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企画から実作業への”発注書”『3行コンセプト』
※全体の目次はコチラ
↓配信版
今日の内容
漫画の”企画”を作ろうと思った際に「どういう指標でまとめたらええねん?(コンセプト作り)」についてのお話。
上記を話すにあたって2段階で説明していきます。
1.「”企画”って何?」の前段階として『3種類の創作人格』を解説
2.『3行コンセプト』の解説
では、まず『3種類の創作人格』から。
工程に合わせた『3種類の創作人格』
作家としての自分の中に、以下の3人格がいる事をを自覚すると作業工程ごとにやる事が明瞭になっていいかも。というお話。
①カスタマー(動機)
・「あれがいい/こうしたい」と要望を出す自分
・作家の中の”動機”(OKグラム等)に根差す部分
②クライアント(企画)
・「どういう作品にしようか?」と企画を考える自分
・『①カスタマー』の要望/編集者の要望などを取りまとめて方向性、つまり”企画”を作る役割
・ここがしっかりしてると編集とのやりとりに強くなれる(かも)
③クリエイター(実作業)
・作品を形にする作業者の自分
・『②クライアント』の発注書に沿って”実作業”をする役割
・現場でひらめいたアドリブ/アレンジも大事
今回話す「コンセプト作りって何?」っていうのを、上記に合わせて説明すると以下のような感じです。
②クライアント(企画)から③クリエイター(実作業)に渡される、「この作品はつまりこういうこと」が具体的に書かれた”発注書”である、
といった感じです。
コンセプト(発注書)時点で方針がはっきりしていると、それだけクリエイターの作業も迷いなく行うことができることもあり、コンセプト作りはとても重要な要素だといえま。
では、コンセプトってどうやって作ればええいいのでしょうか?
コンセプト(発注書)とは
今回話すコンセプト作りは、コンセプトを3行で整理する方法です。
コンセプトは以下の3つの要素で構成されます。
①アイコン:「〜の話で」
②アイディア:「〜を楽しませ」
③コンテンツ:「〜が描かれる」
なんと、上記の「~」を穴埋めするだけでコンセプトが完成しちゃいます!
…だた、これだけでは良く分からないと思うので、1つずつ解説していきます。
①アイコン:「〜の話で」
・その作品のモチーフ
・ここが魅力的だと多くの人に手に取ってもらいやすくなる
コンセプト全体に言える注意点として、短く具体的にというものがあります。
だらだら長く描いてしまうと”面白さの核”がどこにあるか分かりませんし、それだけ長く描かないと面白さが伝わらないとも言えます。
また具体的でふんわりしていると、受け取り手が想像できづらくなっちゃいます。
やり方としては大体25字以内で、初めて見た人にも想像できるぐらい具体的に描くのが良いかと。
↓スラムダンクを例に
・良くない例:高校バスケの話で…
・良い例:バスケ未経験の不良がインハイを目指す話で…
あと、自分の「得意なこと」を据えるのがオススメです。
②アイディア:「〜を楽しませ」
・読者に楽しんでもらうための部分
・読者はこれを目当てに読むと言っても過言ではない
読者を楽しませるメイン部分で、作品中の半分はページがこれに割かれることになります。
(例:ヒロアカだと「ド派手な能力バトル」だったり、デスノートだったら「天才同士の頭脳バトル」みたいな感じ)
どういう要素をいれたらいいかなど分からない際は、欲求ピラミッド等を参照すると良いかもです。
③コンテンツ:「〜が描かれる」
・いわゆる作品のテーマ的なもの
・読者が読み終わった後に受け取るもの
作品上での「見えるテーマ」と作者の中にある「見えないテーマ」があるとした場合、コンセプトとして書かれるのは前者の方。
ヒロアカを例に
・見えるテーマ:無個性でも最高のヒーローになれるか?
・見えないテーマ:才能がなくても夢をかなえられるか?(「見えないテーマ」に関しては作者本人じゃないと分からないのであくまで推測)
この「見えるテーマ」と「見えないテーマ」を上手く作品上に入れ込むことができると、作りやすい作品になるのではないかなと思います。
自分が「心から思えること」を据えるのがオススメです。
おまけ:既存作品で例
例として『3行コンセプト』を既存作品で書いてみました。
デスノート
①アイコン:「名前を書くだけで殺せる死神のノート」の話で
②アイディア:「殺す側と捜査側の頭脳バトル」を楽しませ
③コンテンツ:「悪人を殺す行為は正義なのか?」が描かれる
ヒロアカ
①アイコン:「一般人も超能力をもつ世界のヒーロー」の話で
②アイディア:「ド派手な能力バトル」を楽しませ
③コンテンツ:「素質に恵まれなくてもヒーローになれるのか」が描かれる
みたいな感じかなと。
上記のような感じで既存作品や自分の過去作を分析してみるとトレーニングになるかもしれません。