Chara「命のまつり」その45~命はどこからやってくるか
1回目の体外受精で命を授かることはできなかった。
その後、医療観察法病棟の仕事を続けながら患者さんの社会復帰に向けて
一緒にアパートを探したり、地域の断酒会に参加したり、治療の進捗を裁判所に報告する書類を多職種で作成したり、なんやかんやしているうちに
あっという間に時間は過ぎていった。
しばらくして再び治療を再開した時、もう40歳になっていた。
2回目の体外受精のための採卵に向けての検査で、
医師より「卵があんまり育ってないんだよね・・・・」
えっ、もう私の体が命を宿すことができないの?と悲しい気持ちになった。
それでも、あきらめたくなかった。
やるだけのことはしたいと伝え治療を続けた。
なんとか採卵にこぎつけたが、採れた卵子はたったの1個だった。
私は祈った
たった1個の卵子、私の命を受け継ぐもの
当時はしらなかったが、亡くなられた村上和雄先生の「人智を超えた偉大なるもの」、「生命の神秘をつかさどる存在」、サムシング・グレートに祈っていたのかもしれない。
そして、受精卵は無事に育ち子宮にもどすことができた。
あとは、着床を待つのみ。
後にも先にも、もう卵子が採れない体だし
なんか、やるだけのはことはやった気持ちになっていた。
肩の力が抜けたというか、そんな日々を過ごしていた。
そして、半ばあきらめの気持ちで診察を受けに行った。
夜勤明けで、少しだるさもあった。
血液検査と尿検査をうけた結果は、妊娠の判定だった。
ただ、ただ驚いた。
40年間、私と一緒に人生を過ごしてきたたった1個の卵子
の奇跡に感謝した。
そして、無事に胎嚢と胎児心拍が確認できたのだった。
命をありがとう
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?