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ポケポケは海外でどれだけ人気?国地域別ランキング!(前編)
ポケポケ(Pokémon Trading Card Game Pocket)の躍進
2024年10月にリリースされたスマホ向けアプリ『Pokémon Trading Card Game Pocket』は、世界中で爆発的なヒットとなりました。スマホ上でポケモンカードのコレクションや対戦を楽しめるという手軽さが受け、リリースからわずか数週間で全世界累計6000万超のダウンロードを突破。その後6週間で売上1億8000万ドル(約270億円)に到達するという快進撃が続いています。
この勢いは各国のアプリストアランキングにも表れており、日本はもちろん、フランスや香港、マカオ、スペインなどで売上ランキング1位、イタリアやシンガポール、台湾でも2位を獲得しています。その背景には、「ポケモンカードゲーム」という強力なIP(知的財産)の世界的人気はもちろん、スマホならではの手軽さやコミュニティ性とスマホに最適化した素晴らしいゲームバランスがうまく融合した点があると考えられます。
本記事では、日本以外の国や地域に焦点を当てて、ポケポケの人気ランキングを売上データやユーザー動向から独自にまとめました。各地域での人気の理由、文化的背景、SNSでの盛り上がりやマーケティング施策を絡めながら、ビジネス的視点を加えて解説します。海外のポケモン熱を感じながら読んでいただければうれしいです。
参考: 日本🇯🇵
まずは比較のために日本を見てみましょう。ポケポケが最も成功しているのは、やはり“本家”とも言える日本です。
日本市場だけで全世界売上の40%以上を占めており、ダントツの1位となっています。驚くべきは、日本のダウンロード数は世界全体のわずか5~7%程度に過ぎないことです。限られたユーザー数でこれほどの売上を生み出していることから、日本のプレイヤー1人あたり課金額の高さが際立っています。実際、あるデータでは日本の平均課金額は約23ドルと世界トップで、2位の香港の約2倍という結果も報告されています。これは「物理的なポケモンカードをコレクションしてきたヘビーユーザーが多い」文化背景を示唆しており、ポケモン愛がそのままデジタル版にも表れた結果と言えるでしょう。
7位: ブラジル🇧🇷
ブラジルはラテンアメリカ最大のゲーム市場であり、ポケポケでも無視できない国です。収益全体に占める割合はトップ圏ほど高くないものの、ダウンロード数では米国に次いで全体の約12.5%を占め世界第2位という驚異的なユーザー数を獲得しました。これはブラジル国内で数百万人規模のユーザーがポケポケを試したことを意味します。ラテンアメリカ全体では約20%以上のインストールを占める計算となり、ファンベースの広さという点で無視できない市場です。ただし一人当たりの課金額は低めで、売上ランキングでは総合トップ10圏内に届くかどうかといったところです。しかし「人気」という観点ではユーザーコミュニティの大きさも重要なため、ここでは注目国として取り上げます。
- 人気の背景
ブラジルではポケモンはアニメ放送などで広く浸透しており、子供だけでなく大人にも愛されています。ただ、経済状況的に物理カードゲームを継続的に集めるのはハードルが高い層も多いと考えられます。ポケポケは基本無料で遊べて毎日カードが手に入るため、経済的負担なくポケモンカードの雰囲気を味わえる点がブラジルのファンに歓迎されました。また、ブラジルはSNS利用が盛んな国で、TwitterやTikTok上でポケモン関連の投稿が拡散しやすい土壌があります。
ポケポケに関しても、有志がポルトガル語で解説動画を上げたり、リリース直後には「#PokemonTCGPocket」がブラジルのトレンドワードになるなどコミュニティ主体の盛り上がりが見られました。公式からもスペイン語・ポルトガル語で基本情報が発信されており、言語面での障壁は比較的低かったようです。
6位: 香港 🇭🇰
香港は人口わずか750万人ほどの市場ですが、ポケポケにおいて無視できない存在感を示しています。世界売上シェアの約3~4%を香港が占めているとのデータもあり、一人当たりの課金額が非常に高いことが窺えます。実際、平均課金額では日本に次いで香港が世界2位(約12ドル)との分析もありました。リリース当初、香港のApp Store売上ランキングでは即座に1位を記録しており、熱心なファンが多い市場と言えます。
- 人気の背景
