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eスポーツオンラインイベントにおける今の光と闇
eスポーツ市場の市場規模
株式会社日本能率協会総合研究所は、9月24日、下記グラフのようなeスポーツ市場規模の推移予想を発表した。
素晴らしいことに今後5年間において、eスポーツ市場は成長し続けるという予想がなされている。発表の中でも、プロリーグなどを含む大規模イベントの開催が増えた事なども要因の1つに挙げられている。
それでは、現在のeスポーツにおけるビジネスモデルとしてどのようなものがあるのか、日本と海外を比較して見てみよう。
国内外問わず、スポンサーシップの占める割合が非常に高い。しかし、メディア周りやチケット・グッズによる収入という部分は、海外に比べると日本はあまり受け入れられていないことが数字として露わになっている。
古澤準特氏は、自身のTwitterで下記のようなピラミッドを用いている。
eスポーツユーザーにおいて脚光を浴び、市場を動かしているユーザーの大半は③のプロゲーマーと呼ばれるユーザーである。
彼らは"インフルエンサー"と呼ばれ、ネット上での発言力や知名度を武器にしてスポンサードなどを獲得している。
それでは彼らはどのようにして知名度や人気を獲得しているのだろうか。
プロゲーマーとしてインフルエンス力を手に入れる人には2種類いる。
・YouTube等の配信プラットフォームにてバズり配信を行い、インフルエンス力を手に入れる人
・公式大会や非公式大会へ出場し優勝などの実績を積み、インフルエンス力を手に入れる人
前者は"おうち時間"の増えた約1年半で市場が大きく成長し、台頭してきた。
そして後者もまた"おうち時間"の増加と、企業によるeスポーツ参入により、大きく台頭した。
しかしながら後者において、理想と現場では大きな乖離構造を産んでいる現実がある。
全ユーザーを対象としたモデル
私の運営するGood Game Companyでスポンサード営業を行う際に、下記の図を用いてeスポーツのイベントを説明している。
eスポーツイベントにおけるエンタメ全体を大きく3つの分類に分けている。
⚫参加型エンタメ
…ユーザーであれば誰でも参加可能となるイベント。参加者数に注力する。
⚫視聴型エンタメ
…インフルエンサー等を主体としてイベントを構成し、一般ユーザーは見て楽しむイベント。視聴者数に注力する。
⚫融合型エンタメ
…参加型エンタメと視聴型エンタメどちらも取り入れたイベント。参加者数と視聴者数ともに注力するため、オーガナイザーの負担は計り知れない。
私はeスポーツの市場発展について語る上で、3つ全てのエンタメを理解しておく必要ですがあると考えている。その為Good Game Companyでは、"AGCT"というApex Legendsを用いた"参加型エンタメ"と、"GGC杯 Shadowverse"というShadowverseを用いた"視聴型エンタメ"を実施している。
◆実績
・AGCT:1大会で960人のユーザーが参加
※世界で1番多く日本人ユーザーが参加
・GGC杯 Shadowverse:第1回大会にて同時接続者数660を記録
今後の展望として、"参加型エンタメ"では世界一の参加者数を維持し続けることで、競技シーンで戦うトッププロや、インフルエンサーと言ったユーザーにとって競技シーンとは異なった、実力を示す場所としての価値を提供し、決勝大会を見たいと思うユーザーが増える"融合型エンタメ"へと進化させていく。
また、"視聴型エンタメ"では現状のトッププロが招待で集う大会に一般ユーザーが参加する権利を争うための予選大会を作成し、競技シーンとは異なった『その場所に立ってみたい』というエンタメとしての思いを育みながら"融合型エンタメ"へと進化させていく。
既に当団体では、配信の質を上げるためにクリエイターの育成や、一般ユーザーが参加しても効率よく少人数で運営が可能になる為のシステム開発に着手している。
"融合型エンタメ"を作り上げる為には、参加者や視聴者に寄り添った視点での開発やクリエイティブが必要となる。
協賛で物は売れない!?
