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【ポケカ】タイプ限定構築戦のデッキ選択【構築論】
対タイプ+30グローブ、買いたくない。
デッキの引き出しはタウンデパート、chapuddingです。
タイプ限定構築戦とは、僕が普段ジムバトルに出ているカードキングダム溝の口店さんで開催された非公認の大会です。
文字通り特定のタイプのポケモンしかデッキに入れられない特殊構築戦で、普段見かけないようなポケモンやトレーナーズが見られて非常に面白い大会です。
僕は特殊構築戦がかなり好きで、ポケカに限らず様々な特殊構築戦に出場してきました。
特殊構築戦においてどのようなデッキが強い傾向にあるのか、どのようなデッキにすれば勝てるのかなど考えていることを具体例を用いて紹介します。
これをきっかけにタイプ限定構築戦に限らず特殊構築ルールに興味を持ったり、大会主催者が特殊構築戦を開く動機になったりすれば幸いです。
タイプ限定構築戦の特徴
安定性
特殊構築戦ではカードプールが普通のデッキと比べて使えるカードの種類が少ないため、安定性が普段の対戦より落ちる傾向にある。
例えば、無色タイプ限定構築戦では一見して「ルギアVstar」が非常に強力なデッキタイプに見えるが、「ルギアVstar」の安定性の根底を支えている「ネオラントV」が使えない。
そのため「アーケオス」をトラッシュするために複数回「かぜよみ」をする番が必要になる可能性があり、覆せないダメカンの量を押し付けられる可能性がある。
そのため、多少出力が低くても安定性が高いだけで使う価値のあるデッキになる。
耐久力
強力な青天井火力を持つポケモンは限られており、280以上の高打点を出すためには多大な労力を要する場合が多い。
例えば、鋼タイプ限定構築戦の場合300以上の打点を出すためには「ディアルガVstar」や「メルメタルex」にエネルギーを加速するか「かがやくハガネール」を使うかしか手段がない。
そのため、HPの高いVMAXは普段のルールよりも攻撃を耐えるシーンが多くなる傾向にある。
ゲームテンポ
エネルギーを加速する手段の多くはポケモン自身が持っていることが多く、限定構築戦ではエネルギーを加速する手段が限られている。
また、1ターン遅れることを敗北に直結させるデッキの代表格であるロストゾーン系統のデッキが使えないため、多少動き出しが遅くても許される展開が多い。
また、上記の耐久力も相まってゲームの総ターン数も多くなるためサポートを使う枚数が普段の対戦よりも多くなる。
そのため、通常のデッキよりもサポートの枚数を増やした方がサポート権を有効に使える。
タイプ別具体例
今回説明するタイプ限定構築戦のレギュレーションは以下の通りである。
使えるカードはレギュレーションマークE, F, Gのもののみ
特定のタイプのポケモン以外をデッキに入れることができない
進化前、進化後のどちらも特定のタイプである必要がある
(鋼限定の場合、鋼タイプのストライクがいないためハッサムが進化できない)
この前提のもと著者が大会に出る前に考えていたメタゲーム考察と、大会に出た結果やそれを踏まえた反省を記述する。
炎タイプ
この限定戦は「かがやくリザードン」と「エンテイV」の2匹が環境を定義していると考えた。
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「エンテイV」は非ルールのたねポケモンを低コストで落とせる上に、270以下の打点はすべて「勇気のおまもり」で吸われた後「ボタン」で消されてしまう。
また、ポケモンVstarや1進化のポケモンexはすべて「耐火グローブ」込みの「かがやくリザードン」に1回で倒されてしまう。
(この大会の時点では「グレンアルマex」が未発売だった)
このため、炎タイプ限定戦は「エンテイV」と「かがやくリザードン」を軸にしたたねポケモン軸のビートダウンが圧倒的に多いことを考えた。
そのため、お互いがポケモンを2発ずつで倒していくゲーム展開になることを想定して「かがやくリザードン」の攻撃を1回耐えることは非常に価値があると考えた。
そこで、ポケモンVMAXを軸に打点の受けまわしがしやすいポケモンが非常に強いという結論に至り、単体で性能が完結している「ビクティニVMAX」と「バシャーモVMAX」が強いと考えた。
