅力を知って頂き、少しでも心穏やかに過ごしていただけたら嬉しいです。
茶蓮(ちゃれん)について
私にとってお茶は、日々の暮らしを豊かにしてくれる、こころの栄養剤のような存在です。お茶が大好き過ぎて、皆さんにその魅力を知っていただきたくて、2014年に茶蓮という場を作り活動しています。
茶の湯はまるで心に余白を作っていくような、五感体験です。日々を豊かに過ごす知的なヒントがたくさんあります。コロナ自粛が長引く中、茶の湯の力を役立てて頂けるように、この茶蓮という場をオンラインに移してメッセージをお伝えしてまいります。
これまでの活動について
茶蓮ではこれまでに、茶道の魅力を英語で伝える活動や、忙しい現代人のためにヨガと茶の湯の会を催してまいりました。
英語ではCHAREN Tokyo - Tranquiliteaといいます。東京を訪れる外国人のビジネスパーソンや観光客など大切なお客様のおもてなしをしています。(公益財団法人東京観光財団推奨)
海外へも出向き、国際親善のための茶会を催しています。最近では、パリ(日仏160周年ジャポスム)、ウィーン郊外のお城(日墺150周年記念事業)、コロンボ(Japan Expo Premiar, Sri Lanka)などで英語による茶の湯プレゼンテーションを開催し、現地の方々にたいへん喜んで頂きました。
日本文化のユニークさと伝える努力
私の茶道の活動には特徴があります。それは、「英語で伝える」という点です。日本文化の魅力を外国人に伝えるためには、ある程度の”言語化”が必要です。日本人同士なら阿吽の呼吸や間の取り方など、同じ文化的背景を共有していることで難なく成立します。あるいは成立しない場合(空気読めない=KYだ)なんて言葉すら存在するわけですね。
ところが、一歩外へ出てみると、まるで異なる文化圏が世界中に広がっている。日本語は通じない。つまり、世界中で空気が全く読めない、”KY”がスタンダードなのです。
海外から人を招くとき、あるいは外国で日本の文化や魅力を伝えるとき、これまで考えてもみなかった問いをたて、それを思案し、しっくりくる言葉や表現を探して丁寧に伝える必要があります。私はこれを茶道の世界で行っているわけです。
おうちDE茶の湯と題して綴るこのnoteでも、私が英語という言語に置き換える過程で気づいた茶のこころを綴ります。リモートワークや家事の合間に「感じるお茶」として愉しむヒントになさって下さい。そして、茶道の世界を垣間見ることで、こころ豊かな時間を持っていただけたら嬉しいです。
私の恩師ー大宗匠
私の英語での茶道活動は、裏千家十五世千玄室大宗匠のお導きによるものです。大宗匠とのご縁は曽祖母の時代にまで遡ります。写真は昨秋、宗旦忌にて大宗匠より名誉師範追贈を賜った際の記念写真です。戦中、戦後の困難ん時期を挟み、40年間にわたり香淳皇后陛下を女官長としてお支えした私の曽祖母、保科武子の功績を称えて下さいました。まだ若宗匠でいらっしゃった頃に御所で茶会を催された際のエピソードを、とても懐かしそうにお話しくださいました。
大宗匠が、第二次大戦時に海軍特攻隊の志願兵として従軍されたこと。帰還された後、世界の平和のために茶道を世界中に広められたこと。その過程で、不立文字と言われる世界を英語という外国語に置き換え、日本文化の奥深さと魅力を世界に伝える基盤をお創りになったことなど、数々の偉大なご功績に、私は深く感銘を受け今日の活動につながっています。
こうして先人達が残してくれた足跡を肌身で感じることで、いま生かされている自分にできることは?と自問します。ご縁を大切に、ひとつひとつ取り組んでいます。まさに茶の道です。
おうちDE茶の湯をご一緒に!
前置きが長くなりました。
先の見えない、こんな辛い状況の中、「おうちDE茶の湯」でこころの深呼吸をして下さい。順次投稿しますので、フォロー頂けたら嬉しいです。どうぞよろしくお願いいたします。
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