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旧暦晩春の出来事 1 花の雨
旧暦の夏が始まりましたね。
春がまもなく終わろうとする日に、はじめてみる自然現象に2つ遭遇しました。
盛り沢山だったこの出来事を3回にわけて書かせていただきます。
長いですが、どうぞおつきあいください。
うちの職場では、五月中旬頃から新年度の活動が本格化し始めます。新旧メンバーの交代と新年度の仕込を並行するアクロバティックな対応が続く毎日です。
日頃お世話になっている提携企業でも大規模な組織改変があり、どちらも余裕がないままに、気がつくと、余分な負担を背負いすぎないように、日々駆け引きにも似たやりとりが繰り広げられます。
その日の午後は、提携先との会議。
チームメンバーの知恵を総動員し、できる限りの準備は整えたものの、双方新体制の手探り状態で、話がどう展開していくか見当がつきません。ストレートな発言をする相手方の顔ぶれは、いつもは好ましくても、こういう時はちょっと気が重く、地球の重力ってこんなに大きかったっけ?と心の中でこっそりため息をつきます。
少しでも気分をかえようと、会議の前の昼休みに、オフィスを抜け出し、近くの森林公園に向かいました。
前日までの肌寒さとは打って変わり、今日は夏を思わせる青空が広がっていました。園内はマラソンランナー、カップルさん、敷物の上でお弁当を食べる家族、保育所の遠足と、大賑わいです。
静かなところに行きたくて、自然と足は人のいない方へと向かっていき、いつのまにか今まで行ったことのないところにいました。
大きな樹木が何本も立ち、チョウが頭上を飛び交う、木漏れ日が眩しい道。ここまで奥には人もきません。
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森の雰囲気をしばらく堪能し、さあ気持ちが落ち着いたぞ、現世に帰るか、と引き返そうとした時。
サア…と小雨がぱらつくような音がしました。
え?通り雨?
空をみあげましたが、こずえの向こうには青空が広がっています。
相変わらず雨音は続き、そのうち肩に何かちいさなものが落ちてきました。拾ってみたら、小さな薄緑色の星のようなものでした。何かの花でしょうか。
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地面を見ると、あちこちに星たちが散らばっています。
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上空に枝葉を広げているのは、クスノキの大木。どうやらこのクスノキの花が落ちる音が、雨音の正体のようです。
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季節が巡っても、目立った変化を見せない印象を持っていたクスノキが、雨と間違えるほどの大量の花を降らせるなんて、驚きました。
続きます。