ここで重要になるのが打点ラインであり、「かがやくリザードン」を1発で落とせないと「ボタン」で回収されて連続で殴られてしまう可能性がある。
そこで進化前の「ほのおのうず」や「耐火グローブ」込み「ダイブレイズ」で1発で「かがやくリザードン」を倒せる「バシャーモVMAX」のほうが優れていると考えたため、「バシャーモVMAX」を使うことにした。
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「バシャーモVMAX」は1匹作ることができれば裏の後続にエネルギーを加速できるためドローサポートの回数を抑えることができる上に「モミ」で複数体回復も望めるため、余ったサポート権を「ボスの指令」や「セレナ」に回して「ボタン」でダメカンを回収される前にサイドを進めやすい構築にした。
また、スタジアムは「マグマの滝壺」を剥がせれば何を使ってもよかったため、「かがやくリザードン」を除去できるうえにたねポケモンの総数を削り「エンテイV」の打点を落とせる「ロストシティ」を採用した。
ロストシティは「ニャヒート」と「オドリドリ(パッションダンス/はばたく)」を使った耐久コントロールの「オドリドリ」の総数を削る役割も兼ねている。
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これらをデッキとしてまとめて当日使用したリストが以下である。
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当日は「ビクティニVMAX」と「テールナー(かえん/フレアパレード)」、「エンテイV」+「マフォクシーV」と対戦して全勝優勝した。
安定に寄与するポケモンが非常に少ないタイプであるため、攻撃のテンポが一度遅れた相手を咎める力が強い「バシャーモVMAX」はかなり正解な選択だったと感じた。
「勇気のおまもり」つきの「かがやくリザードン」に「バシャーモV」をとられると返せなくなるため「ロストスイーパー」を採用するべきではあった。
鋼タイプ
ポケモンVを一発で取れる「ギルガルドex」を軸に環境が定義され、ミラーマッチでは「ギルガルド(しんぴのたて/ハードバッシュ)」を立てての殴り合いになると想定した。
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環境にエネルギーの枚数を多く取る傾向にある「オリジンディアルガVstar」が一定数いることが想定されるため、「ディアルガ(ときのぎゃくりゅう/メタルブラスト)」を使ったコントロール系統のデッキは早々に選択肢から消した。
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大会に出ることにしたタイミングが開催の前日だったこともあり、ギルガルド系が非ルールの「ギルガルド」を少なめに採用すると見積もって「メタグロスVMAX」に「キャンセルコロン」を入れて盤面のポケモンが整うまでに殴り切るデッキで出ることとした。
「でんじきゅうちゃく」で「キャンセルコロン」をサーチできる上、「メタグロスV」の「シンクロハンマー」で「ギルガルド」を1発で倒せるため、2体程度であれば「ギルガルド」を突破できると考えた。
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しかし、メタグロスラインを全く持っていなかったため当日買おうと思っていたが、全て売り切れてしまっていたため予備で用意したストレートな「ディアルガVstar」で出ることとした。
ギルガルド系の基盤は「ギルガルドex」だと思っていたため、「ギルガルド」が作られる前に「ギルガルドex」とのタイマンに持ち込めればギリギリ勝機はあると考えた。
(この構築も「エネルギーシール」が当日2枚しか買えなかったため不完全)
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結果として「ギルガルドex」を採用していない「ギルガルド」に2敗、「メタグロスVMAX」と「キリキザン(しかえしぎり/スライスブレード)」に勝って2勝2敗だった。
ギルガルド系のミラーマッチになれば非ルールの「ギルガルド」の数を押し付けた方が強いのは自明であり、結果として「ギルガルドex」の採用枚数は自然と減る傾向になるとメタゲームを読みきれなかった点に敗因がある。
