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早く元気出して あの笑顔を見せて

”人生はあなたが思うほど悪くない”

心が疲れているときに、この曲を聴くと
すごく寄り添ってくれる気分になれるというか
「そういう声かけ」が必要だったんだな、と再認識します。

先日の記事でもちらっと触れましたが、
愛情込めて育てた社員が退職をしました。
理由はそれぞれ違っていて、ヘッドハンティングもいれば
留学したい、という人もいましたが
共通していたのは入ってきてくれたあの当時よりも
はるかに成長してくれた今、こうして卒業をされるのは
やっぱり慣れるものではなく、心悲しいものです。

インターネットで調べてみました。
「退職・・引き止める・・・説得」
こうしたワードを入れて検索をかけると
ヒットするのは「どうすれば会社をうまく辞めれるか」というページで
そこには「上司に説得されてもなびくな」や
「もし怒られても会社側が悪いんだから無視しろ」などなど
辞める側の立場にたったアドバイスがびっしり書かれていました。

Chappyが前の会社を辞めたときは約10年前。
社内でいじめがあったわけでもなく、ハラスメントがあったわけでもなく
ただ単に辞めたいと思ったのが理由です。
自分に感じた可能性をもっと伸ばしたい、
人生一度きり、ここで立ち止まっていいものか、と悩んだ末
退職を決意して、上司に言う頃には気持ちは完全にかたまっていました。

上司もこちらの顔を見て、その覚悟を感じたのか
止めるというよりかは、辞めようと決意するまでに至った気持ちを聞かれ
それもまた申し訳ないという気持ちと
もう何を言われても辞めますよ、というどこか上から目線だったと思います。

あのころから約10年たち
Chappyが上司という立場になった今、やっぱり退職を宣告されると
理由が知りたくなる、今になって当時の上司の気持ちがよく分かるのです。

「どうして辞めようと思ったの?」
「相談してほしかったな」

別れ際のカップルのような、独特の重圧感が漂う空気の中、
ぽつりと社員が答えました。

「私にとって キャリアはジャーニーです。
ここにいたい気持ちはありますが、もう旅立つときが来た、
それだけです」

分かったような、分からないような。
けれど、外国で働いていた良かったと思うのは
こういう場面に出くわしたときに
ああ、これが海外なのか
日本と違う価値観なのか、と諦めがつくところ。

Chappyは本人の顔を見て、続けます。

若いときは、そのジャーニーを続けていてもいいと思う
だけれど、ジャーニー自体にも終わりはある。
その先にあなたが見る景色は何なのか?
新しい場所にいって学べることもあるけれど
同じ場所に長くいるからこそ身につく知識や経験もあるんだよ。

・・・・決まった。
最初に相手から映画のようなセリフを言われ、
どうしてもかっこよく言い返したかったChappyは
我ながら、スマートに諭せたのではないか、と
内心、にやにやが止まりません。

すると、彼女は一呼吸を置いて
目を伏せたと思えば、こちらをじっと見て

「そうですね。」

円満退職の分類に入るとは思います。
ただ、決してお互いが納得をして
心の底から送り出してあげられるほど
気持ちには余裕がありませんでした。

そこから1か月、Chappyの会社に残ってくれて
引継ぎなどを終えたのち、退職の日を迎え、送別会を開きました。

退職の日から少し時間がたってからの送別会だったので
周りも彼女に対して「新しい会社はどう?」と興味津々。
彼女曰く、
「会社が大きいから、いろんな部分でこの会社より進んでいる。
だけれど、この会社のような温かみはないかな」
とのこと。

社員の1人が「後悔はない?」と聞くと、
少し悩んだ末、「少しだけ」と笑っていました。

辞めたことが正解だったかどうかは
転職してすぐに分かることではないとChappyは感じています。

数か月後、数年後に
やっぱり転職して良かった、と彼女が思える日がくるといいなぁ

退職宣告から約2か月。
ようやくこうして見送ることが出来ました。


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