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両手を合わせ、人さし指で口を指す

この動作、なにかわかりますか。

岩手県に伝わる早池峰神楽、大償神楽の一演目、三番叟。
黒面の翁がひとさし舞い終えた後、最後に幕の裾を後ろ手に持ち、扇の形に跳んだ後、この仕草をして幕の後ろに退場します。
以下の動画の最後のほうでみることができます。
(扇の形に跳ぶ、という説明も、動画のほうがわかりやすいかもしれません。)

両手、すなわち「十」本の指で手を叩き、「一」本の指で「口」を指します。組み合わせると「吉」の字になります。人間の世界で舞い遊んだ神が、神の国に帰る前に人間たちを寿ぐ仕草なのではないかと思っています。

この吉という漢字を調べてみたところ、口と士を組み合わせた字でした。

大漢和事典『吉』

徳行をそなえた士君子が発する言葉は善良、従って吉の字はもともと善い言葉を意味し、よい、幸い、めでたいなどの意味に展開した、ということのようです。善良な言葉が幸いの源なんですね。

蛭子神が三番叟を舞い終える時に、口を指すのが意味深く思えてきます。

今日もよい一日を!

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