香港は東アジアの中でも日本のゲーム・アニメ文化の影響を強く受けている地域です。ポケモンも例外ではなく、子供向けアニメとしてだけでなく大人のコレクターにも支持されています。もともと香港ではポケモンカード(英語版や日本語版)を収集・トレードするコミュニティが存在し、高額レアカードが取引されるケースも報じられてきました。そのため、デジタル上で気軽にカード収集と対戦が楽しめるポケポケは、従来のコレクター層にとって魅力的なツールとなりました。加えて、香港のゲーマーはソーシャルゲームへの課金傾向が強いことで知られています。例えば日本産のFate/Grand Orderや中国産の原神などでも、香港はARPU(ユーザー平均課金額)が高い市場です。同じように、ポケポケでも「推しのカードが出るまで課金する」といったコアなプレイスタイルが見られ、高収益に繋がっているようです。
また、中国本土でポケポケが未配信である現状、香港・マカオは事実上の中国本土代理市場としての役割も果たしています。中国本土のファンが香港のアプリストア経由で参加している例もあると言われ、そうした需要もあって香港の売上が底上げされている面もあるでしょう。
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5位: 韓国 🇰🇷
韓国もポケポケの主要市場の一つです。推計によれば、韓国は全世界売上の約3.5%前後を占めています。ダウンロード数の比率は数パーセント程度とみられますが、日本同様に熱心なファンが支える収益貢献型の市場と言えます。
- 人気の背景
韓国におけるポケモン人気は近年再燃しています。1990年代末の第一次ポケモンブーム以降、一時は日本文化規制もあって下火になりましたが、ここ数年で「ポケモンパン」シール収集ブームが巻き起こるなど社会現象が復活しました。若年層だけでなく20~30代のポケモン世代もグッズ収集に熱中しており、ポケモンカードゲームも韓国語版が再発売されると即完売する人気ぶりでした。こうした中で登場したポケポケは、「物理カードを買えなくてもデジタルで集められる」と韓国のファンに受け止められ、一気に広がりました。韓国のゲーマーはオンライン対戦ゲームやeスポーツ文化が発達しているため、カードバトルという対戦要素にも魅力を感じるユーザーが多かったようです。また、一部では有名ストリーマーが実況プレイしたりTwitter(X)で韓国語による攻略情報が共有されたことで、言語の壁を超えてコミュニティが形成されています。
4位: 台湾 🇹🇼
次いで注目すべきは台湾です。台湾は人口こそそれほど多くありませんが、全世界売上の約3~4%弱を占める市場と推定されています。ダウンロード数においても台湾は上位圏に位置しており、ユーザー数・売上ともに存在感を示しています。
- 人気の背景
台湾におけるポケモン人気は非常に高く、アニメ放送や関連グッズ販売も盛んです。カードゲームも例外ではなく、ポケモンカードが入手困難になるほどのブームが近年台湾でも起きていました。日本で品薄になったカードを求めて台湾から買い付けに訪れる人がいるほどで、コレクター熱は相当なものです。
台湾ではポケモンカードの非公式大会やショップイベントが各地で開催されています。公式のポケモンストア「ポケモンセンター台北」も2023年にオープンし話題となりました。こうしたリアルイベントで培われたコミュニティがあるため、ポケポケも口コミで広まりやすい環境にあります。
参考: 中国本土🇨🇳
残念ながら現時点でポケポケは中国当局の版号(ゲーム許可)を取得しておらず、中国本土では公式にプレイできません。しかし、もし今後中国市場で正式リリースされれば、一気に世界最大のユーザー数と売上を獲得する可能性があります。実際、リリース6週間で1億8000万ドルを稼いだポケポケは、、中国業界内でも注目を集めています。ポケモンIPの人気とモバイルカードゲーム好きな中国ユーザーの嗜好を考えれば、公式展開時の爆発力は計り知れません。もっとも、中国当局の規制は厳しく、仮に展開するにしても現地パートナーとの協業や仕様変更が必要でしょう。それでも、中国は将来的に最大の市場となる可能性として意識しておく価値があります。
前編まとめ
以上、これまでブラジル、香港、韓国、台湾、中国本土と様々な国のポケポケの現状を解説してきました。日本や世界のダウンロード数ランキングを見るだけでも、各国がどんなユーザー層を抱えているかが垣間見えます。
次回の後編では、3位以降のポケポケ人気国や、具体的なマーケティング施策の事例をさらに深掘りしていきます。ぜひお楽しみに!