仮に「メタグロスVMAX」で出れたとしても、「キャンセルコロン」は4投するべきだっただろう。
また、環境を見た後だから言えることではあるもが中打点の「ギルガルド」が環境を定義していたため、「勇気のおまもり」をつけた「ディアルガ」を「ボタン」で受け回す方向でコントロールを組むのが環境最適解だった可能性はある。
龍タイプ
「メロン」を使える水複合Vである「ヒスイヌメルゴンVstar」や「カイリューVstar」、「ミラージュゲート」を使える「ギラティナVstar」が環境の中心であると考えた。
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トップメタに躍り出ると想定される面々のうち「ヒスイヌメルゴンVstar」以外はエネルギーの枚数を多く採用するデッキタイプになるため、「シャリタツ(みずでっぽう/せいぞんせんりゃく)」と「カイリューV(はかいこうせん/バスターテール)」を合わせたコントロールはエネルギーを食い切れないと考えた。
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他に想定トップメタに対して有効なアプローチが浮かばなかったため、今回はこれらのトップメタになりうる面々の中から使用デッキを選定することとした。
「ハンターグローブ」込みで280ダメージ出る上に「ドラゴニックスター」でエネ加速まで単体で完結する「カイリューVstar」と、3回の攻撃でサイドを確実に全て取り切れる「ギラティナVstar」は「ヒスイヌメルゴンVstar」より一歩秀でていると考えた。
この両者を比較した際、最速先3で殴り出しの「カイリューVstar」と後2で殴り出しの「ギラティナVstar」では後者の方が有利であると考え、「ギラティナVstar」を使うことにした。
ミラーマッチでは「ロストスイーパー」で「フルフェイスガード」が剥がされることが想定されるため採用せず先攻を渡された際に捲るための「ナンジャモ」を採用、「ヒスイヌメルゴンVstar」に簡単に勝てるように「あなぬけのヒモ」や「クロススイッチャー」を多めに取って正面を無視しつつ「やまびこホーン」で詰め切れるようにした。
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結果として、「ヒスイヌメルゴンVstar」に2回、「レジドラゴVstar」に1回、「ギラティナVstar」に1回当たり全勝して優勝した。
「カイリューVstar」こそいなかったものの概ね想定通りの環境であり、愚直に強いデッキを使うことが正解の環境だった。
無色タイプ
無色タイプの中で強力なポケモンである「アルセウスVstar」や「ルギアVstar」は先攻が圧倒的に強い傾向にあり、これらのデッキを使う場合はじゃんけんが勝敗に多大な影響を及ぼすことになる。
そのため、俗にいうじゃんけんゲーを回避するためにはこれらのデッキを避けて後攻でも出力のぶれないデッキを選択する必要がある。
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これらのデッキに対して「ミルタンク(ミラクルボディ/けちらす)」でターン数を伸ばすデッキは有用であると考えた。
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ここで相手が攻撃できない状況を作ることに特化したコントロールにする場合、強力な詰みを作る手段である「カビゴン(とおせんぼう/たおれこむ)」を活用できるものの「ロトムV(そくせきじゅうでん/スクラップショート)」がないため「ナンジャモ」からのリカバリーに非常に時間がかかることが想定される。
また、「アルセウスVstar」に採用されることが多い「ホシガリス(すあなにかくす/かみつく)」を除去する手段が通常環境よりも必要になり、より安定性を落とす必要が生まれる。
そのため、コントロールではなくサイドをとり切る前提のデッキを構築することとした。
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「ミルタンク」を運用するにあたって、非ルールのポケモンを倒すための耐久力が高いポケモンが必要になる。
また、複数のポケモンを用意するためには手札の安定化に寄与するシステムポケモンを用意する必要がある。
