2024

祝いたくもない一年のはじまりだった。
年明けすぐにやってくるわたしの誕生日は父と2人、母の仏壇を見に行って終わった。母が亡くなったのは2023年11月の終わり。悲しみのなか法要や手続きは続いていた。
仕事がはじまると毎日はうねりをあげて過ぎた。
とにかく誰かを失って欠けた生活をあるべきかたちにして「こなす」ことに必死だった。

生活に色をつけてくれたのはお笑いだったなと思う。不謹慎かもしれないけど、母も笑うことを大切にする人だったし、何よりも気が晴れた。笑う気にならない日ももちろんあったけど、見ようと思えた日はお笑いに触れて思い切り笑った。

好きな漫才師が20周年を迎えた。
2月の野音を皮切りに全国ツアー。一年で一番寒い時期にいねえって‼︎と思われた野音の日は晴れ渡り、ばかみたいに暖かな日で。夕方からはじまったライブはベスト盤みたいなネタをギュッと集めたスペシャルなセットリスト。最高すぎた。配信も無いから普段聴けない歌ネタもあり盛り上がった。夕暮れ、そして日没を迎えた野音、長身の2人の漫才師はスリーピースのスーツにコートを羽織って現れ客席が湧いた。何故かチャゲアスを皆で歌った。拳をあげながら。めちゃくちゃ楽しかった。演出も漫才も全て最高だった囲碁将棋の野音を、私はずっと忘れないと思う。

普段のライブに加え全国ツアーが開催された。
6月の宮城から、栃木、新潟、広島、大阪。
絶景漫才ツアー。ネタ被り無し、新ネタあり、裏話トークあり。地方在住者にとってありがたすぎるノンストップ60分漫才&トーク。いつか生で見たかった念願のネタも沢山見れた。最終日の大阪、無くなってしまう味園ユニバースでのライブのあと、物販に出てきたおふたりのホスピタリティに感動した。サインをいただく時には物販のトートのデザインの由来を文田さんがナチュラルにお話ししてくださったり、お写真を撮ってくださる時、彼らのネタにちなんで砂を掴むポーズをお願いしたのだが、すぐ後ろに立つ根建さんが砂を掴みながら反町ばりのあの低いいい声でforever口づさんでて思わず砂が降ってきた‼︎‼︎と思ったのは本当にいい思い出。185㌢が目線を合わせてくれる、それが自然とできる文田さんと根建さんの豊かであたたかい人間性に実際触れた貴重な体験だった。ガレージトーク?何それ美味しいの?な地方在住者にとってはとんでもなくありがたい機会だった。そのあとフォロワーさん達と飲みに行くという直行直帰人間にはなかった素敵な夜を過ごさせていただいた。おもいでがあふれている。生きていると忘れたくない夜ができることを知った。

12月には単独があった。当たり前のように新ネタで単独を打つ格好良さがある。漫才師としての新陳代謝は止まらない。新ネタもあちこちでかけて、12月1日に大阪単独で見たネタが28日東京単独では進化していた。嬉しい。止まらない。テレビ等でも見かけることが増え、ラジオは減ったけど前が充実しすぎていただけで。相変わらず劇場に立ち関西福岡出番も多い。推しが充実すると推している人間の日々も輝く。2024年を楽しくしてくれたいわゆる「推し事」、何よりありがたかった。ずっと今がいちばん面白い漫才師でいてくれる囲碁将棋を、来年も自分のペースで追いかけたい。

正直今も生活は見えないところが破綻していて、それでも何とかなっている。父は料理をはじめた。掃除もこまめにする。努力で生活は守られている。わたしが仕事で朝早く夜遅いので、帰ってくるとひたすらテレビとお友達。わたしが帰ってくると堰を切ったように話し出す。切ない。

暮らしていこうと思う。日々は続く。
決して健やかではないけれど、寄りかかれるところには寄りかかって。
縋れるものがあり、吐き出せる場所もあるのはしあわせなことだと思った。
ありがとうございました。
来年も生きましょう。
楽しいことがたくさんありますように。


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