いまだにOHV
ハーレーは、ほとんどのメーカーが採用していない旧バルブ駆動方式のOHVをいまだに採用している。
他メーカーのバイクはOHC、またはDOHC化することでエンジンを高回転まで回せるようにして力を出したのに対し、ハーレーはOHVのまま、排気量を上げることで力を出している。
ここで各バルブ方式を簡単に説明すると、
<OHV>
オーバーヘッドバルブの略。シリンダーの上にバルブを配置し、カムの動きをプッシュロッドによってバルブに伝達する。
<OHC>
オーバーヘッドカムシャフトの略。シリンダーの上にカムとバルブを配置。クランクの回転をカムにチェーンで伝達する。
<DOHC>
ダブルオーバーヘッドカムシャフトの略。カムがバルブを直接動かすのでロスがなく、高回転域でのバルブ開閉も安定。
OHVのまま排気量を上げて力を出したハーレーだが、排気量を増やしたことで1気筒あたりのストロークが長くなった。
テコの原理でクランクを回す力が大きくなり、エン低回転から力を出せるハーレーらしい乗り味が誕生したのだ。
そして前後のシリンダーの角度が45度で、ふたつのピストンを1本のピンでクランクに接続したレイアウトも独特な乗り味の要因のひとつ。これは、要するに超巨大な単気筒エンジンのようなもの。
国産メーカーのVツインは、エンジンをスムーズに回すためにクランクを各シリンダーに配置するケースが見られるが、それではハーレーのような味わい深いフィーリングにはならないのだ。
エンジンレイアウトの美しさを変えず、新時代に立ち向かうハーレーは、憧れの彼女のようだ。