そのため、安定性に寄与するポケモンが攻撃にも参加できることが望ましいと考えた。
そこで、アタッカーとしても安定性にも寄与する「ピジョットex」を高耐久のアタッカーとして起用した。
「ピジョットex」の進化元である「ポッポ(なかまをよぶ/たいあたり)」も盤面の展開に寄与するため、非常に相性が良いと感じた。
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この2種類のアタッカーでは、「カビゴン(へいきなしぼう/どっすんグースカ)」にダメージを容易に稼がれてしまうため、これを1回の攻撃で倒せるポケモンを別途用意する必要があると考えた。
「カビゴン」が採用される「ルギアVstar」の攻撃を耐えないポケモンでは結局サイド差を詰めることができないため、150以上の打点が出る上に進化前の段階でHPが230以上あるポケモンであることが望ましい。
これらの条件に合致するポケモンの中で最も取り回しのいいポケモンは「レジギガスVstar」を採用することとした。
現状の構築で余っているVstarパワーを「スターガーディアン」に割いて盤面に崩すことにより、「ミルタンク」か「ピジョットex」のどちらかを突破できない詰みの状況を作ることに貢献する可能性がある点も評価点となった。
以上の考察を踏まえて、これらの3種類のアタッカーでデッキを構築することとした。
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基本的には「ミルタンク」で一方的に打点を稼ぐゲーム展開にすることに重きを置いたため、「エリカの招待」や「やまびこホーン」でポケモンVを釣り出せるようにした。
サイドは先行されることを前提に組んだため、「カウンターキャッチャー」や「まけんきチョッキ」を強く使えるため採用した。
また、現状の構築だと「パフュートンex」や「プクリンex」などの1進化のポケモンexとのダメージレースで不利をとることが想定される。
幸いなことに、これらのポケモンは「モミ」をそこまで強く使えないため「カウンターキャッチャー」で複数のアタッカーにダメカンを載せていき「ワザマシン デヴォリューション」でまとめて回収することで対策しようと試みた。
(「パフュートンex」はベンチを絞ることで「きょうらんのかおり」の打点を抑えられるため、「モミ」の打ち合いではダメージレースで勝てる)
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これに加えて「ルギアVstar」を重く見て「ピーニャ」を採用して以下のような構築にまとめ上げた。
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結果として「ハピナスV」+「ポリゴンZ(バグターボ/エナジーアタック)」と「パフュートンex」に勝ち、「ルギアVstar」+「カクレオン」との対戦で詰み状態にしたものの時間切れで負け、「カクレオン」に負けて2勝2敗に終わった。
負けた試合は両方とも「ピジョットex」を作るのが遅れたことが敗因の大きな要素であったため、具体的な役割の薄かった「まけんきチョッキ」を「レベルボール」や「フェザーボール」などの安定性に寄与するカードにするべきであった。
また、「カクレオン」は「ばつぐんグラス」をつけて270が最高打点だと思っていたため早々に使用候補から消していたが、「ザクロ」と「基本闘エネルギー」を合わせることで360まで打点を伸ばせることを知りもう少し考察の余地があったと後悔することとなった。
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まとめ
今回はタイプ限定戦を例に、特殊構築戦でどのようなことを考えてデッキを構築しているかについて解説しました。
特殊構築戦ではテンプレートと呼ばれるようなものが存在せず自分で1から環境を考察して、その環境に合致するデッキを構築する必要があるため対戦前から非常に楽しめる対戦形式です。
また、カードプールが狭い分対戦が始まった後でどのようなカードが飛んでくるかを想定しながら柔軟にプレイを変えていくアドリブ力が試されるため、対戦中も非常に面白いフォーマットです。
タイプ限定戦に限らず面白そうな特殊構築戦を思いついたらぜひ友人と遊んでみたり、日ごろから大会に出ている店舗さんに開催を持ち掛けてみてはいかがでしょうか。
おわり