"おうち時間"が始まってからの1年半で数百という企業に対してスポンサード営業を行ってきた私は、企業側のある変化に気がついた。
『eスポーツのオンラインイベントに協賛してもそれによって物が売れない』という問題に直面している企業が非常に多い。
オンラインイベントにてCMを流してもそれを見たユーザーが確実に足を運んで商品を買うかと聞かれると必ずしもそうとは言えない。
【あなたのイベントにCMを出して協賛すると物が売れますか?】
これは、私が最近営業していてよく聞く質問だ。
前述の通り、企業は利益を求めるために動くのでそこで利益が出るかどうかを気にする事は当然である。しかし私は1つ苦言を呈したい。
【我々は人を集めるプロ(イベント主催団体でありながらインフルエンサーの立ち位置)であって物を売るプロではない。物を売るのは御社の仕事であり、我々は御社の情報を1人でも多くの人に伝え、ブランドイメージを共有することが仕事である】
私が最近様々な企業の方に対して、"個人的に物が売れる方法を考えることはしますが、団体としては世界一というブランドを使って御社製品を1人でも多くの人に対して、世界一の大会のCMで見た!凄いところだ!!というイメージを伝えることを御提供します"と伝えている。
売れるかどうかは知らないと言えば無責任に聞こえるかも知れない。しかしこれまで多くのイベントで行われてきたような、『人が集まるかどうかわからない』や、『何万人に情報を伝えられるかわからない』といった本来オーガナイザーが責任を追うべき部分を蔑ろにしたセリフだけは言いたくない。
当団体では過去の実績から確実に達成可能な4万回再生分の相場しか協賛金を取らないようにしている。
その上で、大会概要ページ内で協賛情報やリンク付け等も無料オプションとして行う。
我々は自分達のイベントに絶対的な自信を持って毎回挑んでいる。故に、参加者も視聴者も、協賛者も、運営者も関わる全ての人にとっての『楽しいをカタチに』できるイベントを提供し続けているのだ。
eスポーツイベントは赤字市場??
これまで様々なイベント主催者さんや、企業の方とお話しをさせて頂く中で、Good Game Companyは何故赤字運営していないのか。というご質問を頂くことがある。
厳密に申し上げると当団体も大赤字だ。しかし、ここで言う赤字とは出演料や賞金などを団体として赤字にすることなく開催出来ていることだ。
◆AGCT(世界最大規模イベント)で必要な予算について
⚫賞金(賞品):2万円~5万円程度
⚫出演料:8万円〜(現状は0円で実施)
⚫運営陣人件費:100万円〜(現状は0円で実施)
⚫その他経費:5万円以上(現状は0円で実施)
◆AGCTの収入
⚫賞金(賞品):2万円〜5万円程度
こちらをご覧頂くとわかる通りの大赤字だ。同人団体という建前上、現状は0円として算出している部分が多々あるが故に赤字になっていないように見えている。また、イベント規模に対して賞金規模を小さくしていることも赤字になっていない要因だ。企業のように数十万円や数百万円の賞金を出すと間違いなく大赤字である。
『イベントは知名度アップの為にやるんだから利益を求めるな』という意見をよく耳にする。
多くのゲーム会社が、コミュニティ大会規約にて非営利活動であることを条件として提唱していることから営利での活動を行うことは出来ないが、イベントを開催する者にもそれぞれ生活がありイベントが大きくなればなるほど準備などに時間を要するのは至極当然のことである。
前述の通り有名プレイヤーになるためには非公式大会での実績を必要とするユーザーが多いことや、その他ユーザーにとっての娯楽として開催される非公式大会において、主催者が自身の人件費を求めることは何もおかしい話しではない。
eスポーツ産業全体において、理想とされるビジネスモデルの形成をいち早く出来るよう、我々は必死に戦い続けなければならない。
最後に
ここまで読んで下さった皆様、本当にありがとうございます。
私事ではございますが、今後更に発展していくであろうeスポーツ市場について、オーガナイザーとしての視点と協賛者側の視点において発生している問題点とそれに対する私なりの考えを簡単に述べさせて頂きました。
何が正しいのかはわかりません。あくまで本記事は私個人の意見となりますので、ご容赦くださいませ。
eスポーツ市場は今後も大きく発展する市場であると私は信じております。
それをイベント運営という立場から一端を担うには、私だけの力では全くもって力不足でございます。
企業の皆様や、個人の皆様方の御協力なくして達成はできません。
是非、皆様のお力添えを頂けますと幸いです。
何卒よろしくお願い致します!!
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